※2021年は新型コロナウイルス蔓延の影響で中止となりました。
2022年には無事に開催されることを願いつつ、コロナウイルスの終息のために感染予防を心がけましょう。
(2020年12月3日 編集部)
こんにちは。どんぐり圭子です。
2019年1月14日(月)成人の日に、裸で真冬の海に浸かる禊(みそぎ)神事「青島裸まいり」(宮崎市)に行ってきたよー。わっしょい!
毎年11月に参加者募集があるんですが、神社のHPで募集記事掲載後あっという間に定員500名に達する人気行事です。今年は、3才から74歳まで499人が参加。参加できなかった人は、数百人もいたとか。私も白装束で海に浸かる参加の願いは叶わず、見学。残念です!!
暖流黒潮が流れる太平洋に面した南国宮崎平野部の冬でも寒い時はあります。ところが今年はすごい暖冬。しかも当日は、午前9時の気温12度、水温12度。日中の気温は15.1度まで上がって、コートなんかいらない日。暑いなあ。男性は、白足袋、白ふんどし、白鉢巻、女性は白足袋、白短パン、白Tシャツ、白襦袢、白鉢巻の服装で禊を行いました。やはり見てるだけで身が引き締まるわねー。
(この記事は2019年に公開されたものを再編集しています。2020年12月3日 編集部更新)
目次
青島神社 裸まいりとは
彦火火出見命(ひこほほでみのみこと)が海神国から帰ってきたとき、村の人々は大慌てで衣服をまとう暇もなくて、赤裸の姿で取り急ぎお迎えしたという古事から起こったとされているの。それで、付近の若者が旧暦12月17日夜に、裸で神社に参拝していたらしいのです。その夜に参拝すれば、お百度まいりの十回分の御利益があるとされてるから、そりゃ、お参りしたくなるわよね。今では、神事は従来どおりの日程で執り行い、裸まいりの禊行事だけが成人の日に開催されています。以前は、青島神社が主催していましたが、参加者が増えたため、今では実行委員会が組織されて運営されているんだって。
では、一連の行事をお伝えするね。
禊行法(みそぎぎょうほう) 10:15~
男女別の着替え会場となるホテルから、総勢約500名が青島海水浴場前に集結。禊を前にしてその準備を行います。
神官により祓詞が歌われます。長いので、省略されてはいますが、厳かな節で3番まで歌われます。その間、参加者は、まず魂鎮め(たましずめ)を行います。右手を上にして、おにぎりを握るように両手を合わせ、中の空洞つまり魂を振ります。これにより、離れて行こうとする自分の魂を留めて鎮め、振ることによって活性化させるのです。
そして、鳥船行事(とりふねぎょうじ)という神話で神が船を漕いだという動作を行い、禊に備えます。
これらの動きは準備体操のようにとらえることもできますが、実は、一連の動作には神道で語り伝え守られてきた禊を行う儀式でもあるわけです。
禊(みそぎ)Ⅰ 10:35~
花火の合図で第1回のみそぎ(青島海水浴場前)。やっぱり水は冷たいのねー。歓声とともにゆっくりじっくり心臓に配慮して入って行きます。全員保険には入っているけど、自己責任だからねー、慎重に。しばらく進んだところで、首まで水に浸かり祈りを捧げます。無病息災。家内安全。あー、見てるだけで冷たくなるわー。
ところで、そもそも禊(みそぎ)って何でしょう。
神話では、イザナギの尊が黄泉の国から戻った時に穢れを落と水で洗い落したことが禊の起源だと言われています。まず、汚れを落とすところからスタートしなきゃいけないってことですね。だから、水の中で心身を清めてから祈り始めるのね。
では、イザナギの尊が禊をした場所は?
日本中のどこの神社でも神官が唱える祝詞(のりと・お祓いの言葉)の中に、禊を行った場所を「筑紫(ちくし)の日向(ひむか)の橘(たちばな)の小戸(おど)の阿波岐ヶ原(あわきがはら)」と伝えています。それらの地名が昔からそのまま一カ所に集中している場所が宮崎市の大淀川の北側にあります。みそぎ池や江田神社があるので、そこも訪ねてみると古代の禊の雰囲気を感じることができますよ。もっとも、これらは地名ではないという説もあります。本当のところは分からないので、ロマンのある方に一票。
隊列を組んでワッショイ!青島神社へ 10:50~
さて、一回目の禊を終えると一行は、次は青島神社へ。
海水浴場を後にして弥生橋を渡り、青島神社へ向かって参道を駆け抜けます。約500mをワッショイ、ワッショイ言いながら、次の禊の場所へ移動。
禊 Ⅱ 11:05~
先ほど海水浴場前で行ったのと同じ禊行法を行い、魂振りをして魂を鎮め、鳥船行事を行ってから、神社前の海に入ります。海水浴場の砂浜とは打って変わって、こちらは岩場です。満潮を迎えた海岸では、少し沖に出ると、波状の岩が波を作り小さな白いしぶきをあげています。
「青島」という島
宮崎市の南東に位置する周囲860mの島です。島は、弥生橋で青島海岸と結ばれています。満潮時は、この橋を通らないと行けませんが、干潮時には砂や岩がむき出しになり陸繋島になります。島は、江戸時代まで神職と島奉行以外は入島が禁止されていました。
特別天然記念物「青島の亜熱帯性植物群」
近海を黒潮が流れ、温暖な気候で雨量が多いことから、ビロウなどの亜熱帯植物が自生していて、昭和27年に特別天然記念物に指定されました。
近くには、青島亜熱帯植物園「宮交ボタニックガーデン青島」があります。珍しい植物がいっぱいです。
詳しくはコチラをどうぞ。 http://mppf.or.jp/aoshima/
通称「鬼の洗濯板」・天然記念物「青島の隆起海床と奇形波蝕痕」
この地形は、地元では、みんな「鬼の洗濯板」と呼んでいます。新第三紀(2400万年~200万年前)に海床に規則的に堆積した砂岩と泥岩の互層が傾き隆起し、長い間の波蝕により、その堅さの違いから凹凸ができました。青島から南の巾着島までの約8kmの海岸線に見られます。昭和9年(1934年)に国の天然記念物に指定されています。
青島神社
創立年月日は不明ですが、文献上では、平安時代の初期にはその存在が明らかとされています。祭られているのは、天津日高彦火火出見命(あまつひだかひこほほでみのみこと)、いわゆる山幸彦ですね。そして、その妻となる豊玉姫命(とよたまひめのみこと)、海神、塩筒大神(しおづつのおおかみ)です。
詳しくはコチラをどうぞ。 https://aoshima-jinja.jp/
青島神社の境内には、蝋人形神話館「日向神話館」がありますので、ここも一見の価値ありです。
詳しくはコチラをどうぞ。 https://aoshima-jinja.jp/mythology_building/
湯立て神事 11:20~
2回目の禊を終え、青島神社に参拝した後、一行を待っていたのは、釜の中でグラグラ煮えたぎった熱湯。
神がかった神官が榊を熱湯に浸し、「無病息災」「家内安全」と叫びながら、参加者にそのしぶきをかける。熱そう!
あちこちから悲鳴が上がる。「アッチ―」「イテテテ」
これは、宮崎では珍しい伊勢系の湯立て神楽の形式です。長年途絶えていた神楽を復興させるにあたり、江戸時代が始まるころ、普及に努めていた伊勢系の神楽が導入され、湯立て神事がそのまま残ったと考えられます。
バケツ冠水 11:50~
その後、商店街の参道に移動整列して、バケツの真水を頭からかぶります。これがまた冷たい!参道は水浸し。
そうして一連の裸まいりは終わるのでした。参加者は、ホテルに移動し、着替えて直会に参加、簡単な食事をいただきます。
お疲れさまー。
鉢巻
鉢巻を締めると気合が入るよね。ほとんどの参加者は白の鉢巻を巻いています。「うふっ、鉢巻だけ写すのね」って撮影Okもらったけど、顔も写ったー。ごめんね。
赤い鉢巻の人を発見!こちらは、還暦以上の方々です。誰にも負けない気合・自律・忍耐の持ち主です。オリャー!
おまけⅠ
怠け者の私が見学するのににぴったりの穴場を発見!神宮入り口の茶屋です。禊Ⅱを見たり湯立て神事の悲鳴を見聞きしたりするには、ここのテラスに座って甘酒をいただきながら、というのは最高です(笑)!
おまけⅡ
If you would like to introduce this event to foreign people, here is a link to John’s report.
参加に関する情報
青島神社HPに募集記事がアップされるのは、11月です。あっという間に埋まるからアンテナを張って注意してみていてくださいね。なお、青島裸まいり実行委員会事務局(宮崎市青島地域センター)0985-65-1231でも情報は得られます。参加費は、保険や直会の食事代など一人2500円。装束は、自分で揃えますが販売もしています。
寒中禊体験ご希望の方は、まずはこの暖かい南国で体を慣らしてみてはいかがでしょうか。くれぐれも日頃の健康維持を怠りなく。