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人首(ひとかべ)言の葉 花火の夕べ 第3章 ~漆黒の夜空に咲く、想いが詰まった花火~

更新日:2021/11/7 愛木 敬介
人首(ひとかべ)言の葉 花火の夕べ 第3章 ~漆黒の夜空に咲く、想いが詰まった花火~

2021年10月2日(土)
奥州市江刺米里。

米里地区は、奥州市江刺の山あいの里。
どこか心惹かれる、心地良い谷。
この地で、世界屈指の技術集団「マルゴー」さんの花火が上がりました。
奥州市では史上初の尺玉が上がり、里に轟く圧巻の迫力に、地域の人たちの心がキラキラと輝く姿を感じました。

宮沢賢治ゆかりの地

旧米里村人首(ひとかべ)地区は、若かりし頃の宮沢賢治が訪れた地です。
人首地区

大正6年9月・大正13年3月の2度、この地を訪れ、1週間程度滞在し、周辺を徒歩や馬車で散策しました。(記録が残っているのは2度だが、さらに訪れていた可能性アリ)
1度目の大正6年は学生時代。地質調査の為に訪れました。
この近辺は、金や鉄などの鉱物資源に恵まれ、採掘・精錬により、藩政時代~昭和初期まで栄えていた地域でした。鉱山技師でもあった宮沢賢治は、学生の頃からその頭角を現し、能力を教授に認められ学業の一環として地質調査へ出向いたようです。

そしてこの地の、不思議な気を持つ景色に魅かれます。ここからインスピレーションを受け、
童話「風の又三郎」
詩集「春と修羅」の中の詩”人首町”
などを生み出しています。

「風の又三郎」の舞台の一部、“種山ヶ原”

ここで得た経験は、彼の持つ感性を刺激し、その後の作品へ大きく影響していきます。

私自身、”地の気”を感じる体質ではありますが、2年前に訪れた際に、心地良い気を強く感じたので解る気がします。
風が織りなす木々の声、光に導かれる空の向こう、山々の放つざわめき。
視界だけでは無く、五感で気を感じるこの地は癒しの場所です。

宮沢賢治の文学が好きな方はもちろん、文学に興味が無い方でも、癒しを求めるには絶好の地域です!

江戸期の蔵をリノベーション!人首文庫(ひとかべ)文庫

今回の花火開催のキッカケとなった場所です。
佐伯邸

この地を治めていた人首城の家老として仕えていた佐伯家の13代目、佐伯 研二氏の叔父 佐伯 郁郎氏が東京で活動していた時に入手した、様々な文人と交流した親書、宮沢賢治の作品を広めた岩手県人会の活動履歴などの資料を展示・保存する私設資料館です。
江戸期建築の蔵を、佐伯氏が自らリノベーション!

2019年7月。
宮沢賢治の大ファンである、山梨県在住の歌手、しらいみちよ氏がここを訪れ、コンサートをしました。
会場は、佐伯家の母屋の広間です。明治41年建築の古き良き日本建築。

もともと、白井みちよ氏は、同じく山梨県の花火師であるマルゴーさんと共に、震災復興ボランティアとして宮城・岩手を度々訪れており、その一環としてこの地を訪れました。
当日は佐伯家に宿泊。翌朝、山間から出る絶景の朝日を見せたところ、その景色に感動。「ここで花火を上げたら、どんなに美しいだろう」と語りました。その言葉を受け、花火を上げようと発起人が動きました。

「人首 言の葉」(ひとかべ ことのは)の大会名は、しらいみちよ氏が名付けました。
この地は江戸期以前から鉱物生産で栄え、交通の要所として様々な人が往来し、時代ごとの大きなドラマが繰り広げれた歴史の舞台。
宮沢賢治などの文人を惹き付け、その歴史・風土を、言葉で綴り伝えて来た地。
一つ一つの言が、葉のようにたくさん繁り、大事にされて来た事から”言の葉”と銘打ちました。

ちなみに、人首(ひとかべ)という風変わりな地名の由来は、平安時代、朝廷の東北支配に抵抗するためのゲリラ戦を指揮した「人首丸」の名前に由来しています。北東北~北海道は、もともとアイヌ民族が穏やかに暮らしていた土地。搾取を行う朝廷に抵抗する部隊の本拠地であったのがこの地なのです。
“人首”は、人の上に立つ、今でいう首領の意味でした。人首丸は自分が死んだら、この地に自分の名前を残して欲しいと伝え、地名として残りました。1200年以上も前から現存している地名は、本当に貴重です。

発案から1か月強!初回の打ち上げ

発起人・実行委員長である、米里振興会事務長 竹内美紀氏に、大会を開催するきっかけ・継続する想いを伺いました。宮沢賢治がこの地で滞在していた旅館”菊慶旅館”のご子息が、今回の花火の発起人である、竹内美紀氏なのです!
発起人、担当花火師にお話をお伺いしました。

米里振興会事務長 竹内美紀氏

7月にコンサート、9月に打ち上げ。僅か1か月少々で開催に漕ぎつけました。
自分達の地区で上がる、大きな花火に地区内の皆さまが大いに喜びました!地域が求めているものは何なのか?それは、子供・お年寄りが一体になって楽しめる花火では無いか!?そう感じました。
振興会には、来年もやって欲しいとの声がたくさん届きました。そして、継続開催に至りました。今回は3年目。
腰が曲がったおばあちゃんも、花火が見たくて、会場まで歩いてきます。
ここ米里では、花火は無くてはならないイベントになりました。
周辺は、言わば限界集落。お年寄りの方が多い地域です。そのお年寄りに、生きてる内に大きな尺玉を見せてあげたい!そう願い、今年は尺玉の打ち上げを決意しました。尺玉を打ち上げる為には、保安距離を大きく取らなければならず、田んぼの地権者との交渉が必要ですが、
地区の皆さまはみんな協力的で、無事に打ち上げ場所を確保できました。
山梨から駆けつけてくれる、マルゴーさんの花火は安心感があり、地区の皆さんは本当に楽しみにしています!

株式会社 マルゴー 社長 齋木 智氏

震災後、宮城・岩手の沿岸でボランティア活動をしており、その縁で、ここ岩手で花火を打ち上げるようになりました。
あの時、暗い気持ちだった人たちに、希望・笑顔を届ける為に、花火を上げました。
コロナ禍の今でも、あの時と同じことが言えます。
辛いことを乗り越えて、一瞬でも皆様の癒しになる事を願って、打ち上げています。メッセージ花火は、明るい内容であれば明るい花火、鎮魂であれば暗い花火にし、1発1発にこもる想いに寄りそっています。連続花火やスターマインは、起承転結、ストーリー性を付けて、皆様の心に残るように演出をしています。
ここの花火大会は、みなさんの団結が熱い。環境だけでなく、人にも恵まれています。花火を上げさせて頂いている事に対しての恩返しとして、楽しんでもらえるようにしています。

 

色のときめき!光の躍動!珠玉の花火たち

担当のマルゴーさんらしい、目が釘付けになるような発色の玉に、目が、体全体が喜びます!

艶やかなグラデーション!

奥州市史上初!尺玉の打上です!
三度変化紅点滅!

群青と紅の八方咲きに、紅点滅の錦冠。
山里の田園に華麗に咲く姿は、彦星と織姫の七夕のような世界観です。

白い煌きから、近未来的な色彩が広がってゆく。
遥か彼方、歴史の果ての想いが、形を変えて現代に届くように。

のどかな山里。漆黒の夜空に咲く、想いが詰まった花火たち。
見る人・営む人・打ち上げる人の想いが強い”地域花火”。
花火を上げる、この事により生まれる様々な繋がりが、関わる人全てにとっての宝物になるのだなと、実感しました。”地域花火”っていいですね!とても満足度の高い花火大会でした!

この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
花火が大好きです。みんなが笑顔になれる花火の楽しさを、伝えていきたいです!

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