近年、春の行事として楽しまれるようになってきたイースター。なんとなくウキウキしますが実際、イースターとは一体どんな行事なのでしょうか?
タマゴを見つける行事で、ウサギがシンボルになっていて……。でもウサギは哺乳類なのでタマゴは生まないはず。なぜ、関わりが感じられないこの2つがイースターのシンボルなのでしょう?
今回はまだまだ浸透しきっていないイースターについて、由来やシンボルの秘密、そして伝統的な楽しみ方をご紹介していこうと思います!!
みなさんはイースターの日が毎年変動していること、気がついていらっしゃいましたか……?
復活祭・イースターの由来とは?
イースターは別名「復活祭」と呼ばれ、一度死亡したイエス・キリストが復活したことを祝うお祭りです。ヨーロッパで盛んにおこなわれており、人々はイースターのために服を新調し、花を飾りつけ出かけます。
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イースター休暇も存在し、学校や会社はお休み。教会では特別なミサが行われ、復活を祝う大きなろうそくに火を灯すのが伝統的な慣習です。またイースターは移動休日といわれ、年によって日付が変化します。決まっているのは「春分の日の後、最初の満月があった次の週の日曜日」ということ。
そのため年によっては、前年と比べるとかなりのズレが生じる場合もあるのだとか。ユリウス暦を用いている東方教会(主に正教会)では、イースターの日付がカレンダーと異なってくるので注意が必要です。ちなみに、日本で一般的なカレンダーや日常生活で使われている暦はグレゴリオ暦です。
中世ヨーロッパでは約120日、3ヶ月かけて行われていた過去もあり、現在でもかなり前から準備期間に入る地域が存在します。
イースターの由来はキリスト教が復活した日。では名称にはいったいどのような由来があるのでしょうか?
じつは名称には、前身となったユダヤ教の言い伝えに深く関連しているのです。キリストが処刑されたのは、“過ぎ越し祭“というユダヤ教の春の時期に行われる、古代エジプト人からの解放を記念したお祭りの最中でした。そのため春の時期にお祝いがなされるようになっていったのです。
やがてヨーロッパへキリスト教が広まっていく過程で、現在のドイツやデンマーク周辺に繫栄していた、アングロサクソン人の春を祝う儀式を吸収。春を祝うお祭りでは、春の女神・エオストレ(Eostre)を称えていたため、つづりをもじってイースター(Eostre)とよばれるようになったとされています。また春の女神・エオストレは太陽の化身とされており、キリスト教では復活の象徴として太陽を掲げていたため、一つの行事になる際に説得力を持たせる要因となりました。ちなみにエオストレ(Eostre)は、太陽の昇方角・イースト(東=East)の語源ともなっています。
こうしてイエス・キリストの復活だけでなく春の訪れを祝う行事となったイースターは、宗教を超えて楽しまれるイベントとなり、世界中へ広まっていったのです。
イースターのシンボルは卵とウサギだけじゃない!?隠れたシンボル、子羊についても解説
イースターといえば浮かんでくるのは、何といってもタマゴ。イエス・キリストの復活のエピソードから、生命の誕生に欠かせないタマゴがイースターのシンボルとして用いられるようになりました。現在では通常のタマゴの代わりに、チョコレートや発砲スチロールを使ったタマゴを飾る場合もあるそう。とくにチョコレートのタマゴは子どもに大人気なのだとか。
もう一つ、イースターの代表的なシンボルとして思い浮かぶのが、ウサギ。ウサギに由来は諸説存在し、一度の出産で多くの子どもが生まれることから繁栄を意味する、といった説が有力です。また春先には、茂り始めた草花を食べに野原に姿を現すため、春の訪れを知らせる動物とされているのも要因の一つ。「ドイツの古いおとぎ話に端を発している」といった説も存在します。ちなみにウサギは西欧のイースターで登場し、東欧のイースターには登場しません。
日本ではあまりなじみがないですが、子羊もイースターのシンボルです。イースターの子羊は受胎告知の際、ヨハネがキリストを「世の罪を取り除く神の子羊」と紹介した、という聖書の内容に由来します。
また先ほどご紹介した、イースターの前身であるユダヤの過ぎ越し祭にも子羊のエピソードが存在。子羊のエピソードは過ぎ越し祭のルーツにも関わってきます。
時は遥か古代、ユダヤ人がエジプト人の奴隷だった時代。ユダヤの神に選ばれたモーセがユダヤ人を率いてエジプトを脱出をする“出エジプト”の時点まで遡ります。モーセ指導のもと、エジプトを脱出しようとしたユダヤ人に対し、ファラオが計画を妨害。ファラオの妨害に怒った神がエジプト全土へ「10の災い」を降りかからせます。その災いのうちの10個目は「エジプトの動物(人間を含む)、すべての初子を撃つ」(意訳)というものでした。神はモーセ達ユダヤ人にのみ、災いを回避するすべを教えます。10個目の災いを回避するすべは、二本の門柱と鴨居に子羊の地を塗る、というものでした。
この言い伝えに由来して、古代エジプト人からの解放を記念する過ぎ越し祭の時期には、子羊の料理が食されるようになり、キリスト教における“過ぎ越し祭“がイースターに変化した結果、イースターでも子羊の料理がふるまわれるようになっていったのです。
復活を祝う、イースターの楽しみ方
キリストの復活を祝うお祭り・イースター。イースターが行われている地域、特に欧米では、イースターにあわせ様々なイベントが行われます。代表的なものは2つ。
・エッグハント
イースター関連のイベントで一番有名といっても過言ではない、エッグハント。家や庭、公園、町など範囲は様々ですが、大まかなルールは同じ。いたるところに隠されたタマゴを見つけ出しすゲームです。伝統的な場合だと、タマゴには色とりどりのペイントが施されます。カラーはそれぞれ、赤がキリストの流した血、緑が希望、金と銀が復活を表現。中世のイースターでは開催の9週間前から野鳥のタマゴの採集が禁止されており、当日を迎えると人々が一斉に卵を採集し始めたため、その行為を模してエッグハントが行われるようになった、といわれています。
・タマゴ転がし
イングランドなどで見られるイースターの遊び。キリストが、埋葬されたお墓から意思を転がし復活した、という逸話に由来しています。内容は、ヒビを入れないようにタマゴを転がし距離を競うや、2本の杭の間をするのが目的など、さまざまなものが存在します。
おわりに
キリストの復活を祝うだけでなく、春を祝う意味も内包していたイースター。近年浸透してきただけに、あまり深い知識を知らなかった、という方も多いのではないでしょうか?由来や楽しみ方を知った機に、今年の春はイースターを楽しみつくしてみてはいかがでしょうか?