どうも奇祭ハンターのMacです。今回は一年の振り返りとして、今年行った奇祭の中から、特に印象的な奇祭を10選んでみました。それにしてもバラエティー豊かというか、多様性にあれふれるというか、うん、むしろ多様性しかない! ぜひ、今後の旅行計画の参考にしてみてくださいね。
目次
①加勢鳥【山形】
山形県が誇る奇習「加勢鳥」。全国に裸祭りは数あれど、神(正確には神の使い)に変身するタイプの祭は実は珍しいかもしれません。ワラ蓑を上から被るざっくりした納豆お化けのようなフォルムに、これで「鳥」だと言い張る(片足でピョンピョン跳ねるから?)造形にも段々と愛着がわいてきます。開催地は歴史ある上山城下の温泉街なので、お祭りの前後は城探訪と温泉も併せてどうぞ。
■日時:2020年2月11日(火)
■会場:山形県上山市元城内3-7 上山城前広場~市内
■交通:JR山形新幹線かみのやま温泉駅から徒歩11分(上山城前広場)
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「かみのやま温泉の絶滅危惧種、加勢鳥をレポート! 黒木メイサ以上の黒髪美人が誕生する?!」
②ひな流し【和歌山】
ひな祭りの起源は、ひな人形を川に流すひな流しが原型で、さらにそのひな流しの源流となったのがこの淡嶋神社のひな流し。奇祭探訪は、時に祭りのオリジンを探る旅でもあります。というわけで、今回はひな祭りを起源(オリジン)を訪ねて和歌山へ。
掲載した写真は、紙吹雪が偶然にもぼくのいるほうへ飛んできて撮れた奇跡の一枚。シーンは、これからひな人形を海に流す前に、人形たちがあちらの世界へと行けるよう、神主さんが祝詞を唱え、紙吹雪を巻き、神の国への道を開いているところで、いわば「神の国への道が開いた瞬間」です。
古代と違って、人形たちを海に流したままというわけにもいかず、この後、人形たちは回収されて近くの浜辺で灯油をかけられ……(後はお察しください)。業火に包まれる人形の顔もしっかり写真に納めてインスタにあげたら深夜に見た友人から「恐怖でトイレに行けなくなったじゃないのぉ」という苦情が来ました(汗。
■日時:3月3日(毎年)
■場所:淡嶋神社
■交通:加太・南海電車「加太駅」 下車徒歩15分
http://www.kada.jp/awashima/
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「ひな祭りオリジン、淡嶋神社のひな流し 君は人形たちの声を聴いたことがあるか?」
③くま祭り【山形】
何せ山奥で朝から行われるので「泊まりがけでないと観覧は無理!」と判断したため、初の泊まりがけ取材となった記念すべき奇祭。行ってみたら、ゴールデンウイークの真っただ中にも関わらず、満開の桜に万年雪、おまけに絶景温泉と熊肉のジビエも堪能できて普通に良い旅となりました。お世話になった民宿「奥川平」さんには感謝しています。朝食の、近くで採れた山菜も最高でした。
■日時:5月4日(毎年)
■会場:国民宿舎「飯豊梅花皮荘」脇
■交通:米沢駅からJR米坂線小国駅まで1時間30分、小国駅から車(または町営バス「飯豊梅花皮荘」行き)で45分
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「究極のご当地ジビエと絶景温泉が最高過ぎるクマフェス、小玉川熊祭り」
④くも合戦【鹿児島】
クマ祭りの次は、クモ祭り。半日、ずっとクモたちの戦いを見ていました。始めは想像以上にデカいクモが200匹以上いる様子にビビっていましたが、健気に戦うクモの様子をずっと見ていると不思議と愛着もわいてくるものです。
一説によると、島津義弘公が文禄・慶長の役(1592年~1598年)に参戦した際、その陣中で兵士を元気づけるために、コガネグモを集めて戦わせたのが始まりなんだとか。しかし、島津の殿様もまさかその後、祭りとなり、400年続くとは思うまい。開催地は霧島市の近辺の加治木町で行われるため、併せて霧島観光もおすすめです。
■日時:6月第3週日曜日(父の日)8時半~16時
■場所:姶良市加治木福祉センター
■交通:加治木駅徒歩9分
〇クモが苦手な人は閲覧注意。クモが苦手な人は閲覧注意。クモが苦手な人は閲覧注意。
「【閲覧注意】加治木のくも合戦! かみつくか、ぶっかけるか、切り落とすか。真のスパイダー大戦がここにある!」
⑤どろいんきょ【埼玉】
白木造りの神輿を水をまいた庭の中で勢いよく転がし、泥だらけにするお祭りです。疫病神としてのスサノオを水辺で暴れさせるミソギを家の庭先でやる点が変わっています。その昔、水運の要所として栄えた平方の過去の繁栄ぶりを想起させ、また今でもお祭りがしっかり地域コミュニティの核として根づいていることを改めて認識させられました。かつての祭運営のOBであったろう、車いすの老人の頬を伝った一筋の涙が今でも忘れられません。
■日時:2019年7月14日(土)13時~(各所にて)
■場所:平方神社ほか町内
■交通:JR「上尾駅」からバスで15分 バス停「平方神社前」下車徒歩5分
https://www.saitamatsuri.jp/matsuri/doroinkyo/
⑥亡者踊り(西馬音内盆踊り)【秋田】
今や全国的に有名になった阿波踊りや近年、人気の郡上踊りと並ぶ日本三大盆踊りのひとつ、「西馬音内(にしもない)盆踊り」。「亡者踊り」という異名が気になって思い切って秋田現地へ見に行ってきました。都内イベントなとで踊り自体は見る機会が増えてきた西馬音内盆踊りですが、この仮面舞踏会然とした独特の妖しくも幻想的な雰囲気は現地に行かないと味わえないものではないでしょうか。数時間にわたる踊りがすべて終了した後、一斉に仮面をとったみなさんの気持ちよさそうな笑顔たるや。
■日時:毎年8月13~15日
■会場:西馬音内盆踊り会館前(秋田県羽後町)
■交通:湯沢駅からバスで羽後町へ
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「秋田の西馬音内盆踊りに行ってみたら、歌詞がガチでパリピだった件。「人は顔じゃない、手だ」という結論に」
⑦タバンカ祭【茨城】
奇祭には火祭りも欠かせません。お寺が出火した際に、畳と鍋ぶたを使って火を消し止めたという故事が基で、拝殿前に備えられた二本の大松明に点火し、勢いよく燃え上がる火を囲んで畳や鍋ぶたを力一杯石畳に叩きつけます。時々、この御神火で火を点けた松明を一束ずつ両手に持った所役2名が、松明を振り回しながら境内をかけまわります。会場の大宝八幡宮は、宝くじや試験合格のご利益でも有名ですよ。
■日時:2020年9月第一土曜(※毎年9月第一土曜開催)
■場所:大宝八幡宮(茨城県下妻市大宝667)
■交通:関東鉄道常総線大宝駅より徒歩3分
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「茨城県・下妻のタバンカ祭 ドドドドドドドドド。畳と鍋で火をバタンバタンやった後、松明が襲う?!」
⑧仮想通貨奉納祭【東京】
メディア・アーティストの市原えつこ氏さんがプロデュースした、伝統的な神事を現代的に解釈し、アップデートしたキャッシュレス時代の奇祭。昔ながらの商店街を舞台に、様々な才能が結集し、世界中からビットコインを奉納できるサーバー神輿、バイオ御神体、天狗ロボット、電磁祭り囃子、人力で仮想通貨をマイニングするマシンなどが登場しました。都市における祭の潜在力、奇祭フォーマットの新たな可能性を切り開いたお祭りでした。奇祭は、つくれる!
■日時:2019年11月9日・10日
■会場:川島商店街全域(東京都中野区)
■交通:東京メトロ丸ノ内線「中野新橋駅」より徒歩8分
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「ズッキュウウウン、東京に新たな奇祭が爆誕! 仮想通貨奉納祭に行ってみた」
⑨木幡の幡祭り【福島】
新たな奇祭の爆誕に立ち会ったかと思ったら、次は1000年近く続く奇祭を訪問。五色に彩られた百数十本の五反幡を押し立て法螺貝を響かせ、阿武隈の山間の道をぬって木幡山をめざすという福島のお祭りです。今年行った中でも一番のフォトジェニックな奇祭のひとつで、それだけに地元のカメラマンたちとの場所取り争いが壮絶でした。
■日時:毎年12月第一日曜
■会場:木幡住民センター前グラウンド~隠津島神社(木幡山)
■交通:二本松駅からバスで約40分
⑩長松寺のどんき祭り【愛知】
愛知の「どんき」は凄い! そんな噂を耳にしたのはいつのことでしょうか? ドンキホーテではなく、どんき祭り。何しろホラー映画の一シーンのようなビジュアルがもう圧巻!
どうも元々は、火防の神様として信仰される秋葉権現の祈祷のオマケ、人集めの余興として江戸時代あたりから始まったらしいです。白狐は、秋葉権現の従者としての狐(ざっくり修験道の狐)で、同じ豊川市で有名な豊川稲荷(ダキニ神の従者としての、仏教系のお稲荷様)とは別物。ただし、秋葉権現の、鴉天狗の姿で白狐に乗って飛翔するデザインは、やはり白狐に乗って飛翔するダキニ神像からの流用らしいので、全く関連がないとも言い切れません。
正体不明の白ずくめの狐の男が迫ってくる恐怖は、小さい子供にとってはただ恐怖でしかないらしく、小さい子どもたちのギャン泣きと、それを見守る周りの人の温かい笑顔が印象的な奇祭でした。
■日時:毎年12月第三日曜
■会場:長松寺(豊川市御津町下佐脇北浦17-1)
■交通:JR東海道本線「愛知御津駅」下車 徒歩15分
https://www.toyokawa-map.net/festival/donki.php
毎年12月第三日曜に開催される #どんき 祭りの動画、第二弾(総集編)です。狐面の男が木の棒(どんき)につけた食紅を子どもたち(時々大人)に塗ろうと追いかけ回すお祭りです。 pic.twitter.com/gORVZQzwSF
— オマツリジャパン (@omatsurijapan) December 16, 2019