「高山祭」とは、岐阜県高山市で行われる春の「山王祭」と秋の「八幡祭」双方の祭の総称で、高山の人々によって大切に継承されてきたものです。このうち、春の「山王祭」は、旧高山城下町南半分の氏神様である日枝神社(山王様)の例祭になります。
もともと著名なお祭りではありましたが、2016年に「山・鉾・屋台行事」の一つとしてユネスコ無形文化遺産に登録されたことをきっかけにさらに人気が加熱。海外からも注目を集め、世界中から観光客が訪れるお祭りとしても知られるようになりました。
このお祭りの見所はなんといっても豪華絢爛な祭り屋台の数々。長い冬に終わりを告げ、桜が満開となる高山にそれらが勢揃いする様は壮観のひと言です。
秋の高山祭とはまた違った楽しみ方ができるのも大きな魅力。日本の春を味わえる高山祭についてご紹介します。
春の高山祭の映え写真をご紹介!
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2023年「春の高山祭」の開催情報
●日程:2023年4月14(金)・15(土)
●場所:日枝神社(岐阜県高山市城山156)と周辺、古い町並ほか
●駐車場:付近に有料駐車場有り。ただし春祭区域には交通規制がかかり車両通行止めの時間帯がありますのでご注意ください。
●最寄り駅:JR「高山」駅
<行事スケジュール>
屋台曳き揃え
14日(金) 9時30分~16時
15日(土) 9時30分~16時
からくり奉納(約50分間の見込み)
14日(金) 11時~・15時~
15日(土) 10時~・14時~
※立ち見となりますので、熱中症等にご注意いただきながらご無理のない範囲でご観覧ください
※混雑状況によっては観覧スペースへの立入が制限される場合があります
御巡幸
14日(金) 13時~16時
15日(土) 12時30分~16時
夜祭(約2時間の見込み)
14日(金) 18時30~
※観覧される際は車道に出ないようご注意ください(屋台が車道を通ります)
※側溝など足元に注意しながらご覧ください
各行事の実施場所などの詳細は、飛騨高山観光公式サイトなどでご確認ください。
春の高山祭の歴史
春の高山祭は、京都の「祇園祭」、埼玉県秩父市の「秩父夜祭」と並んで、「日本三大曳山(ひきやま)祭り」の一つに数えられているほど有名なお祭りです。
祭りの起源は定かではありませんが、元禄5年(1692年)の書簡に、その40年前にはすでに3年に一度山王祭が行われていたとの記録があることから、非常に古い歴史のあるお祭りといえるでしょう。
昭和35年(1960年)に「高山祭屋台」は国の重要有形民俗文化財に、昭和54年(1979年)に「高山祭の屋台行事」が国の重要無形民俗文化財に指定されました。そして、平成28年(2016年)には同じく「高山祭の屋台行事」が、日本各地の他の32件の行事とともに「山・鉾・屋台行事」としてユネスコ無形文化遺産に登録されたのです。
春の高山祭の見どころ
春の高山祭の見どころといえばやはり、「動く陽明門」とも称されるほどの祭り屋台の豪華絢爛さではないでしょうか。飛騨の匠の流れを汲む工匠たちにより細部にまで彫刻が施された屋台は、動く芸術作品といって過言ではないでしょう。
春には12台が登場する屋台は、いずれも甲乙つけがたいものばかりですが、その中でも特におすすめの屋台をいくつかご紹介します。
まずは「神楽台(かぐらたい)」。
上段中央には、雅楽の演奏などに使われる直径約1.2mの大太鼓が乗っており、その上では金色の鳳凰一対が羽を広げています。必ず先頭を行き、神様や屋台が通る前の道祓いの役割を持つ屋台です。
次は、春の高山祭でからくりが現存する3台の屋台の一つ「三番叟(さんばそう)」。
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こちらの屋台は、上段中央に座する童子の人形が、一瞬で翁に変身するのが見どころです。からくり人形が翁に変身するので、「翁台」とも呼ばれています。
最後にご紹介するのが、「麒麟台(きりんたい)」です。
麒麟台は、名工谷口与鹿(たにぐちよろく)が作った傑作「唐子群遊彫刻(からこぐんゆうちょうこく)」と、村山群鳳(むらやまぐんぽう)による飛龍、二つの彫刻の競演も見どころです。
山間部に位置する高山は桜の満開も少し遅め。麗らかな春の一日を豪華秀麗な屋台を観て、歴史に思いを馳せてみませんか。