2019年5月5日(日曜日)、岡山県鏡野町富(とまたぐんかがみのちょうとみ)布施神社へ「お田植祭」を見にいきました。ユニークなお祭りでとても楽しかったので、現地の写真とともに見どころをご紹介します♪
布施神社・お田植祭ってどんなお祭り?
布施神社・お田植祭は岡山県重要民俗文化財に指定され、毎年5月5日に五穀豊穣を祈る神事「神田植」が行われます。その歴史は古く、平安末期の古文書にも「布施明神は富荘の総鎮守であり、神田植のため早乙女20人・・営む」と載ってるとか。
お祭りが行われる鏡野町「富」地域には、1000mを超える山が周囲にあり、多くの山林があるので、水が綺麗です。
神事の前に…「富 昔ながらの田植再現」を鑑賞
神田植神事の前に、華やかな「富 昔ながらの田植再現」を見ることができます。
「富 昔ながらの田植再現」は11回目のようです。まず田起こしして、田んぼに水を入れて、土を細かくくだき、ていねいにかきまぜて、田んぼの土を平らにする作業を「代かき」といいます。田を耕すには人力だと大変なので、牛さんに手伝ってもらい、田起こしをするようになってからは、牛さんが足で土をふみくだくので効率がよくなったそうです。
おとなしい牛さんで、田植え唄も静かに聴いてて、代かきも見学者に泥が飛ばないように遠回り、代かきは荒代・中代・植代 の3回行うのが通常らしいです。牛さんを使うのは荒代・中代で、仕上げの植代は人力で、柄振りを使って行います。
写真は載せてませんが、あぜぬりのするところを初めて見ました。あぜぬりとは、田んぼの土をくわで取って、田んぼのまわりに土のかべを作って、田の中の水が外にもれるのをふせぐ大事な作業です、年長者の方が打ち鍬 (うちぐわ) を器用に使って仕上げしてました。
早乙女さんが入場したので、気をとられてました。昔は田植えは主に女性の仕事で、田植えをする女性を早乙女 (さおとめ) とよびました。昭和40年頃から田植機が広がったため、手作業での田植えも少なくなり、早乙女たちの姿が少なくなったようです。
田植え再現は11時過ぎから行われて、昼には見学者も地域の方も一緒に昼食食べてるのが新鮮でした。なんだか一緒に田植えをしたような気分です。
布施神社で行われる様々な神事をご紹介!
さあ、午後1時過ぎに布施神社東の宮拝殿前に奉斉で「神田植神事」がはじまりました。布施神社は宝亀2年(771年)8月勧請し創建され、本国総社本に正三位布施大明神と記載され、備前国式内外古社128社の1社であると伝えられてます。
「獅子練り」がはじまりました。獅子練りは神田植の行われる境内を清めて、悪魔を追い払う豊作祈願が込められてます。獅子は青年が入り、太刀使いはすれぞれに1人ずつつき、太鼓や笛の囃子に合わせて、東西南北と練り清めます。男子と女子の練りが見れたのも珍しかったです。
迫力ある青年太刀使いが獅子を従えていきます。
優雅な女性太刀使いが獅子を虜にします。
田植えの、荒起、代かき、を少年と少女が行います。新しい農具を葉のついた青竹を引綱代わりに、牛に扮した少年・少女が引っ張り、牛使いが榊の小枝を持って追いかけます。男子と女子がそれぞれ追いかけられるのも珍しかったです。
牛使いが「アイシ、アイシ、キョイ、キョイ」と追いかけるので、あっという間に終わります。その理由が、農民にとって重労働の作業が早く終えたいという願いがこもってると聞いて納得しました。
鍬代(くわしろ)は年配の男性が和服姿と尻からげで、白襷(しろたすき)と新しいクワで、あぜぬり、くわしろ、作業の後、タバコで一服、いねむり、日が傾くまで働いて家に帰るという農村風景を可笑しく演じていきます。
このような「お田植祭」は初めてみたので、とても楽しいです。
そして「田植え」参加者で太鼓を先頭に、手に持った榊の葉をちぎっては撒きます。時計回りで、後ろ向きに歩きます。後ろ周りってのが初めて見ました。
掛け声が「ソウトクガミは植えさせタマエノウ」と繰り返し歌い「ヨイ、ヨイ」と返します。
田植えが終わり、手に持った榊の葉が残ってると豊作になるようです。
一番の見どころ!「殿様と福太郎」殿様は笑うの禁止!!
この祭りで1番見たかった「殿様と福太郎」がはじまります。
殿様が福太郎を従えて、拝殿から出場します。境内に設置した席を3回まわり、福太郎は傘を差しかけ従います。でも福太郎は天気が気になって気がそれます。殿様が口上を大声でのべて、中央へ着座します。「上千町は坪に早稲」「中千町は坪に中稲」「下千町は坪に晩稲・・・水口頼む福太郎」
福太郎は飯を椀に山盛りにして、食べさそうとしますが、殿様はそっぽを向いて食べようとしません。色々な事を行い食べやすくした飯をようやく食べようと口を開けた途端、福太郎はやらかしてしまうのです、まわりはその滑稽さに笑いがおきますが、殿様は笑ってはダメなのです。
無事に笑いをこらえた殿様は再び席をまわり、拝殿へ帰って行きます。福太郎は滑稽な仕草で追いかけます。
そうです、殿様が笑うと、その年が不作になるんです。殿様は布施の神様となって、新殻を農民が食べるのを見届けて、山に帰って山の神になって農民に幸を与えるそうです。
まとめ
今回は、布施神社で行われたお田植祭りをレポートしました。殿様は、「笑ったら凶作!」ということですから責任重大でしたね!
最後に「お田植祭」の記事は布施神社で頂いたパンフレットを参考に書かせて頂きました、御親切にありがとうございました。独特の流れでしたので、パンフレットなかったらわからない事ばかりでした。楽しいお祭りでした。