2023年9月10日、香川県高松市で「ひょうげ祭り」が開催されます!
ひょうきんな化粧を施した一行が町を練り歩くこの奇祭。この記事では2022年の現地レポートとともに2023年の開催情報をお届けします!
目次
楽しく愉快にひょうげる!
大人も子供も、おじいちゃんも、おばあちゃんも一緒に楽しむ香川県高松市香川町浅野地区の「ひょうげ祭り」。今年は3年ぶりの開催ということもあって、地区をあげて大いに盛り上がりました!
ひょうげ祭りとは、江戸時代、水不足に悩まされた浅野村(当時)のために新池を造った矢延平六を偲ぶとともに、水の恵みに感謝し豊作を祝う神事。神輿の渡御に使われる神具は農作物や家庭用品など身近なものを使い、行列に加わる供侍は顔に色鮮やかな化粧を施し、飼料袋やぬか袋で作られた裃を身にまとうなど、すべて手作りで整えられます。 「ひょうげる」とは、土地の言葉でおどけるとか滑稽といった意味。楽しく愉快なお祭りなので、本レポートも難しいことは抜きにしてひょうげながらお伝えしたいと思います!
みんなが笑顔になるひょうげ祭り!独特の衣装と化粧で練り歩く
朝10時。ひょうげ祭りに先立ち、祭りの終点地点にある新池神社御旅所では、来賓や関係者による神事が行われました。
神主による矢延平六を偲び、祭りの安全を祈願したお祓いの後、祝詞を奏上。厳かに行われる神事ではありますが、どこか和やかな雰囲気が漂うのは牧歌的なひょうげ祭りだからなのでしょうか。 神事を終えた香川町ひょうげ祭り保存会会長の上原勉さんも「久しぶりなので楽しみですね!」と終始笑顔。新型コロナウイルスの流行により3年ぶりに一般参加での開催ということで、嬉しさがにじみ出ている様子でした。
新池神社の神事が終わり、ひょうげ祭りの準備所である浅野地区集落研修センターへ我々も移動。しっかりと感染予防対策が行われた本部で受け付けを済ますと、地区の人たちが祭りの化粧を施しているというので少しお邪魔しました。
冒頭にも書いたように、ひょうげ祭りに使われる衣装はすべて手作り。独特の化粧も地区の人たちが受け持ち、ひとりずつ好みを聞きながら顔に描いていきます。 というか、ちゃんと見本があるんだ!
しっかり白粉(おしろい)を施し…
絵具や墨で一気にぐいっと!
ぐいっと!
ぐいっと!
傍らでにこやかにその光景を見ていたお姉さま方も……
変わり果てた……いや、とっても素敵なお姿に変身でございます。
カメラに気づけば笑顔を向けてくれたり、「なんの取材ですか?」と興味津々に話しかけられたりと、準備の段階からとても楽しげな雰囲気です。3年ぶりということもあるのか、地区の人たちのわくわく感がすでに会場に充満していて、こちらまで心が躍るようでした。
地元、浅野小学校の児童によるお祭り発表会
ひょうげ祭りの会場や渡御順路では交通規制が行われ、一般の観光客は駐車場である香川総合センターから無料送迎バスでピストン輸送されます。祭りの開始時刻が近づくとバスの到着ごとにカメラを構えた観光客の一団が到着し、徐々に賑わいが増してきました。
このあと、お祭りの学習発表会を行う地元の浅野小学校の児童たちが集まるブースをのぞいてみると、こちらも祭りが始まるのを待ちきれない様子の子供たちで賑わっていました。
ひょうげ祭りの伝統を次世代に伝承する取り組みとして、浅野小学校では祭りの学習を行うとともに、毎年ひょうげ祭りにも参加しています。祭り本番の浅野地区集落研修センターから新池までの渡御には4年生が参加しますが、3年生と4年生の児童が中心となり、7月ごろから本格的に祭りの準備をしてきたそうです。衣装なども地域の大人に教わりながら、自分たちで作ったそうですよ。
そして、祭りの本番である渡御開始に先立ち12時30分頃、児童たちのお祭り学習発表会が始まりました。
祭りの音楽に合わせて、この日のために練習してきた愛らしい踊りを披露。児童だけじゃなく、指導に当たる先生たちも楽しそうに踊る姿に、会場を取り巻く保護者や観光客たちもにっこり。時折、声援や拍手が飛び交う中、見事に最後まで踊ってくれました。
大役を果たして、みんなほっとした様子でした。
いよいよ祭り本番!約2kmに渡りひょうげながら練り歩く
そして待ちに待ったひょうげ祭りの本番、浅野地区集落研修センターから新池までの2km余りを練り歩く渡御のスタート。14時の開始とともに花火が鳴り、鐘や太鼓を乗せた車を先頭に獅子舞、児童たち、地区の大人たち、そして神輿の順に行列が進み始めました。
稲穂の垂れる田園をのどかに進む神輿渡御。鐘や太鼓に合わせて威勢よく舞う獅子に続いて、児童たちが沿道の観光客に愛嬌をふりまきます。
可愛らしい巫女さんの姿も。こちらは2年生と3年生の児童なんだそう。保護者が見守る中、はつらつと歩いていました。
続いてやってきたのはシュロでできた馬。神官役は長く保存会会長をされ、先ごろ勇退された植松さんです。自ら先陣を切って元気にひょうげていらっしゃいました。
大人たちもおとなしくしていません! ひょうきんにひょうげながら自分たちも楽しみ、沿道の観光客にも楽しんでもらえるよう練り歩きました。
そして最後を飾るのは地区の若手による神輿。もう、ここが一番盛り上がっている! いきなり沿道の家の敷地に推参して神輿を担ぎまわったり、突然走り出したりと動きが読めない。かなり体力を使っているはずですが、動きが衰えるどころかさらに騒ぎ出す。こういうのも地域に根差したお祭りの良さですよね。
そして祭りのクライマックス!新池に飛び込む神輿に参加者も観光客も沸く
2km余りを練り歩き、いよいよ渡御はクライマックスを迎えます。最終地点である新池に行列が到着すると神事としての祝詞を奏上、そして池に矢が放たれます。
そして皆が注目する中、神官を乗せた神輿が何度かのフェイントのあと勢いよく池に突っ込む!
とたんに会場は拍手喝采で大いに沸き、この祭りにふさわしいひょうげた締めくくりとなりました。 皆さんびしょ濡れだけど楽しそう!
最後に、傍らでにこやかに見守る香川町ひょうげ祭り保存会会長の上原さんにひと言いただきました。
――会長、久しぶりの開催という事でいろいろ心労も絶えなかったと思いますが、ともあれ無事に終わってよかったですね!
ほんと、皆が楽しんでくれたようで本当に良かったです。足を運んでいただいた皆様にも感謝でいっぱいです
――ちなみに会長もひょうげていらしたんですか?
いやいや、私は横で見守るだけですから
いや、会長……
その割にはかなり楽しまれた様子が眼鏡のズレ方から見て取れますよ(笑)
ほんと、最高!(笑)
あとがき
以上、愉快で楽しいひょうげ祭りらしく、こちらも少しひょうげながらまとめてみました。 実は同じ高松市内に住みながら、ひょうげ祭りをじっくり見させていただいたのは今回が初めてでした。噂ではかなり楽しい祭りであることは耳にしていたのですが、まさかこれほどまでとは思わなかったのが正直な感想です。 コロナ禍にあって満足に祭りが行えないもどかしさや寂しさを乗り越えて、3年ぶりに行われたひょうげ祭りには、関係者や参加者皆さんの3年分の熱い思いが込められていたことでしょう。 そして、特に今回印象的だったのは子供たちの屈託のない笑顔でした。大人に混じって、むしろ大人たちより目立つ存在だった子供たちに、地域の人たちの次世代へ繋ぐ優しい親心が反映されているようでとても温かい気持ちになりました。
保存会や実行委員会の皆様をはじめ、浅野地区の皆様方、本当にお疲れさまでした!
2023年の開催情報!
日時:
2023年9月10日(日) 午後2時から(※雨天決行)
場所:
香川町浅野地区集落研修センター(香川県高松市香川町浅野1968−15)発
アクセス:
・無料送迎バス
香川総合センター(香川県高松市香川町川東上1865−13)と(浅野地区集落研修センター)を結ぶ便(予定)
午後1時から午後2時30分まで随時運行(所要時間約5分)
香川総合センターと行列到着地点(新池)を結ぶ便(予定)
午後2時30分から午後5時まで随時運行(所要時間約3分)
・無料臨時駐車場
高松市立川東小学校(香川県高松市香川町川東上1865−8)運動場(午後0時30分から午後5時30分まで予定)
駐車後に隣の香川総合センターより無料送迎バスをご利用ください。
大型バスも駐車可能。