近畿で「えべっさん」の愛称で親しまれ、毎年1月10日前後3日間に「えびす様」を祀る神社で盛大に開かれる祭りと市といえば「十日戎(とおかえびす)」。関東でもいくつかの神社で、毎年10月20日に祭りが行われ、名物「べったら漬け」の市が立ち賑わいます。こちらは20日がご縁日ということで「二十日戎」と呼ばれますが、長野市岩石町の西宮神社でも毎年11月20日を最終日とする3日間に「えびす講祭」が開かれます。
長い歴史を持つえびす講祭のなかで、明治32(1899)年に街の有志たちが、えびすの神に感謝するとともにえびす講の景気付けをしようと朝から夜半まで花火を打ち上げたことが、「長野えびす講煙火大会」の始まりになりました。すでに大正時代から、厳選された高い技術を持つ煙火師が参加してきたことから、別名「出世煙火」とも呼ばれているそうです。
ここからは、コロナ禍前の2018年に開催されたときのレポートをお届け。2023年の開催情報もあわせてお伝えしますので、ぜひお出かけの参考にしてくださいね!
長野の「えびす講祭」を締めくくる盛大な花火大会
毎年11月23日の勤労感謝に開催される長野えびす講煙火大会。「信州の澄んだ 夜空を彩る 晩秋の花火」がキャッチコピーになっています。地元の花火業者である紅屋青木煙火店と信州煙火工業が担当し、歴史も古く今回で113回目の開催になります。
長野市と言えば、国宝でもある善光寺が有名なので、えびす講煙火大会もその関係のお祭りであると勘違いしそうですが、実際には、お寺の付近にあってえびす様を祀る西宮神社の例大祭になります。
11月17日の前夜祭から20日の本えびすまで、えびす講祭が行われます。商売繁盛のえびす神への祈祷、重要無形文化財である江戸里神楽が舞い、だるまや熊手等の縁起物の露店が立ち並びます。その祭りの最後を飾る花火が長野えびす講煙火大会なのです。
花火会場の場所は長野駅から徒歩30分程の犀川第2緑地にあります。年々、訪れる人が増えている様で場所取りが厳しくなり、お昼前に到着したにもかかわらず既にこの有様でした。
当然ながら撮影者も多く、土手の最上段には無数に三脚が並んでいるので、初めて訪れる人はちょっとした恐怖を感じるかもしれません(笑)
次々と打ち上がる花火をご紹介!
18時から打ち上げ開始。寒空の下、長時間の観覧になるので必要以上の防寒対策が必要になってきますが、それを吹き飛ばす程の美しい花火の数々が打ち上がります。
オープニング 個人協賛 特大スターマイン
長野県歌「信濃の国」に合わせて打ち上がります。当然ながら長野市民による協賛が多いのですが、県外の花火好きによる協賛もあり、いかに多くの人からえびす講煙火大会が愛されているのが分かります。以前より凝った玉も打ち上がっているので、次第にレベルが上がっているのが実感できるオープニングです。
全国十号玉 新作花火コンテスト
全国から選抜された花火師による尺玉1発が打ち上げられます。長野えびす講煙火大会は古くから出世花火とも呼ばれており、多くの花火師が一流になる為の登竜門として競いあってきた名残が今でも健在です。
最優秀賞 【玉名】輝光黄金花 (長野県)小口煙火店
優秀賞 【玉名】初夏八重咲き染め分けの花 (福島県)菅野煙火店
金賞 【玉名】彩虹輝 (山梨県)齊木煙火本店
CAN YOU CELEBRATE? 十号八号七号113連発
今年は全国各地の会場で安室奈美恵さんの引退を惜しみ、彼女の曲が花火と共に流れました。
音楽と花火のコラボレーション ミュージックスターマイン【紅屋青木煙火店】
最大の見所である2社によるミュージックスターマイン。最初は紅屋青木煙火店の出番。社名にちなみ紅色を基調としたプログラムで、音楽と花火のシンクロ率がヤバいです。
音楽と花火のコラボレーション ミュージックスターマイン【信州煙火工業】
続いて信州煙火工業の出番。今年は紅屋青木煙火店ほどの派手さはなかったが、こちらも多彩な色遣いで楽しい打ち上げ方でした。
Special Thanks-主催者から皆様へ感謝を込めて- 8号100連発 特大ワイドスターマイン
長野えびす講煙火大会において最大のワイド幅で打ち上がるプログラム。序盤は落ち着いた打ち上げではあるが次第に広がりを見せ、最後にはカメラは勿論、肉眼でも全てを見渡せない状況になる。
打止 特大スターマイン 10号玉15発一斉打ち
全40プログラム最後の打ち上げ。錦冠菊が一斉に、彩色千輪菊がワイドに開花。
全国十号玉 新作花火コンテスト表彰式
花火の打ち上げが終わると、すぐに本部前で全国十号玉 新作花火コンテストの表彰式が始まります。花火の余韻を楽しむ間もなく開始されるので本部前にダッシュ!途中からではありましたが何とか花火師達の勇姿を見る事ができました。
まとめ
事前には雪予報もあり一時はどうなる事かとも思いましたが、メイン会場の風向きも良く、最高のコンディションで観覧する事ができました。
この時期は空気が澄んでいるので夏の花火大会よりも2割ほど綺麗に見られると花火師さんから聞いた事があります。
寒さだけが相変わらず厳しいのが難点ですが、それさえ我慢すれば、この世の物とは思えない絶景に出会える事を約束してくれる花火大会です。
2023年の開催情報
■日程:11月23日(祝・木)※雨天決行。台風や自然災害等がない限りは実施
■時間:18:00打ち上げ開始(1時間30分程度)
■会場:長野大橋西側 犀川第2緑地・第1緑地
※野外フードパークは若里多目的広場にて開催。11月23日13:00〜20:00まで、入場無料です。
■有料観覧席:席種や料金、チケットの購入については、公式サイトの有料観覧席のご案内ページをご確認ください
■打ち上げ発数:約1万発(予定)
■アクセス:長野駅東口から徒歩約30分。シャトルバスあり。
長野駅(東口)【ユメリアバスパーク】 ⇔ 会場周辺【シャトルバス乗降場所】
片道料金/大人250円、小人(小学生以下)100円
※会場周辺に駐車場はありません
■詳細・最新情報:長野えびす講煙火大会公式サイトからご確認ください