愛知県の中でも「奥三河」と呼ばれる、自然豊かな山里、東栄町。
この町で生まれ清まる5日間「BEAUTY TOURISM」と題した体験ツアーが2020年11月に開催されました!
よくよく調べると、ツアーのコンセプトである“生まれ清まり”という思想は、東栄町で古くから行われている「奥三河の花祭」に由来するんだとか。どんなツアーだったのか?!レポートしたいと思います。
どんなツアーに参加したの?
今回参加したのは、生まれ清まる5日間「BEAUTY TOURISM」と題されたツアー。
愛知県東栄町に古くから伝わる奥三河の花祭の”生まれ清まり”という思想をコンセプトに、この地域のありのままの自然や文化を五感で感じ、“自分の中の美を見つける”をテーマに企画されました。
5日間にわたり、それぞれ異なる行程でツアーが組まれており、山の暮らし見学や、森林さんぽなど、いずれも東栄町の自然や文化を体験できるツアーでした!
私が参加したのは「月で和を感じる日」。
“月”地区で過ごし、伝統文化と和の美しさを感じる日。地元のお祭りや神事で使われている神社参拝からはじまり、地元に親しまれているお寺で座禅体験をしていただきます。昼食は古民家を改装したダイナーで、ジビエや無農薬の自家製野菜を使ったランチをいただきます。午後からは東栄町で700年以上続く神事「花祭」の飾り “ざぜち” (切り絵)作り体験を行います。花祭保存会の方のお話を聞きながら「生まれ清まり」の精神に触れてみましょう。
※東栄町観光まちづくり協会HPより引用
東栄町の「月」地区にフォーカスした行程で、奥三河の花祭はもちろん、月地区の魅力がたっぷり味わえる内容!現地にただ足を運ぶだけではなかなか体験できないディープな内容に、「これは貴重な体験ができそうだ!」と、即決で申し込みました。
東栄町観光まちづくり協会HP:https://www.toeinavi.jp/spots/beauty/
奥三河の花祭とは?
奥三河の花祭は霜月神楽の一つとされ、愛知県設楽郡を中心とする各地区で開催されるお祭りで、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。
今回の「BEAUTY TOURISM」のテーマである‟生まれ清まり”という思想は、この奥三河の花祭に由来するもの。一年で一番日照時間が短くなる「冬至」前後の時期に行われることで、太陽の力の復活への願いが込められています。
神事と舞が行われ、その種類も様々!地区によって若干異なりますが、ばちの舞、御神楽、市の舞、地固めの舞、花の舞…など多数の舞が行われ、鬼が登場するシーンも!中でも「榊鬼(さかきおに)」は花祭りのシンボル的存在です。
八百万の神々を迎え、舞を奉納するという厳かさがある一方で、舞手を「テーホヘ テホヘ」と囃して場を盛り上げたり、野次が飛び交う道化の面も。
夜を徹して舞手も参加者も一体となって盛り上がる様子は、まるでライブハウス!一度行くとその魅力に取り憑かれること間違い無しです。
東栄町 花祭りHP:http://www.town.toei.aichi.jp/hana/top/top.html
ツアーの様子をご紹介!
ここからは実際に体験したツアーの内容をご紹介します!
秘境駅号でもおなじみ!JR飯田線
集合は沿線に秘境駅が多いことで知られるJR飯田線の東栄駅!
今回のツアーは全員揃っての移動ではなく、自家用車プランとタクシープランが選択でき、それぞれ料金が異なります。グループごとの移動なので感染症対策にもなるし、移動もラクラク!計6台の車が連なっての移動ですが、はぐれることなく目的地に到着できました。
さすが「美」をコンセプトにしたツアーだけあって、参加者は9割女性。名古屋や豊橋など、東海エリアからの参加者が主で、関東エリアからの参加者は私以外におらず。「関東から来ました」と話すと皆さんびっくりしていました(笑)
月地区の氏神様、槻神社にお参り
最初に訪れたのは、月地区の氏神様である「槻神社」。鳥居の向こうに、大きな杉のご神木が迎えてくれます。
花祭当日も、槻神社での神事からはじまり、祭り会場に場を移して舞を奉納するんだとか。
境内には、山の神様を祀った祠も沢山!山里ならではの風景ですね。
地元の食材たっぷり!ジビエランチ
ジビエをはじめとする地元の食材をふんだんにつかったランチを頂いたのは、「古民家ダイナー 月猿虎」。
奥三河産鹿のローストや、自家製野菜のアラカルトなど、この地域の素材がたっぷり使われたランチは、今回のツアーのために用意していただいたんだとか!とても美味しくてあっという間に平らげてしまいました。
古民家をリノベーションした店内には、あちこちに花祭にまつわる装飾が!
花祭が地域を象徴する存在であることが伺えます。
花祭の解説!地域の人にとって「花祭」とは?
東栄町の魅力がたっぷり詰まったランチでお腹を満たした後は、いよいよ花祭に関する体験です!
月地区の花祭会場である「月公民館」に場所を移すと、出迎えて下さったのは、月花祭保存会のみなさん。
今でこそ、こういった花祭会場が各地区にあるようですが、昔は地区内の民家で行っていたんだとか。湯立を行う釜を置く必要があることから、広い土間がある家でないと祭りが出来なかったそうです。
貴重な昔の写真を見せていただきながら、花祭について説明していただきました。今回、解説していただいた方のお父さんが映っている写真も!親から子へ、そして孫へと受け継がれてきたことが分かります。
昔は女人禁制で男性のみで行っていたとのことですが、近年では少子化の影響もあって男女関係なく舞っているんだとか。時代によって少しずつ変化してきたことが伺えます。
花祭のシンボル「榊鬼」体験!
今回は特別に、花祭のシンボル的存在「榊鬼(さかきおに)」のお面を付けて記念撮影をさせていただきました!
榊鬼は‟生まれ清まり”を実現するための呪法である「へんべ」を踏む唯一の鬼であることから、花祭のシンボル的存在とされている重要な鬼。さすがに本物は…ということで、レプリカのお面を準備していただきました。
お面はレプリカとはいえ、ずっしりと重い。これを身に付けて長時間舞うのは相当体力が要るだろうな…と想像されます。
花祭に欠かせない!飾りづくり体験
解説の後は、花祭に欠かせない「ざぜち」の製作体験!
ざぜちとは和紙を切ったもので、神楽を舞う「舞庭」に張り巡らす結界であり、神様の依り代でもあるもの。様々な種類があり、見ているだけでも美しい切り紙です。
いくつか種類がある中から好きなモチーフを選んで、お手本の下に和紙を重ねて切っていきます。
ライターは鳥居のモチーフを選択!なるべく簡単そうなモチーフを選んだつもりが…やってみると微妙な力加減が難しい!失敗してしまったところは、保存会の方に修正していただきました。どこが失敗した箇所か全然分かりません!(笑)
保存会の方は、皆さんそれぞれ専用のナイフと下敷きにする木の板を持っているんだそう。ナイフ一本で美しい飾りを生み出す熟練の手技に、興味津々で見入ってしまいました!
まとめ
東栄町の美しい自然と、美味しいご飯と、地元の方の温かいおもてなしが楽しめた今回のツアー。自然豊かな環境で過ごしたことで、日頃のストレスを手放せたような気がします!
地元の方々と交流出来たことも嬉しかったポイント。祭り当日であれば、こんなにじっくりとお話を聞いたり、交流する時間も取れないと思いますが、貴重なお話を沢山聞かせていただくことで、この地域に根差す“生まれ清まり”の思想に触れることが出来ました。
東栄町にはまだまだ沢山の美味しいもの、季節毎に表情を変える自然が沢山あります!
移動が制限されなかなか足を運ぶことが難しい状況ではありますが、今回お会いした皆さまと、またいつか再会できる日を楽しみにしています。
~special thanks~
東栄町観光まちづくり協会の皆さま
月花祭り保存会の皆さま
清平寺の皆さま
古民家ダイナー 月猿虎オーナーご夫妻