皆さん来年の初詣はどこに行かれますか?
全国有名初詣スポットはありますが、中国地方でも屈指の人出を誇る(?)岡山県岡山市 最上稲荷。行列のできる神社仏閣はそれだけご利益があるはず。「混むけんのぉ、もぉ行かんのんじゃぁ(混むから、もういかないよ)」という親戚の声にめげず、「新春開運大祈願祭」のレポートをお届けします。
(この記事は2018年に公開されたものを再編集しています。2020年12月3日 編集部更新)を入れました。
目次
1.岡山と言えば桃太郎?そうです、でも「最上稲荷」とは
JR岡山駅北へ約15㎞。吉備平野を車で進むと、突然現れる高さ27メートルにも及ぶ巨大な大鳥居。これが「最上稲荷」の入り口です。正式名称は「最上稲荷山妙教寺(さいじょういなりざんみょうきょうじ)」。日蓮宗のお寺です。
岡山県中部に位置する吉備平野は、穏やかな気候で古代から文化が花開いた地域です。
「キビ」と言えばきび団子。きび団子と言えば桃太郎。そうです、日本書紀の時代の五十狭芹彦命古墳群をモデルとして作られたというこのおとぎ話。それだけ古くから文化の中心であったということが分かります。また戦国歴史ファンには羽柴秀吉の「備中高松城水攻め」をイメージする方も多いかと思います。こちらは香川県の「讃岐高松城」と区別するため「備中高松城」と呼ばれています。
最上稲荷が建立されたのは、今から1200余年前。孝謙天皇および桓武天皇、二人の天皇の病気平癒の祈願を行ったところ、白狐に乗った最上位経王大菩薩(さいじょういきょうおうだいぼさつ)が八畳岩に降臨し快癒。これを喜ばれた天皇の命により、現在の地に「龍王山神宮寺」が建立されました。
しかし、備中高松城水攻めの際、堂宇を焼失し。唯一難を逃れた本尊の「最上位経王大菩薩」をもとに、日蓮宗日円聖人のもと、「稲荷山妙教寺」として開山したと言います。
2.お寺だけど鳥居!そもそも稲荷って?
最初に出てきた鳥居。だけど日蓮宗?「あれ?お稲荷さんって神社じゃなかったの?」そんな疑問がわいてきますよね。
「日本三大稲荷はどこか?」という謎については諸説ありますが、まず誰もが認める当確は京都の伏見稲荷。こちらは稲荷信仰を受け継いだ神道の神社。
対して、稲荷寿司で有名な愛知県豊川稲荷は何と曹洞宗の禅寺。こちら岡山県岡山市の最上稲荷も日蓮宗のお寺です。
これら仏教のお稲荷さんで信仰されているのは、インド伝来の「荼枳尼天(だきにてん)」と呼ばれる夜叉。かつて人の心臓や肝を食らう夜叉(鬼女神)として恐れられていましたが、大日如来の霊力に心服して善神となったと言われています。一般に白虎に乗る女性の姿で現されるため、日本古来の(神道系)稲荷神と仏教のダキニ天との習合が進み、鎌倉中期頃からは、神仏両系の稲荷が並存・混合することになりました。
最上稲荷は、明治の神仏分離令の際、特別に「神仏習合」の祭祀形態が許された貴重なお寺。そのため、お寺でありながら鳥居をそなえ、神宮形式の本殿(霊光殿)があるなど神仏習合時代の形態を数多く残しています。
3.激混み覚悟!新春開運大祈願祭
さて、3が日で60万人以上が押し寄せるという「新春開運大祈願祭」。スケジュールは以下の通り:
1月1日午前0時~1月4日午後5時 昼夜連続で祈祷
1月5日~1月15日 午前6時~午後5時 毎日夜間を除いて祈祷 祈祷のない時間も境内の参拝は自由
※2020年ー2021年概要
お火たき大祭後(12月14日)から2021年の立春(2月3日)までのロングラン初詣です。
こんな時期だからこそ、なるべく混雑を避けて「ゆっくり、ゆったり、分散初詣」、、、。
早参りから新春開運大祈願祭までの長い期間の、この特別な初詣を新たな願いとともに良き年となりますよう、、、。
詳しくはHPをご確認ください。
こちらの初詣で面白いのが、自然発生的に始まるカウントダウン。お寺の側でも特に指示したわけでもなく、アナウンスが入るわけでもなく、いつしか誰かが始め、今では恒例となっているようです。
寒い中で待つ初詣。不思議と連帯感が生まれます。
さて、除夜の鐘を合図に祈願祭はスタート。と同時にお賽銭が投げ込まれます。神社ではなく日蓮宗のお寺なので「南無妙法蓮華経」と唱えます。景気よく柏手を打たないように気を付けて!
また、余裕があれば特別拝観が行われる「寒松庭」を訪れることもおススメ。初詣ということで、お屠蘇と記念品の特典付きです。期間と料金は以下の通り:
1月1日~1月14日 午前9時から午後3時 (最終日14日は正午まで)
拝観料:500円(小学生以下は無料)
さて、とにかく人が多いので、小さいお子さんやお年寄りにはなかなか困難な道のり。そんなご家族連れにも嬉しいのが、最上稲荷ホームページの充実加減。激込みの新春開運大祈願祭もウェブ予約ができちゃいます!交通案内もばっちり。
御祈祷ウェブ予約 http://www.inari.ne.jp/blog/index.php?c=banner&pk=1447836813
交通規制案内 http://inari.ne.jp/blog/images/kisei.pdf
ぜひご活用ください。
4.こちらは激渋!参道が面白すぎる!
この門構え。「歓迎」と言ってくれています(笑)。これが大駐車場から仁王門まで約600m続く参道の入り口。両側には、土産物店・旅館・飲食店など約50点が軒を連ねる、昔ながらの門前町が広がっています。
さてこれが、入口の期待感を裏切らない渋さ!吉兆、新仏具、お土産など、ところ狭しと並べられています。
こちらは大祈願祭に合わせ、夜も開いているので、寒さでこわばった体を温めるのにもぴったり。平成も終わりますが、昭和ムードにほっこりしてくださいね。
5.人混みの中チャレンジできるか!「縁切り・縁結び」も
最上稲荷で人気を集めているのは、縁切り・縁結びを司る末社。ますは最正位離別天王で縁切り願い。縁切り撫で石を撫でて、縁切り札を両手で割り、奉納所に収め、白潜り鳥居を右足からくぐります。次は正位縁引天王に縁結び願い。良縁撫で石を撫でて、絵馬を奉納。そして赤潜り鳥居を左足から出る、というお作法です。
こちらも充実のウェブサイトでしっかり説明してありますので、ぜひチェックして行ってください。http://www.inari.ne.jp/enmusubi/index.html
いかがでしたか?
さすが古代からの歴史と、中国地方屈指の参拝者数を誇る最上稲荷。昭和の香りと、ウェブの充実ぶりと、縁切り・縁結びまでの広い守備範囲。中国地方で年末年始を過ごす方は、ぜひ下調べをして、参拝。よい新年のスタートを切りましょう!