埼玉・行田の酉の市
埼玉県北部の街、行田市。県名発祥の地とされる〝埼玉(さきたま)〟地区があり、その名を冠したさきたま古墳群は全国屈指の大型古墳群、また国宝に指定された金錯銘鉄剣が出土した地としてよく知られています。室町時代なると忍城が築かれ、成田氏の本拠地として発展。戦国時代を向かえ豊臣秀吉による小田原征伐が行われた際には、石田三成による水攻めの逸話が名勝負として語り継がれています。さらに江戸時代に入ると忍藩の城下町、日光脇往還の宿場町〝忍宿〟としても賑わいました。
そんな行田で毎年12月6日に行われるお祭りがあります。「行田酉の市」です!
行田酉の市の舞台となる愛宕神社へとやってきましたので、ここからはお祭りの様子をご紹介していきます!
愛宕神社に熊手が並ぶ
行田酉の市は、秩父鉄道の行田市駅から東へ5分程歩いた先にある愛宕神社を中心に開催されています。2022年は15時から21時にかけて開催されるとのことで、一層盛り上がる日が暮れてから境内へとやってきました。参道には参拝をするために訪れたたくさんの方々で列ができています!
まずは社殿へご挨拶。愛宕神社は忍城の北東で城下を守っていた長野口御門跡のすぐ近くに位置している神社で、裏手には忍川が流れています。また古くにはこの辺りは下町と呼ばれ、地域の方々に大切にされてきた神社です。
お参りを済ませ社殿から振り返ると、境内いっぱいに広がるのは熊手の数々。ライトアップもされ美しい姿を見せています!
参道の左右に無数に並ぶ熊手。大きいものから小さいものまで見事な装飾で圧倒されますね!
熊手には、各お店の特徴もあります。一つ一つ見て、お気に入りの一つを見つけたいところです!
大判小判に囲まれ、天狗や七福神が乗っている熊手も。これは縁起が良い!
そして今時期にぴったりなのは、うさぎ!来年、2023年の干支です。師走の酉の市と言うこともあり、来年に向けて干支が飾られているのは注目ですね。
お次に登場したのは、おかめです。埼玉県内の酉の市の中には「おかめ市」と言う名で行われている地域もあり、県南東部の川口市周辺が特に有名です。この地域ではおかめの面を付けて売る熊手が多かったことから、おかめ市と呼ばれるようになったそうです。
また埼玉県の酉の市は、11月の酉の日に開催される都内のものとは違い、12月に各地で日をずらしリレー形式で行われているのもユニークです。12月3日の秩父の妙見さまの大祭である秩父夜祭を起点に山から野に降り、3日の川越、4日の鴻巣、5日の深谷、6日の行田、8日の熊谷、10日の大宮、12日の浦和、14日の春日部、15日の川口、17日の蕨、23日の鳩ヶ谷と言った順番で12月に酉の市が続いていきます。各地の酉の市をはしごしてみるのもおもしろいかもしれません!(熊谷、大宮、浦和では〝市〟と書いて〝まち〟と呼ぶ。川口、蕨、鳩ヶ谷はおかめ市)
どの熊手を買って帰ろうか。少しずつ装飾も違うので迷ってしまいそうですね。
お気に入りの熊手を見つけることができるでしょうか。
熊手を決め購入となると行なってもらえるのが三本締め。これは盛り上がります!
秩父夜祭を起点に、川越、鴻巣、深谷とバトンが渡ってきた埼玉酉の市リレー。本日12月6日は行田で開催されています!
熊手はもちろん、日光脇往還の忍宿の街道筋にはグルメ露店も立ち並び大賑わい!師走に盛り上がるお祭りと言うのは良いですねえ。#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/hTpNG5vSiz— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) December 6, 2022
ぜひお気に入りの熊手を見つけていってください!
グルメ露店も魅力的
愛宕神社周辺や宿場町だった日光脇往還沿いにはたくさんの露店も並び、お祭りグルメを手に入れることもできます!
たこ焼きや焼きそば、お好み焼きと言ったお祭りグルメの定番も提供されていますよ!
焼き上がりのこの香り、たまりません!
行田市は北部で利根川を挟み群馬県と面していると言う立地からか、群馬名物の焼きまんじゅうを売るお店も出ていました!
そして特筆すべきはこちらの〝いかやき〟。北関東のお祭りで露店を見ると必ずと言って良いほどあるのがいかやきや煮いかなどのいかを出すお店なのですが、ここ行田では焼きそばと同じかそれ以上の数のいかを提供するお店が出ていました!
鉄板で焼かれていくいか。香ばしい良い匂いが辺り一面に広がっていき、多くの人が足を止めていかを眺めています!
これはもう食欲が止まりませんね!
お祭りグルメではありませんが、行田の街中を歩くと見つけられるのがこちら。ゼリーフライです。ゼリーフライとはなんぞやと思われた方もおられると思いますが、小判のような形から〝銭フライ〟と呼ばれていた行田のご当地グルメです。おからたっぷりで作られたコロッケのようなもので、モチモチとした食感が病みつきになります!市内各地のお店で提供されていますので、ぜひお試しください。
忍城下町の見どころ
行田の市街地を歩くと、城下町や宿場町だった面影が随所に残っています。江戸時代中期頃から作られるようになったと言われる名産の行田足袋。その足袋を売るお店や保管場所として建てられた蔵が市内各所に立ち並んでいます。
お次は「うまい、うまずぎる」のフレーズで埼玉県民にお馴染みの菓子屋、十万石ふくさやさん。江戸時代から続く呉服商が1933(明治16)年に建てた店蔵を引き継ぎ、本店の店舗として利用されているのも注目ポイントです!
そして城下町に無くてはならないのがお城、行田のシンボル忍城です。こちらは忍城の実質的な天守閣と見なされていた御三階櫓(1988年に再建された模擬櫓)で、夜にはライトアップもされ美しいですね!
アクセス
■行田市駅まで
・熊谷駅より秩父鉄道で9分
・羽生駅より秩父鉄道で13分
・秩父駅より秩父鉄道で約80分
・吹上駅より朝日バスで約20分
■行田市駅から愛宕神社まで
・駅前の小沼橋通りを東へ徒歩5分。かどや豆腐店さんのある交差点を右に入りすぐ。
毎年12月6日に開催される行田酉の市。師走のお祭りを楽しみにぜひ来てみてください!