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お彼岸にお墓参りするのはなぜ?お墓と仏壇の正しいお参り方法やマナーとは?

2022/3/17
2024/3/8
お彼岸にお墓参りするのはなぜ?お墓と仏壇の正しいお参り方法やマナーとは?

お彼岸が近づいてきました。お墓参りの準備をしているご家庭も多いのではないでしょうか。しかし、そもそもなぜお彼岸にお墓参りをするのか、お墓や仏壇の正しいお参りの手順などは意外と知られていないようです。

そこでこの記事では、お彼岸の由来やお墓参りの際に知っておきたいルールやマナーなど知っておくと便利な情報について紹介します。

お彼岸にお墓参りや仏壇の掃除をするのはなぜ?

お彼岸は仏教の考え方をもとに日本で独自に発展し、日本でのみ春と秋の年2回行われる年中行事や風習のことです。3月の春分の日を「中日」として前後に3日ずつを加えた7日間を「春彼岸」、9月の秋分の日を中日として前後に3日ずつを加えた7日間を「秋彼岸」と呼びます。

春分の日、秋分の日は太陽がほぼ真東から昇って真西に沈む日です。仏教では「西方浄土」といって西の方角に煩悩のない極楽の世界があると考えられており、春分・秋分の日は1年のうちで最も浄土に近づく日として、極楽浄土に思いを馳せていたのです。

また、日本では亡くなった方は迷いや苦しみに満ちた現世=此岸(しがん)から、三途の川の向こう側の、煩悩を脱した悟りの世界=彼岸へ至り、極楽浄土にたどり着くと考えられていました。そこで、故人を偲ぶとともに、自身も死後に彼岸へ至れるよう「六波羅蜜(ろくはらみつ)」という修行を行う期間となりました。修行について詳しくは下記の記事をご参照ください。

さらに、日本には仏教伝来以前から、ご先祖様を供養して霊魂に手をあわせる祖霊信仰が根付いていました。これが仏教の西方浄土や彼岸の考えと結びつき、春分・秋分の日頃にご先祖様の供養としてお墓や仏壇をお参りする風習となって定着したといわれます。

ちなみに、お盆のお墓参りは先祖をお迎えにあがるのに対し、お彼岸は日頃の感謝を祖先に伝え敬うために行うものという違いがあります。

お墓参りにはお彼岸のいつ、何時ごろ行くべき?

お彼岸の中日は春・秋ともに祝日になっていますが、お墓参りは必ず中日に行かなければいけないという決まりはなく、彼岸入り(7日間の初日のこと)でも、彼岸明け(7日間の最終日)でもいつでも構いません。
また、時間や時間帯も特にルールはありません。

ただ、お墓参りを後回しにすることはご先祖様に失礼という考えや、夜にお墓参りをすると悪い霊がつくという俗説、明るいほうがお墓の掃除がしやすく夜は霊園が閉まってしまうなどの都合から、朝一番や午前中が好ましいとされています。

また、服装についても基本的には普段着で問題ありませんが、お墓は厳粛な場所でもあるため、あまりに派手な服装や露出の激しい服装は避けた方がよいでしょう。帽子をかぶっていった場合、お墓に手を合わせる時には忘れずに脱ぐのがマナーです。

彼岸法要に参加するにはお布施も必要?

寺院や霊園によっては、お彼岸の時期に「彼岸会(ひがんえ)」という合同法要を行っていて、お寺の檀家やお墓を持っている人が参加できる場合があります。
彼岸会に参加する際には一般的にお布施を持参し、金額の相場は5,000円~1万円といわれています。寺院によっては金額が決められている場合があるので、事前に確認してから参加しましょう。

お布施は奉書紙か白い封筒に包んで、表書きをする場合は「御布施」または「お布施」とし、裏には施主の氏名と住所を書きます。お渡しするときは袱紗(ふくさ)か切手盆の上に載せるようにすると丁寧です。

また、お寺が営む彼岸会に参加するときの服装は喪服ではなくても構いませんが、黒やグレーといった地味な私服がベターです。

お墓参りで何をする?掃除とお参りの手順

寺院墓地の場合は、先に本堂や永代供養墓などの合祀墓があればそちらへのお参りを済ませます。ご先祖様のお墓に着き、隣によそのお墓がある場合はお隣のお墓に先にお参りをしましょう。その後まず、ご先祖様のお墓の掃除をします。以下の道具をあらかじめ準備して持参すると便利です。
・毛の柔らかいブラシや柔らかいスポンジ
・タオルや雑巾
・軍手
・植木ばさみ
・ゴミを持ち帰るためのゴミ袋
・柄杓や手桶(墓地に備えていない場合)

お墓の清掃方法

①墓石を水洗いする
墓石は基本的に水洗いします。上から水をかけて、上から下に向かって柔らかいスポンジや布などでこすって洗います。墓石には自然の石が使われているため、シミや痛みの原因になるような洗剤や漂白剤を使ったり、強くこすったりするのはやめましょう。洗剤を使う場合は、石材の種類に適した墓石用洗剤を用いるようにしましょう。
墓石周りにある水鉢や花立なども洗って、最後に水気を拭き取ります。

②植木や植栽のお手入れをする
お墓の周囲に植木や植栽がある場合は、軍手をはめ植木ばさみで伸びた枝を切ります。伸びた枝をそのままにしておくと見栄えが悪いだけでなく、隣のお墓にも迷惑をかけてしまうので、短く刈り込んでゴミ袋に入れて持ち帰りましょう。

③雑草、落ち葉などを片付ける
敷地内に生えている雑草も引き抜いてゴミ袋へ。軍手をはめていれば力が入り抜きやすくなります。落ちている枯れ葉やゴミも拾って持ち帰ります。

お参りの手順

お墓の掃除が済んだらお参りします。あらかじめ以下の物を準備して持参するようにしましょう。
・生花
・お供え物(食べ物や水・お茶など)
・半紙
・ロウソク(お墓にロウソク立てがある場合)
・お線香
・ライター
・数珠

お供え物に好ましい物やあげてはいけない物、マナーなどについては下記記事をご覧ください。


①花と供物を供える
生花は、きれいな水を入れた花立に茎の長さを揃えて供えます。お菓子屋果物などのお供え物は、直接置かず半紙を敷いた上に供えましょう。

②お線香を供えて合掌する
ロウソク立てがある場合はロウソクをつけ、線香に火をつけて手で仰いで消します。故人と縁が深い方から順番に、線香受けに線香を置いて(または立てて)合掌します。この時、数珠があれば手にかけ、墓石の前にしゃがんで拝みます。

③後片付けをして帰る
お供えした食べ物は、カラスやネズミに荒らされないよう持ち帰ります。生花も蚊や虫が寄ってきやすいため、傷んできたら霊園が処分してくれる場合を除いて持ち帰るほうが無難です。最近では造花をお供えするケースも増えています。

仏壇の掃除方法やお参りの作法とは?

仏壇は「家庭のなかの小さなお寺」として、ご先祖様をお祀りする大切な場所。お彼岸にはお墓参りとあわせて、仏壇も念入りにお手入れしてお参りしましょう。
仏壇には大きく分けて、唐木仏壇と金仏壇の2種類があります。どちらも日頃からこまめにホコリを払っておき、お彼岸に大掃除するのがおすすめです。

仏壇の清掃方法

◎唐木仏壇の場合
唐木仏壇は、黒檀や紫檀などの輸入木材(唐木)の木目を生かして作った仏壇です。使われている木の種類はさまざまですが、どんな木を使っていても掃除方法は大きく変わりません。

唐木の部分をよく絞った柔らかい布で拭き、彫刻などの細かい部分は毛バタキでホコリを払います。最後に乾拭きをし、ワックスを塗れば完了です。
取り外し可能な仏具は取り外して、仏壇掃除用の筆でホコリを落とします。真鍮製の仏具は研磨剤などを利用して磨くとよいでしょう。

◎金仏壇の場合
全体に黒の漆塗りが施され、内部に金箔が張ってあるのが金仏壇です。漆は水分に弱いため、漆塗りの部分は水拭きせず、やわらかい布などで乾拭きします。

掃除は金箔や金具の部分を避けて慎重に行います。金箔の部分は毛バタキでホコリを払うだけにしましょう。その際、むやみに素手で触ると金箔が剥げてしまったり、指紋が付いて取れなくなるることがあります。金具の部分も同様で、塩分に弱く錆びやすいので、直接手で触らないようにしましょう。また、水濡れも厳禁です。

仏像や位牌、扉の桟、細かい細工がしてあるところは、先の柔らかい毛筆を使ってホコリを払います。

お参りの手順

仏壇でのお参りの作法は、宗派によって多少異なりますが基本的な手順は同じです。一般的には、毎日朝と夜の2回お参りをします。

①仏壇の前に正座し、一礼する
この時、位牌ではなく、ご本尊に対して礼をするようにしましょう。一礼して仏壇の扉を開けます。

②お供えをする
朝は、食事前にご飯やお花、水などを供えます。仏飯は1日1回お供えするのが理想的です。お花は週に1回、月1回と日を決めてお供えすると無理がないでしょう。
御仏前や御供花代があれば、自分で文字が読める方向でお供えします。また、果物やお菓子などのいただきもの、季節の初物をいただくときには、まず仏壇に供えるのが作法です。

③ロウソクに火を灯し線香をあげ、合掌礼拝する
この時にお経やお念仏をあげますが、できなければ合掌して拝むだけでも構いません。りん(鈴)を鳴らすのは正式には読経の調子をとるためでお参りの際には必要ありませんが、宗派によって異なります。

④最後に一礼してから下がる
仏飯は家族の食事の後に下げ、ロウソクは吹き消さずに手で仰いで消し、日中は仏壇の扉は開いておきます(二重扉の場合は内扉だけ閉めておきます)。就寝前のお参りでは、ロウソクや線香の火が消えていることを確認し、合掌一礼して仏壇の扉を閉めます。

まとめ

この記事では、お彼岸の由来やお墓参りのルールとマナー、お墓と仏壇のお掃除と拝み方などをご紹介しました。

近年はコロナ禍の影響で、思うようにお墓参りに行けないという人も多いでしょう。しかし、一番大切なのはお墓参りをする時期ではなく、ご先祖様や故人を思う心です。また、お彼岸は修行とまではいかないまでも、日頃の行いを振り返り、姿勢を正すきっかけにもなります。
お彼岸の由来や意味に思いをはせながら、穏やかな気持ちで過ごせるとよいですね。

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