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秩父の祭りの一年のはじまりは山田から
埼玉県の北西部に位置する秩父市。東京都、群馬県、長野県、山梨県と面し、名峰”武甲山”を望むこの街の東部にある山田地区にて、「山田の春祭り」が2023年3月12日に開催されました。毎年3月第二日曜日に開催されるお祭りで、秩父地域に春を告げるお祭りとして知られています。また秩父地域の山車が巡行するお祭りの一年は、山田の春祭りからはじまります。
新型コロナウイルスの影響で、2023年は実に4年ぶりの開催となった山田の春祭り。開催を待ちに待った地元の方々の様子も交えながら、ここからはお祭りの様子をご紹介していきます!
笠鉾と屋台が秩父屋台囃子に合わせて進む
山田の春祭りに欠かせないものが、1基の笠鉾(かさぼこ)と2基の屋台(山田では、3基を総称して山車と呼びます)。3基共に秩父市の有形民俗文化財に指定されており、お祭り期間中は山田地区内を勇壮に巡行します。地区内3箇所から巡行がスタートし、笠鉾が出発する上組の拠点へとやってきました!
花で美しく飾られた笠鉾。この花はお祭りが近づくと地区の皆様で集まり作っているとのことです。またお祭り当日は朝早くから集まり、笠鉾の組み立てが行われていきます。
どんどん飾り付けの進む笠鉾。近くで見ても美しいです!
上組の笠鉾ということで、”上”と書かれた装飾がいたるところにあるのも注目ポイント!残りの山組、本組の屋台でも同様の細工がされています。
頭に巻く手拭いにも”上”の文字が。チームの一体感が生まれそうですね!
笠鉾の準備も終わり、出発はまもなく。各担当の確認が行われていきます。
4年ぶりの出発を前に記念撮影。長かったご苦労が偲ばれます。
さあ、秩父屋台囃子の演奏もはじまり、出発です!
地元の子どもたちも集まり、笠鉾を引いていきますよ!
笠鉾の前方に乗るのは”若行”の皆様。団扇を扇ぎ、「ホーリャイ」の掛け声でお祭りを盛り上げます。
上組の拠点は山中にあるため、里にある恒持神社を目指して山を下りていきます。
山田の春祭りが4年ぶりにはじまりました!本日は上組の笠鉾に密着していきます!#埼玉 #秩父 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/ZfNSE5g8dh
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) March 12, 2023
途中途中で電線とぶつかってしまいそうな所もありますが、うまく避けられるように差配するのは笠鉾の上に乗るお二人。かなり高いところにいますね。
途中の休憩所からは若行が8人に!さらにパワーアップして笠鉾の巡行を盛り上げます。
8人で盛り上がる様子を、動画でもご覧ください!
笠鉾に乗る若行が8人に増え盛り上がります!笠鉾は山を下り、里の恒持神社へ。#山田の春祭り #埼玉 #秩父 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/McFQU7wxf3
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笠鉾が通るルートの名所の一つ、弁天橋も渡っていきました。
弁天橋の先で待ち受けていたのは、山組の屋台。先ほど追加された4人の若行は山組の若行なのでした。こちらで受け渡しが行われます。
恒持神社で行われる所作、神事
里へと下りてきた笠鉾は、恒持神社へと真っ直ぐに進んでいきます!
秩父の名峰、武甲山を奥に見渡せるこのような路地も。
若行を渡した山組の屋台も続きます!
恒持神社が近づき、露店が連なる場所へとやってきました!
ここで笠鉾と屋台が目指し進んでいる恒持神社をご紹介します。恒持神社は桓武天皇の孫で、関東平氏の始祖と伝わる高望王の弟、恒持王を祀る神社です。この恒持神社の例大祭として、山田の春祭りが開催されています。
ということで、恒持神社を目指す笠鉾と2基の屋台が、神社境内へとやってきました!
笠鉾の到来に、境内にいる方々も盛り上がります!
山組の屋台も入場。この後に本組の屋台も続きました。
境内へ到着した笠鉾、屋台ではお祓いなどの神事が執り行われます。
11時からは全体での神事に。役員の方々が出揃っていました。
ここで神職の方からご挨拶。「4年ぶりの本格開催、さらにコロナ禍後ということで色々と対策をしながらのお祭りの実行ではありますが、山田の春祭りをこのように開催できていることがありがたい」と話されていました。
社殿の中でも神事が行われ、お昼過ぎからは午後の部もスタートです!
笠鉾、屋台の出発を前に、2基の屋台の上で行われるのが”所作”。地元の子どもたちによって継承されてきた舞踊が長唄に合わせて披露されます!まずは山組で、「菊づくし」に合わせ、菊の花が飾られた花笠を持ちかわいらしく踊っています。
恒持神社へ揃った屋台の上では、長唄に合わせて所作と呼ばれる子どもたちの舞踊が披露されています!美しい光景ですね!#山田の春祭り #埼玉 #秩父 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/XmvL83PABC
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本組では一人で踊りを披露していました。「羽根の禿」ということで、大きな羽子板を持っての舞が魅力です!
本組の屋台の所作は、羽根の禿に合わせての舞踊。三味線の音色に合わせて、かわいらしく踊られています!#山田の春祭り #埼玉 #秩父 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/a43nidPZj9
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御旅所の八坂神社を目指しお神輿の渡御も
さあ、午後もお祭りは続きます。ここからは御旅所である八坂神社を目指し、笠鉾と屋台に合わせ、お神輿行列も連なりますよ!まずは笠鉾から出発をはじめました。
露店の合間を進んでいきます。背後に武甲山を背負い、美しい光景ですね。
武甲山を背負い、露店が立ち並ぶ道を笠鉾と屋台が進みます!#山田の春祭り #埼玉 #秩父 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/1pjNuIgyLT
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ここで屋台の装飾についてもご紹介します。屋台を覆うように側面や背面には豪華な幕が貼られていますが、これには山田地区の伝統的な産業が関わっています。山田地区は”秩父銘仙”と呼ばれる絹織物の生産地だったことから、屋台を飾る豪華な装飾があるのも見どころポイントの一つとなっているんです!
また屋台の下には人が乗れるスペースがあり、このように太鼓を叩き盛り上げています!
笠鉾、屋台に続いて、お神輿行列もやってきました!先頭で道案内をするのは、真っ赤なお顔が特徴的な猿田彦です。
太鼓やお囃子隊、神職の皆様も続きます。
そしてこちらが恒持神社のお神輿です!担ぎ手は古式礼装で務めています。
武甲山から進んでくる感じが良いですね!
御旅所の八坂神社へと到着しました!
安置されたお神輿に、2基の屋台も並びます。ちなみに笠鉾は、電線が低い位置を横断している都合で御旅所までは巡行できず、途中に停車して屋台の帰りを待ちます。
落ち着いたところで、御旅所でも神事が執り行われます。お祓いや祝詞奏上などが実施されていました。
神事が終わると、一行は再び恒持神社方面へと出発。夕方になり、山田の春祭りも後半戦へと向かいはじめます。
恒持神社への帰路は傘鉾を先頭に3基が一列で巡行します。
山田の春祭りでは数少ない、笠鉾と屋台のすれ違いシーンも見られますよ。秩父屋台囃子も響き合い、より盛り上がりますね!
上組の笠鉾と本組の屋台がすれ違い!山田の春祭りではすれ違いシーンが少ないので、貴重な場面です!#埼玉 #秩父 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/rpvrwHXLsH
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提灯が点き艶やかに。花火も打ち上がる!
すっかりと日も暮れた山田地区。19時を前に花笠の提灯には明かりが灯っていました。昼間とは変わって艶やかな雰囲気をまといます。
近くで見た笠鉾はこんな感じ。美しいですね!
夜の部もスタートしました!笠鉾が動き出します。
暗くなってからも笠鉾と屋台のすれ違いシーンが登場。終盤に差し掛かり、どんどん盛り上がっていきます!
提灯が点いてからの笠鉾と屋台のすれ違い。秩父屋台囃子が鳴り響く中のこれはたまりませんね!#山田の春祭り #埼玉 #秩父 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/ObK89TZ7Ga
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屋台同士でのすれ違いもありました!
さあここからは笠鉾、屋台と花火の共演のお時間です!この日は19:40から、6種のスターマインというラインナップで行われました。
笠鉾と花火が並んで夜空を照らします!山田の春祭りならではの美しい光景ですね。
屋台と並んでの花火も打ち上がります!山組屋台との共演です。
最後の大玉は動画でどうぞ!
山田の春祭りの夜空を彩る、スターマイン花火が打ち上がりました!ラストは大玉です!#埼玉 #秩父 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/5Y47Yn3432
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3基の引き合わせ、手打式でクライマックス
花火が終わると、いよいよ山田の春祭りもクライマックスです。3基の笠鉾、屋台が唯一向かい合う場面となり、勇壮な”引き合わせ”が実施されていきます!
4年ぶりの山田の春祭りもいよいよクライマックス。3基が向き合っての引き合わせがはじまります!#埼玉 #秩父 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/6VqHIIqJ5Y
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3基が向かい合い、そして近づきました。秩父屋台囃子の音も大きくなり、この日一番の盛り上がりを見せています!
「ホーリャイ」の掛け声もどんどん大きくなり、これぞ祭りという熱量がたまりません!
白熱する引き合わせの時間。これは高まりますね!
まだまだ引き合わせで打ち合いますよ!フィナーレに向け、場の熱量がめちゃくちゃ上がってきました!#山田の春祭り #秩父屋台囃子 #埼玉 #秩父 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/vmEJgsckjq
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引き合わせの後は、お祭りの締めに向かう手打式です。山田の春祭りを担う役員の代表が前へ出て、スピーチと手打の音頭をとりました。
秩父地域独特の「秩父じめ」により7回行われる手打ですが、手打の後の盛り上がりも注目ポイント!
手打式(7締め)が行われて、4年ぶりの山田の春祭りが無事終了となりました!#埼玉 #秩父 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/nbdk0ispQB
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事前インタビューを行った、金田行事長も手打を担当していました!
手打式が終わり興奮の余韻が冷めやらぬ中、3基の笠鉾と屋台は別れを告げ、自らの地域へと帰っていきました。
4年ぶりに開催された山田の春祭り。伝統、文化、運営など、様々な継承が大変な中での開催でしたが、ほぼ以前と同じ形での実施となりました。山田の方々の情熱で、2023年の秩父地域に春を告げるお祭りが行われ、ここから秩父地域のお祭りは続々と開催されていきます。
ぜひ秩父地域、山田地区へと訪れてみてください!
露店情報、アクセス
お祭りへやって来たら、グルメも楽しみたいですよね!山田の春祭りでは、恒持神社の周辺を中心にたくさんの露店が並ぶのも魅力の一つです。
焼きそばやたこ焼きといった定番ももちろん並びます!
埼玉らしさのある煮いかや焼きまんじゅうも見過ごせないですね!
■アクセス
西武秩父線西武秩父駅より「西武観光バス三沢経由皆野駅行き」で約18分、「山田バス停」下車で恒持神社前に到着