時を超え江戸っ子の気質が受け継がれる東京都千代田区の神田
江戸時代の中期頃から隅田川を行き交った遊船の「佃節」では、「粋の深川、いなせの神田、人の悪いは麹町」などと歌われていたようです。今では首都圏の中心となっている神田には、江戸っ子の気質が受け継がれているのでしょうか。江戸っ子の条件の一つには、神田神社の氏子や檀家であることというものがあります。定義の真義はともかく、東京都千代田区に社殿を構える神田神社には江戸の文化が根強く残されています。明神様の愛称をもつ神社の境内には桜が植樹され、例年3月下旬から4月上旬にかけて明神様に春の訪れを知らせてくれます。2021年は気候の影響から3月25日前後に見頃となり、4月に入ると花弁が風に舞うようになりました。
江戸三大祭の一つに数えられる神田祭
神田神社で隔年の5月中旬に行われる神田祭は、山王祭、三社祭とともに江戸三大祭の一つに数えられています。かつては山車の曳行が行われていましたが、現在では主役を神輿に譲っています。
薄紅色に化粧される隨神門や御神殿
神田神社の境内で桜が育てられているのは、数か所のスポットに限られます。参詣者が最初に目にするのは正面玄関となっている隨神門の西側です。総檜、入母屋造りの堂々とした建造物の外面、内面を桜の花で薄紅色に化粧されます。
隨神門は朱塗りの外観が印象的ですが、御神殿の外壁も朱色に装飾されています。権現造りの社殿は東側の獅子山とともに桜の花が彩りを添えてくれます。
御神殿の北側には祖霊社の他、数々の摂末社が建立され薄紅色の桜の花で縁どられます。
神田神社の境内では点在する桜の花を見ながら、数々の建造物を眺めることになるでしょう。桜の花の密度が物足りなければ、境内の西に隣接する宮本公園に足を向ければ欲求不満は解消するに違いありません。
観光地の売店のような文化交流館
神田神社では御神殿を一周しながら、点在する桜の花を落ち着いた雰囲気で鑑賞することができますが、境内の西に設けられた文化交流館はユニークです。館内は観光地の売店のような空気に包まれています。お守りやお札ばかりでなく朱印帳もバラエティー豊富に揃っています。他にも東京土産も並ぶ上にカフェまで完備しているので、神社にいることを忘れてしまいそうです。
「粋の深川、いなせの神田、人の悪いは麹町」と歌われた東京都千代田区の神田には、時を超えて江戸っ子の気質が受け継がれます。江戸三大祭の一つ神田祭が開催される神田神社の境内には桜が点在しています。御神殿や隨神門などが、例年3月下旬から4月上旬には薄紅色の化粧で装飾されます。