鯉のぼりが各家庭で飾られるようになると、暖かい春から暑い夏へと、四季の移り変わりを感じるのではないでしょうか。
立派な鯉のぼりをお庭に飾ったり、小さめのサイズの鯉のぼりをベランダに掲げてみたり、人それぞれの楽しみ方ができる鯉のぼりですが、そもそもの意味や由来、こどもの日に鯉のぼりを飾る理由はご存知でしょうか?鯉のぼりは古くから日本に存在しており、そのルーツを辿ってみると意外なものだったりします。
子供から、鯉のぼりについてあれこれ聞かれた時にきちんと説明できるように、鯉のぼりの歴史やこどもの日に飾る理由、鯉のぼりが楽しめるお祭りをご紹介していきます。
鯉のぼりとは?歴史や飾る理由を解説
さまざまなパステルカラーで彩られた鯉のぼりの空中遊泳を眺めていると、童心に帰ったような気分になりますよね。最近では、「庭が狭いから飾れない」「マンションだから近所迷惑かも」など、鯉のぼりを掲げるご家庭が少なくなってきています。ここからは、鯉のぼりを飾る時期やタイミング、値段、室内で楽しむことができる鯉のぼりまで、洗いざらいご紹介していきます!今一度、鯉のぼりの歴史について知見を深めていきましょう。
鯉のぼりの歴史
なぜ「鯉のぼり」なのか?それは中国王朝に関する歴史書が記しています。
「鯉のぼり」
鯉のぼりは、江戸時代からはじまった風習です。
滝を登りきった鯉は龍になれるという中国の逸話にちなみ、出世の象徴とされました。
たくさんの鯉のぼりが青空を泳ぐ様子は圧巻ですね(*^^*)#暦生活 #カレンダー #暦 #鯉のぼり #こどもの日 #夏 #青空 #季節 pic.twitter.com/EaA8UnBwkd— 暦生活|日本の季節を楽しむ暮らし (@543life) May 5, 2018
中国大陸の黄河上流の竜門山にある渓谷には、急流で幅が狭い川が流れていました。多くの魚が急流を登ろうと川を登ろうと試みますが、失敗に終わります。竜門の激しい川の流れに負けず、登り切ったのは唯一、鯉だけでした。伝説によると急流を登り切った鯉が龍になり天に登っていったとの言い伝えがあります。
こうして、立身出世のための狭き門を「登竜門」と呼ぶようになり、男の子の出世を祈る江戸の裕福な商人たちが、鯉のぼりを掲げるようになりました。
こどもの日に飾る理由
武家社会では、子供が生まれるとのぼりや家紋のついた旗を立てて祝う習慣がありました。江戸時代、武士より地位が低く見られていた商人も、武家に負けじと、武士を模した猛々しい武具などの装飾品を飾り、鯉の滝のぼりで立身出世の象徴であった鯉をのぼりにするアイデアが生まれました。
元々は黒の真鯛一匹でしたが、明治から昭和にかけて「3」の数字は縁起が良いということで、「父親=黒」「母親=赤」「子供=青」の3匹が飾られるように変化しました。さらに、女性の社会進出が目立つようになった時代背景から、女の子も含めた子供の数だけ鯉のぼりを飾るようになり、端午の節句が家族全体で祝う祭事へと変化していきました。
『こどもの日の意味や由来とは?食べる物は?こどもの日にやることを解説!』記事はコチラ
『端午の節句には別の呼び方がある?地域ごとのこどもの日の祝い方』記事はコチラ
鯉のぼりをいつから飾る?値段はどのぐらい?
鯉のぼりはいつからいつまで飾るべきなのか、どれぐらいの値段のものを買えばいいのか、新米のパパママはわからないことばかり。ここでは、その2つについて解説したいと思います。
鯉のぼりを飾るタイミングと片付けるタイミングは?
鯉のぼりはいつからいつまで飾るべきなのか、はっきりとはわからない方が大半ではないでしょうか。端午の節句は5月5日ですが、地域によっては6月5日がこどもの日だという地域もあります。そのため一般的には、3月20日の春分の日を過ぎた段階で飾るのがベターです。また、大安にあたる日は一日中あらゆることが吉とされており、鯉のぼりを飾るベストなタイミングといえます。
鯉のぼりを片づける時期ですが、鯉のぼりを飾るときと同様、決まった日までには片付けなければならないといった決まりはありません。端午の節句が終わり、都合の良いときに片付けましょう。また、鯉のぼりを飾り終える時期は「成人するまで」「七五三の七歳を迎えるまで」と各ご家庭でまちまちです。
鯉のぼりはいくらするの?
大小さまざまなタイプの鯉のぼりがある中で、値段も気になりますよね。設置する場所、生地やサイズ、プリントか職人染めかなどにより、さまざまな価格帯の商品があります。
また、鯉のぼりは主に屋内用・屋外用に分かれ、その他にもどこに設置するかによって値段が変わります。一般的には屋外用の鯉のぼりは支柱やロープを必要とするため高価な傾向にあり、屋内用は安価な傾向にあります。
主な鯉のぼりの種類としては、屋内用・ベランダ用・屋外用スタンドタイプ・屋外用ポールタイプの4つがあげられるでしょう。
室内用とベランダ用が3000円~10万円程度、屋外用スタンドタイプは2万円~20万円程度、屋外用ポールタイプは2万円~100万円程度が相場です。
このように同じ種類でも大きな値幅があります。
今やこちらが主流!室内で楽しめる鯉のぼり
広大な庭がついている一軒家では、家屋の高さを超える鯉のぼりが悠然に泳いでいる姿を見ることができます。しかし、鯉のぼりを飾る習慣が薄れてきたことや、大きな鯉のぼりを飾りたいけれどもマンションだから飾れない、といった事情から、街中で鯉のぼりを飾るご家庭が減りつつあります。
最近では、ベランダや部屋に飾るコンパクトでかわいい鯉のぼりがトレンドです。室内用には「壁掛け鯉のぼり」や「卓上鯉のぼり」、お子さんが触って遊べる「木製キャラクタ―鯉のぼり」など、豊富なラインナップから選べます。
ここからは、オマツリジャパンのオススメをいくつかご紹介します。
【はりこーシカ こいのぼり】
和紙の張子で作った鯉のぼりのマトリョーシカ。大きな鯉のぼりの中には、少しずつ小さな鯉のぼりが入っています。春らしい色合いと可愛いフォルムで、存在感はありつつもおしゃれに飾れるこいのぼりです。
【三池和紙鯉のぼりセットミニ 3匹】
かつて鯉のぼりの産地だった香川県で作られた鯉のぼり。一つ一つ手書きで書かれた鯉は、素朴な風合いと愛らしさで、なんだかほっこりした気持ちになります。台座もセットされているので、家ですぐ飾ることができるのも嬉しいですね。
【三池和紙鯉のぼり】
先にご紹介した三池和紙鯉のぼりセットミニと同じく、こちらも手描きの鯉のぼり。和紙を贅沢に使用し、その大きさは45cmの大きさと迫力満点。赤・黒・青・緑と4色あるので、お好きな色を、もしくはセットで購入してみるのもいいですね!
小さな鯉のぼりでも、子供の健康や成長を願う意味合いが薄まることはありません。伝統的な行事を重んじながらも、鯉のぼりの可愛らしくも逞しい姿をより身近に感じることができるのではないでしょう。
鯉のぼりを手作りしよう!
こどもの日に飾る鯉のぼり。お子さんに喜んでもらうために本格的な鯉のぼりを探してみても、数万円単位のものが多く、簡単には買えないですが、ちょっとしたアイディアで安く、簡単にこいのぼりを作ることができます。
こどもの日の当日、SNS上にはアイデアに溢れた手作り鯉のぼりがアップされています。割り箸や爪楊枝をポール代わりにして、イラストサイトからダウンロードして作った鯉のぼりをつければ、手のひらサイズのミニ鯉のぼりのできあがりです。また、完成したミニ鯉のぼりをフォトフレームの中に入れることで、ちょっとしたスペースにおしゃれに飾れるフォトジェニックな額縁入り鯉のぼりとしても楽しめます。
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また、足形・手形の鯉のぼりも愛着が湧きます。好きな色の絵具を手のひら足の裏にたっぷり塗り、白の厚紙に押し付けます。マスキングテープを駆使して、ポールや矢車、吹き流しを表現すると完成度が高まるでしょう。
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この機会にお子さんと一緒に笑顔こぼれるハンドメイド鯉のぼりでこどもの日を一生に一度の記憶に残る思い出にしてみては?
■おすすめのイラストサイト
・ちびむすドリル
こどもの日を手作りメニューで楽しく祝おう!こいのぼりのケーキも作れます
鯉のぼりが楽しめるお祭り3選
全国には鯉のぼりが楽しめる有名なお祭りが多数存在します。エネルギッシュな鯉のぼりたちが躍動するお祭りを3つご紹介していきます!
※最新情報は公式サイトでご確認ください。
【東京都】「東京タワー333匹のこいのぼり」
全長333mの高さを誇る東京タワーでは、毎年恒例のイベントが開催されます。東京タワーの高さ”333m”にちなみ、”333匹”の鯉のぼりが楽しめる端午の節句の特別企画です。
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2023年は、「東京タワー333匹のこいのぼり」装飾の中に、セサミストリートのカラフルな鯉のぼり40匹が出現します。
多様性を表現したカラフルな鯉のぼり展示や、期間限定のセサミストリートのポップアップショップなど盛りだくさんの内容となっています。
ゴールデンウィークのおでかけにもよさそうですね。
■日程:2023年3月24日(金)~5月7日(日)
■場所:東京タワー 正面玄関前(入場無料)
詳しくは東京タワー公式サイトをご確認ください。
【茨城】竜神峡鯉のぼりまつり
茨城県常陸太田市には、雄大な渓谷「竜神峡」があります。渓谷を流れる竜神川に竜神ダムがそびえ立っており、その上に長さ375m、ダムの湖面からの高さが100mを超える日本最大級の歩行者専用橋「竜神大吊橋」が架かっています。
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毎年5月5日になると、約1,000匹もの鯉のぼりが竜神峡に突如出現。渓谷と川から巻き起こる風を浴びながら泳ぐ姿は圧巻の光景です。吊橋と鯉のぼりのコラボレーションが見られる「竜神峡鯉のぼりまつり」には、およそ3~4万人もの来場者で賑わいます。
■日程:2023年4月29日(土)〜5月14日(日)
■場所:竜神大吊橋
詳しくは竜神峡公式サイトをご確認ください。
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【埼玉県】加須市民平和祭
埼玉県加須市は、「こいのぼりの町」として有名です。日本有数のこいのぼり生産量を誇る加須市では、毎年5月上旬ごろになると屋台や縁日が利根川の河川敷を埋め尽くします。2023年は、4年ぶりにコロナ前の内容に戻して開催されます!
「加須市民平和祭」のメインイベントでは、重さ330kg、全長100mの巨大鯉のぼりの登場です。クレーンで吊るされたジャンボ鯉のぼりは、10mにも及ぶ口輪を豪快に開け、お腹いっぱいに風を吸い込みます。加須市民約2,500人の手によって作られた世界一大きい鯉のぼりとして、こどもの日のシンボルとして誇らしげに空を泳いでいます。
■日程:2023年5月3日(水) ※予備日 5月4日(木)
■場所:《メイン会場》 利根川河川敷緑地公園、《対岸会場》大高島市区河川防災ステーション
詳しくは加須市公式サイトをご確認ください。
まとめ
子供たちが明るく立派に育っていくようにとの願いが込められ、こどもの日に掲げられる鯉のぼり。鯉のぼりの歴史を知ることで「子供に喜んでもらうための飾り」ではなく、「子供の健やかな成長への願いが込められた、神聖なもの」という位置づけでこどもの日を迎えられるのではないでしょうか?鯉のぼりをご自宅に飾るも良いですが、本格的な鯉のぼりがあるお祭り会場にも足を運んで、思い出に残るこどもの日にしましょう!