2023年8月9日から12日、高知県高知市で「よさこい祭」が開催されます!
全国区の人気を誇るこのお祭り、4日間にわたって行われる踊りの祭典です。この記事では、2018年の現地レポートとともに、2023年の開催情報をお届けします。
「高知の城下へ来てみいや。」
— 賑やかにそう歌う人々の声を聞くと、今年も一番暑いあの季節がやってきたのだなと感じる。
徳島県の阿波踊りを見た高知商工会議所の方々が開催を決意した「よさこい祭り」も、2018年をもって晴れて65回目を迎えました。
約400年を超える歴史を持つお隣の徳島県で開かれる阿波踊りを見てみると、高知のよさこい祭りはその歴史はまだ浅い方かもしれません。
しかし、その熱気と熱狂は日本や世界の中で見ても「誇り」に値するものがあるのではないでしょうか。降水確率の一番低いとされていた8月10日、8月11日に毎年開催されるこのお祭りも、65回にわたり人々を圧倒的な感動で包み込み、今や日本を大きく盛り上げる大切な役割を担っていると感じています。
個人的な話にはなりますが、僕は2013年にこの「よさこい」という文化に出会い、その魅力にどっぷり浸かるように引き込まれていった人間の一人です。
2018年まで5年連続で参加してきたこの「高知よさこい祭り」を、写真や文章を通して少しでも体感していただき、そして少しでも「行ってみたい」と思うような人が増えてくれれば嬉しいなあと思います。
自由の象徴としての「よさこい」。
「よさこいって何?」
僕がよさこいに出会ったときにまず抱いた疑問でした、よさこいって聞いたこともないけど一体どんなものなのだろうかと。
よさこいは先ほども述べたように徳島県の阿波踊りを見て高知で生まれた1つの文化ですが、わかりやすい特徴はやはりその「多様性」や「自由度」ではないかなと思います。
踊りや文化のジャンルとしては珍しく厳格なルールが定められておらず、楽曲も衣装も振り付けも様々なチームがそれぞれの表現したいものをよさこいを通じて表現しています。明確な決まりといえば、次の2つが主なものでしょう。
- ・「鳴子」を手に持って前進する踊りの振付。
- ・「よさこい鳴子踊り」の曲を必ず曲中に入れる。
そのほかにもお祭りごとのルール、それこそ高知よさこい祭りは1チーム辺りの参加人数が150人と規定されていたり、「地方車」と呼ばれる音響トラックの大きさなどが主に定められていますが、「踊り」に関していえば非常にルールが自由なのがよさこいの大きな特徴です。
「高知の城下へ来てみいや。」
「よっちょれよ、よっちょれよ。」
「土佐の高知のはりまや橋で、坊さんかんざし買うをみた。」
もしかしたらこんな歌詞やメロディーを聴いたことがあるかもしれませんが、これが先に述べた「よさこい鳴子踊り」の曲。この曲を制作した武政英策氏も「祭りが広がるように」と楽曲の著作権を放棄したのだとか。
それはまるで土佐のおおらかな風土やそこで過ごす人々のように、太っ腹で自由奔放でだからこそ魅力的な文化。それが「よさこい」だと思っています。
高知よさこい祭りの見所と、見るものを圧倒する「距離感」。
そんな多様性と自由な気風が育てたこの文化は、暑い夏の季節を熱く熱く彩ります。
若い学生から大人、小さなお子さんも。そして、踊っている人だけではなくカメラを手にする人やお祭りを運営されている方、沿道で見守るお客さんも。多くの人々のよさこいにかける想いや「楽しい」という純粋な気持ちが、土佐の高知を色鮮やかなものにします。
老若男女関係なく、そしてそこで踊っているか踊っていないかということも関係なく。
「よさこい」という1つの文化を共有する人たちが集まるその空間は、とても温かい雰囲気と燃えるような熱狂に包まれていました。
また、高知よさこい祭りは高知市内にある9カ所の「競演場」、そして7カ所の「演舞場」を約200を超える数の団体が練り歩きます。
その中でも「中央公園競演場」「高知城演舞場」の2つのステージ会場を除く他の会場はストリート会場、つまり普段は車やバスが通っているような道を踊り子が踊りながら進む会場です。200団体で各チーム最大150人の踊り子が参加しているために、その総数は20,000人近くにもわたりますが、踊り子だけでなく沿道のお客さんもいるためにとにかく人が多く集まっている印象。
さらに、沿道を練り歩くことを「流し踊り」「パレード」などと呼ぶことが基本的に多いのですが、この形式をとるよさこい祭りの大きな特徴はやはりお客さんと踊り子との「距離感」でしょう。
写真を見てもその距離感が伝わってくるかもしれませんが、とにかく踊り子との距離が近い。見ているだけでこちらも汗が流れ出てくるくらい、時には踊り子とハイタッチしてしまいたくなるくらい。
よさこいが「参加型」のお祭りだと言われる所以はここにあると思います。それだけお祭りという括りで見ても演者とお客さんの距離感が非常に近いのが特徴的で、まさに沿道で踊り子を見守る自分自身もお祭りの熱気をその身をもって体感することができます。
まだ見に行ったことがない人は本当にもったいない、と言ってしまいたくなるくらい高知よさこい祭りで感じられるその雰囲気や空気感はまさに「圧巻」です。
本場から繋がりを広げ、違いを認め合う「よさこい」の文化。
そんなよさこいの文化は本場である「高知よさこい祭り」を始め、全国各地に広がりを見せています。
- ・北海道札幌市の「YOSAKOIソーラン祭り」
- ・長崎県佐世保市の「YOSAKOI佐世保まつり」
- ・宮城県仙台市の「みちのくYOSAKOIまつり」
- ・愛知県名古屋市の「にっぽんど真ん中祭り」
- ・東京都豊島区の「東京よさこい」
- ・兵庫県神戸市の「神戸よさこい」
…
ここに挙げたよさこい祭りはほんの一部、全国各地それこそ47都道府県のほぼ全てによさこいが踊られるお祭りがあります。おそらくこれほどまでに全国津々浦々に浸透している文化というのもなかなかなく、これもまたよさこいの大きな特徴でしょう。
最近では海外でもその広がりを見せており、海外発足のチームが日本のお祭りに参加していたり、逆に日本のよさこいチームが海外で演舞を披露したりと、「よさこい」を1つの共通項として幅広い交流が図られています。
自由だからこそ、その繋がりは広がっていく。
多様だからこそ、お互いの違いを認め合える。
そんな素晴らしい文化としての「よさこい」の魅力を、ぜひ本場土佐の「高知よさこい祭り」に実際に足を運び体感してみてください。
その熱狂と感動を味わい、そして毎年この熱い季節が来ることを「まだかまだか」と心待ちにするような人が一人でも増えればなあと。
そんな風に思います。
2023年の開催情報!
<8月9日(水)>前夜祭
11:00~15:00 土佐学生よさこい大会(高知城)
17:00~ 祈願祭(中央公園)1.神事(玉串奉典) 2.関係者挨拶 3.よさこい大賞カップ返還 4.踊り子隊優秀旗返還
18:00~21:30 前夜祭(中央公園)※第66回本番受賞チームの演舞
20:00~21:00 花火大会(鏡川河畔)
<8月10日(木)・11日(金)>よさこい祭り本番
10:00~12:00 高知大学演舞場(事前登録チーム)
11:00~22:00 帯屋町演舞場
11:30~22:00 中央公園競演場
12:30~21:30 上町、升形地域、万々、愛宕、菜園場、梅ノ辻、はりまや橋(以上 競演場)、旭、京町、秦、高知城、高知駅前(以上 演舞場)
13:15~16:55、17:35~21:30 追手筋本部競演場
17:30~21:30 柳町演舞場(地元チーム限定※11日のみ)
<8月12日(土)>全国大会・後夜祭
12:30~ 全国大会(※12:30から高知城にて開会式典)
13:15~22:00 全国大会(高知城、追手筋、帯屋町、中央公園)
※4会場にて演舞(会場により多少異なります)
18:30~22:00 第70回本番受賞チーム表彰(中央公園)
後夜祭(中央公園)
※参加資格、第70回本番受賞チーム(地区競演場連合会地方車奨励賞受賞チームは除く)