みなさんは「夏祭り」と聞いてどこの地方が真っ先に頭に浮かびますか?
おそらく夏祭りといえば東北、東北の祭りといえば夏祭りを思い起こす方が多いのではないでしょうか。それほど、東北の8月初旬は大きな祭りが集中的に開催され、お祭り一色に彩られるのです。なかでも、
◎青森ねぶた祭(青森県青森市)
◎秋田竿燈まつり(秋田県秋田市)
◎仙台七夕まつり(宮城県仙台市)
この3つのお祭りは「東北三大祭り」と称されています。また、これに山形県山形市の「山形花笠まつり」と岩手県盛岡市の「盛岡さんさ踊り」を加えて「東北五大祭り」と呼ぶこともあり、福島県福島市の「福島わらじまつり」も加えて東北6県から祭りを一つずつあげ、「東北六祭り」と呼ぶこともあります。
今回は、東北三大祭りの3つの祭りをメインに、東北六祭りの6つのお祭りについて紹介します。
青森ねぶた祭(青森県青森市)
「青森ねぶた祭」は例年8月2日から7日まで、青森市の中心部で開催され、毎年200万人以上が訪れます。青森市では「ねぶた」、弘前市では「ねぷた」、五所川原市では「立佞武多(たちねぷた)」など、呼び名や形は異なりますが、同じ時期に青森県内の数十か所でねぶた祭が行われます。
最大の特徴と見所は、ねぶたと呼ばれる巨大な灯籠。歌舞伎や神話を題材にした高さ最大5m、幅最大9mものねぶたは、職人たちが技術を注ぐ超大作で、街中を練り歩く姿は勇壮そのものです。
そしてねぶたを盛り上げる「ハネト(跳人)」も見逃せません。揃いの衣装でお囃子のリズムに合わせて元気よく飛び跳ね、「ラッセーラー!ラッセーラー!」と元気な掛け声を響かせる跳人は、決められたルールに沿って誰でも現地で参加できます。
青森ねぶた祭の起源は、旧暦のお盆の頃とその前の七夕の頃に、お盆に先祖の霊を迎えるため川や海で禊をしたり、暑さからくる病魔や、農作業の妨げになる眠気を払う「眠り流し(ねぶりながし、ねむたながしとも)」として「灯籠流し」を行っていたのが原形といわれています。
よって、ねむたながしが「ねぶた」の語源とされ、ねぶたが街中を曳き回された後に海上運行をするのは、かつて灯籠を川や海へ流していたことの名残だとも。海上運行は毎年8月7日の最終日の夜に行われ、青森港の海上を幻想的なねぶたが行き交い、夜空を花火が華やかに彩る光景は祭のフィナーレにふさわしく、こちらも見所の一つです。
青森ねぶた祭は、2023年も8月2日(水)~8月7日(月)に開催されます。詳しくは青森ねぶた祭公式サイトでご確認ください。
秋田竿燈まつり(秋田県秋田市)
「秋田竿燈(かんとう)まつり」は例年8月3日から6日まで、JR秋田駅からほど近い秋田市の竿燈大通り周辺で開催され、毎年130万人以上が訪れます。
「竿燈」とは、長い竹竿を格子状に組んだものに高張提灯を吊ったもの。最大で高さ12m、重さ50㎏にもなる竿燈を、「差し手」と呼ばれる人々が手のひらや額、肩などで絶妙なバランスと技術で自在に操る妙技が披露されます。提灯一つずつを米俵に、全体を稲穂に見立てた竿燈は五穀豊穣の願いがこめられ、夜には本物の火が入った竿燈が280本も集結する様子は圧巻のひと言です。
祭りの起源は青森ねぶた祭と同様、旧暦のお盆とその前の七夕の頃の「ねぷり流し」といわれています。また、藩政以前の秋田市周辺のねぶり流しでは、提灯ではなく、笹竹や合歓木(ねむのき)に願い事を書いた短冊を飾っていたといわれています。
まるで現在の七夕の笹飾りを彷彿とさせますが、それが後にろうそくや提灯と組み合わされて独自の行事に発展。城下町にくらす商人や職人たちが、力比べをするかたちで始まったのが現在の竿燈まつりの発祥になったと考えられています。
秋田竿燈まつりは今年2023年も、8月3日(木)から8月6日(日)まで開催されます。詳しくは秋田竿燈まつり公式サイトでご確認ください。
仙台七夕まつり(宮城県仙台市)
「仙台七夕まつり」は、毎年8月6日から8月8日まで、仙台市中心部で開催されるお祭りで、例年200万人以上が訪れます。
一番の見所は何といっても美しい七夕飾りの数々。豪華絢爛な笹飾りや和紙を用いて趣向を凝らした飾りが市内全域を埋め尽くし、いくら見ていても見飽きることがありません。
400年以上の歴史があるお祭りで、藩政時代の伊達政宗公の時代に子女の技芸の上達を願って始められ、「たなばたさん」と親しまれてきました。数多くのグルメ屋台や、花火大会が行われてクライマックスを迎えるなど多くの見所と楽しみがあります。
今年2023年も、8月6日(日)から8月8日(火)に開催されます。詳しくは仙台七夕まつり公式サイトでご確認ください。
山形花笠まつり(山形県山形市)
「山形花笠まつり」は、毎年8月5日から7日までの3日間、山形市中心市街地で開催され、毎年100万人以上が訪れます。
山形の名産であり県花の「紅花」を模した花飾りのついた笠を手に、あでやかな衣装の一万人を超える踊り手が登場。「花笠音頭」に合わせて「ヤッショー、マカショ」の威勢のいい掛け声を響かせ、躍動感あふれるダイナミックな群舞を繰り広げます。
祭りの始まりは1963年。蔵王の発展を目的に開催された「蔵王夏まつり」を起源として、1965年から「山形花笠まつり」として行われ、今では市民から愛され全国からも人々が集う人気のお祭りになりました。
今年2023年も8月5日(土)~2023年8月7日(月)に開催されます。詳しくは山形花笠まつり公式サイトでご確認ください。
盛岡さんさ踊り(岩手県盛岡市)
「盛岡さんさ踊り」は、例年8月1日から4日まで、岩手県の盛岡市街中心地で開催されます。躍動感のある太鼓のリズムに、キレがあり優雅でもある軽快な踊りが一体となって、繰り広げられるパレードが圧巻です。
現在、一般に踊られるのは祭りにあわせて創作された「七夕くずし」「栄夜差(えやさ)踊り」「福呼(ふっこ)踊り」の3種類。印象的な掛け声「サッコラチョイワヤッセー!」を聞くと、誰もが踊り出したくなるから不思議です。
祭りの始まりにはいくつかの説がありますが、藩政時代、盛岡城下に出没する鬼の退治を祈願し、退散を喜んだ里人たちが「さんささんさ」と踊ったというのがその一説です。
今年2023年も、8月1日(火)~4日(金)まで開催予定となっています。詳しくは盛岡さんさ踊り公式サイトでご確認ください。
福島わらじまつり(福島県福島市)
「福島わらじまつり」は福島県福島市、JR福島駅周辺で例年8月の第1金曜日~日曜日に開催されます。
祭りの起源は400年前の「暁まいり」とされます。健脚を祈って羽黒神社に日本一の大きさといわれる長さ12mの大わらじ(片足分)が奉納されます。1973年から「福島わらじまつり」が始まり、大わらじ(片足分)を奉納することで「暁まいり」と合わせて一足となり、より一層の健脚を祈願するのです。祭りでは威勢のいい掛け声と笛や太鼓の音に合わせて大わらじが踊り手とともに練り歩きます。
今年2023年は8月4日(金)から8月6日まで行われます。詳しくは福島わらじまつり公式サイトでご確認ください。
まとめ
この記事では東北で行われる祭りのうち、「東北三大祭り」に数えられる3つと、さらに「東北五大祭り」「東北六祭り」に数えられる3つの祭りについてご紹介しました。
これら、東北で行われる各都道府県の代表的な「東北六祭り」が一堂に会するお祭りもあります!「東北絆まつり」というお祭りで、毎年6月頃に開催場所を変えて行われています。2023年は、青森市内で6月17日(土)、18日(日)に開催されました。
東北を代表する祭りは、いずれもダイナミックで迫力満点です。今年の夏は、歴史と人々の願いが込められた東北の祭りを体験しに出かけてみませんか。