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【盛岡裸参り】極寒の盛岡、夜に響く鈴の音に心が洗われる

2021/1/26
2021/1/25
【盛岡裸参り】極寒の盛岡、夜に響く鈴の音に心が洗われる

寒さの中気持ちを込めて奉納する盛岡裸参りは、藩政時代から伝えられてきた神聖なる伝統行事。小正月の夜、下帯姿に注連縄、わらじ姿の男たちが、一年の無病息災、豊年を祈願するお祭りです。

2020年は、不退院:1/12、永祥院:1/11、教浄寺:1/14、盛岡八幡宮:1/15、浅草観世音:1/18、桜山神社:1/26に行われましたが、2021年は、中止が決定しました。

さて、盛岡裸参りと言われて、どのような祭りを想像しますか。

盛岡の裸参りとは?

盛岡裸参りは、下帯姿に注連縄、わらじ姿の男たちが、一年の無病息災、豊年を祈願するお祭りで主に盛岡の地域の消防団が主となって参加しています。例年9月14日~16日まで行われる盛岡秋まつりの各団体がほとんどそのまま裸参りにも参加しているのです。

消防団の支えで地域の子供も参加消防団が支えとなり裸参りを行う

筆者が所属する「八幡町四分団 い組」は、盛岡八幡宮のお膝元と団体として盛岡秋まつり同様毎年参加しています。今年は、新型コロナウイルスにより中止の報告を受け、皆がっかりしています。この記事では、同団体の紹介をしながら昨年までの様子を振り返ります。

およそ半月かけて準備をしていきます

はさみと纏3メートルもある「はさみ」

「八幡町四分団  い組」では、当日使う「はさみ」と呼ばれる3メートルほどの長い棒や「くわえ」と呼ばれる三角の白い棒を事前に準備します。「はさみ」には108枚の三角の紙を挟みます。これで煩悩を払うそうです。「くわえ」は、半紙を三角に折ったもので、これをくわえて奉納する事によって、健康祈願などの思いを外に吐き出さずに神社まで持っていけると言われる事と極寒の盛岡の街を歩く参加者の震えを止めると言われています。
当日は、団体の参加者をサポートするように列の外側についた団体関係者が、参加者の「くわえ」を静かに交換します。また、各団体の先頭には、祈願する寺や神社に鯛やお餅などのお供えを持って歩く参加者の姿があります。

静かに力強く思いを込めて 歩みをすすめる

整列をしてすすみます一歩一歩ゆっくり静かに進みます

お札をもやすどんと祭の日行われます

祭り当日、参加者は、昼ごろ集まり身を清めるために全員で近くの銭湯に向かいます。

丁寧に体を洗い、ゆっくりと熱いお湯に浸かって体を清め温めます。そして消防団の「番屋」に戻り、参加者ひとりずつ下帯を締めてもらいます。最近は下帯を締めてあげられる人が少なくなっていて、後継者を探しています。締め具合によって歩きやすさが違うそうです。
締め始めからキュッときつくしていく事で腰を支え、「はさみ」の重さに耐え、腰を落としてゆっくりと歩く独特の歩き方がしやすくなります。
参加者は、「しっかり締めてもらうと帯が自然と体になじんで締まり気持ちが入る。」と言います。男性だけではなく女性も参加できます。女性は、胸に晒しを巻いて参加です。

その後出発点である肴町商店街アーケードで記念写真をとり、整列し盛岡八幡宮に向かいます。ゆっくり腰を落として一歩一歩八幡宮に向かい、八幡宮に着くと一人ずつお神酒を頂き冷えた体を癒します。そして静かに帰路につきます。

列を横切ってはいけません

盛岡裸参りは、参加者個人個人、そして団体でも健康や商売繁盛など祈願をして歩くものです。

ですから、各団体の列を横切ることはできません。参加者の思いを断ってしまうからだそうです。誤って通りぬけようとするなら、団体の係りの人や祭りの意味を知る地元の人から強く戻されます。お気をつけてご覧ください。また5年、10年、20年と続けて参加することによってご利益も大きくなるそうです。参加記念に銀杯や金杯などが贈られます。

 

静まり返った盛岡の夜の街に響く、裸参り参加者が鳴らす鈴の音に心も浄化される「静」の祭りです。来年はコロナ消滅を願って裸参りができる事を祈っています。

*写真は2020年までに撮影したものです。

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