栃木・茨城県境に立つ神社
栃木県と茨城県の県境、鷲子山(とりのこさん)の山頂に建つ鷲子山上神社(とりのこさんしょう じんじゃ)。全国でも珍しく県境が境内を通り、大鳥居や本殿等が両県に跨って配置されている神社です。
その創建は平安時代の807年(大同2年)と伝わります。地元矢又村(現在の栃木県那須郡那珂川町矢又。神社の住所地)の大蔵坊宝珠上人が、阿波国の天日鷲命(あめのひわしのみこと)を勧請したのがはじまりなんだそうです。
その後、大己貴命(おおなむちのみこと)と少彦名命(すくなひこなのみこと)も祀られ、現在では3柱の神様が御祭神として祀られています。
また近年はフクロウ神社としても知られているのがユニークなところ。御祭神の天日鷲命は鳥の神様ですが、昔からフクロウは神様の使いとされており、フクロウが「不苦労」や「福来郎」にも通ずるとして運気上昇・金運福徳のご利益が話題です。
そんなご縁から神社境内にはたくさんのフクロウ像が存在していて、フクロウ目当てにたくさんの方が訪問してきている神社でもあります。
この鷲子山上神社で毎年11月第三土曜日に開催されているお祭りを今回はご紹介。その名も「夜祭り」です!
それではここからは、昨晩開催された夜祭りの様子をお伝えしていきます!
行列が本宮祭へ
夜祭り当日の11月19日、お祭りがはじまる前の17時頃に鷲子山上神社境内へとやってきました。木々が色付き、紅葉が楽しめるのも嬉しい時期ですね。
大鳥居へと進んでくると、「夜祭り会場」とお祭りの開催を知らせる看板が出ていました。17時半から19時にかけてお祭りが行われる予定です。
お祭りスタートの17時半が近づくと、どんどん暗くなっていく境内。夜祭りの名らしく日が沈み、提灯の明かりも際立ってきました。
時間となり、神職の皆様が登場です。
提灯を持った神職の皆様が、ずらっと境内へ並びました!夜祭りでは「本宮祭」「三本杉祭」「御本社祭」の3つの神事が執り行われるのですが、まずは1つ目の「本宮祭」へと進んでいきます。
一列になり、本宮祭の会場へ。
鳥居をくぐり、階段を登っていくご一行。
どんどん登っていきます。本宮祭が行われるのは、境内の朝日嶽にある本宮神社。元々本殿があったと伝わる場所です。
本宮神社へと到着したご一行は社殿へと入り、氏子が持ってきた二又大根や白酒のお供え等の神事が執り行われていきました。
本宮祭が終わってからのシーンも見逃せないポイントです。本宮神社の参道途中に7mの大フクロウ像があるのですが、この大フクロウと提灯を持った神職の皆様の共演を見ることができますよ!
大フクロウを背に、神職の皆様は続いて本殿の方向へと進んでいきます。
本宮神社の鳥居をくぐるために階段へ連なる行列も、見応えがありますね。
2つ目の神事「三本杉祭」
本宮祭を終えた一行は本殿横にある三本杉社を目指し進みます。三本杉社の横には千年杉が生えており、厳かな雰囲気がある場所です。その名の通り樹齢千年を超え、約7mもの太さがあるそうですよ。
18時頃、三本杉社の前に神職の皆様が到着しました。左手に見える建物は本殿です。
鷲子山上神社の夜祭り。三本杉祭へ向け、神職の皆様が本殿横へと上がってきました!寒空の下ですが、提灯の明かりが広がり、どこか幻想的な光景です。#オマツリジャパン pic.twitter.com/92SvTga05q
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) November 18, 2023
三本杉社の前では、2つ目の神事である「三本杉祭」の準備が進められていきます。
白酒が注がれる場面も。
御幣が渡されました。
御幣は社殿の中へ納められます。
供物の小粒餅は、なんと四方に投げられるんです!この後は3つ目の最後の神事へと進んでいきます。
御本社祭は神人共食でパワーをいただく
3つ目の神事、「御本社祭」。夜祭り最後の神事へ向け、本殿内では準備が進められております。
準備が整ったところで神職の皆様が本殿をぐるっと時計回りに進み、中へと入っていきました。
法螺貝の音が響く中、神職の皆様が本殿へと入っていきます。御本社祭が執り行われ、その後に参列者全員へ白酒、小粒餅、茹で小豆が振る舞われます。#鷲子山上神社 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/wJbWGKv2PB
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) November 18, 2023
ここ数年は新型コロナウイルスの影響で一般の方の社殿内への参列は見送られていたそうですが、今年からは復活。社殿内で神事を見ることができました。
厳粛な雰囲気の中、御本社祭が進行します。
白酒が注がれ、お供えされるシーンも。
前方には夜祭りに欠かせない、小粒餅と茹で小豆もお供えされています。
一連の神事が終了すると、参列者の方々のお待ちかねの時間となります。
神様にお供えしておもてなしをしたお下がりを、参列した人たちでいただくことを「神人共食(しんじんきょうしょく)」といいますが、このことで神様のパワーをいただくと同時に、神様と人との親密度を高めて守護が得られるとされています。
鷲子山上神社の夜祭りでは、神様と同じ白酒、小粒餅、茹で小豆をいただくことができるんです。
まずは神様へご挨拶を済ませてから。お参りを終えたら、白酒、小粒餅、茹で小豆をいただきに行きましょう!
最初に白酒をいただきます。本来であれば白酒はどぶろくだったんだそうですが、現在は山頂の神社へのアクセスを考慮して甘酒の提供となっています。
白酒をぐいっと頂戴したら、小粒餅と茹で小豆をいただきましょう。こちらを食べると大神様のパワーをいただけるとのことで、大事に食べたいですね。
神社の見どころを紹介
フクロウ神社とも称される鷲子山上神社ですが、境内には本当にたくさんのフクロウがいるんです!
境内の至る所にいるフクロウを、ぜひチェックしてみてください。
こちらは水かけフクロウ。水をかけることで苦労を流し去ってくださるそうです。
不苦労の鐘なるものも。願いを込めて叩いてみましょう。
随神門(楼門)裏に安置されている仁王像にもご注目。1721年(享保6年)の建立と伝わるもので、今は裏手に座していますが元々は表に飾られていたもの。明治時代の廃仏毀釈の影響で紆余曲折あったそうですが、今にその姿を伝えていて必見です。
境内には食堂や売店も立ち並び、夜祭り前の腹ごしらえをすることも可能ですよ。名物の金運だんごをはじめ、温まれるうどん等もあり寒空の下でありがたい存在になります(夜祭りが終わる時間には閉まっていたので注意)。
鷲子山上神社へのアクセス
・宇都宮駅から車で約60分
・水戸駅から車で約70分
※神社への入口は国道293号線上にあります。栃木県側の道路は道幅が狭いため、行きは茨城県側から入ることを推奨されています。カーナビ設定の際にはご注意ください。
毎年11月第3土曜日に開催される、鷲子山上神社夜祭り。ぜひ大神様のパワーを受けに栃木・茨城県境の神社へと来てみてください!