2019年からスタートした、観光経済新聞のオマツリジャパンコラム記事連載!2020年も「お祭り」をフックに、旅に出たくなる記事の連載をして参ります!奇祭好き、ケンカ祭り好き、お神輿好き…等、様々なライターさんに記事を執筆いただく予定ですので、ぜひご覧ください♪(オマツリジャパン編集部)
上臈道中は満腹の敬意
毎年5月、山口県下関市で行われる「しものせき海峡まつり」に足を延ばしてみた。開催場所は、源平最後の戦いの場となった赤間関壇ノ浦前。武者行列、船合戦、弓合戦、先帝祭、巌流島決戦などのイベントがあるので、多くの人が訪れる。
その中でも特に人気がある「先帝祭・上臈(じょうろう)道中」は、豪華絢爛(けんらん)な振袖を着た太夫たちが稚児らを伴って市内を練り歩き、赤間神宮へ参拝する姿を見ることができる。祭りの名前にある「先帝」とは、壇ノ浦の戦いで崩御した安徳天皇を指しており、祭りの会場となる赤間神宮には、安徳天皇が祭られている。
壇ノ浦の戦いの際、安徳天皇と一緒に使えていた女官たちも入水したのだが、中には地元の方々に助けられた女官がいた。助けられた女官たちが毎年先帝の御命日に威儀を正して礼拝を続けたのが上臈道中の起源といわれる。地元の方々が女官たちの意思を継いで参拝を続け、平安時代に宮中で行われた「五節舞姫」の形に倣い、女官に警護、稚児、禿が道中を行う様子は西日本随一と称される。
きらびやかな姿で、花魁道中かと思ったが、上臈道中という名称にはそういった歴史があったのだ。上臈道中を行う豪華な衣装を着けた太夫は5人で、振袖太夫、二番太夫から三番太夫、四番太夫と続き、最後の5番目の太夫は傘留太夫と呼ばれる。
午後1時から5組の上臈参拝が始まり、午後3時に太夫と関係者による餅と上臈手拭い撒きが行われる頃には、会場は最高潮へと盛り上がっていく。上臈が天橋を渡る際、独特の歩き方である「外八文字」を披露する。朱色の天橋が上臈の衣装をさらに映えさせ、とても美しい光景だ。
祭り当日、赤間神宮参拝会場は、カメラマンや見学者で込み合う。初めての方は下関海峡祭りステージで外八文字のお披露目もあるので、各ステージを回ってみるのをオススメする。