※2020年は新型コロナウイルス蔓延の影響で中止となりました。2021年には無事に開催されることを願いつつ、コロナウイルスの終息のために感染予防を心がけましょう。(2020年4月27日 編集部)
毎年5月、山口県下関市にて行われる「しものせき海峡まつり」において「先帝祭(せんていさい)」と呼ばれる神事が行われます。
「先帝祭」の“先帝”とは、歴史の時間に習う源氏と平家の「壇ノ浦の戦い」の際、弱冠8歳で崩御された安徳天皇のことを指します。つまり、先帝祭とは、壇之浦の合戦で入水した安徳幼帝を偲ぶお祭りなのです。この記事では「先帝祭」について、歴史的背景を踏まえながらご紹介します。
(この記事は2019年に公開されたものを再編集しています。2020年4月27日 編集部更新)
先帝祭が開催される赤間神宮とは?
赤間神宮はもともと、山口県下関市にある阿弥陀寺と言うお寺でしたが、廃仏毀釈により、神社になったという経緯があります。先帝祭の主人公の安徳天皇を祀っており、江戸時代までは安徳天皇御影堂といわれていたそうです。また、赤間神宮の全身の阿弥陀寺は、小泉八雲の『耳なし芳一』の舞台としても知られています。
先帝祭の見どころ、「上臈参拝」の歴史
まず「上臈」の言葉の意味ですが、上臈とは、「身分の高い遊女」のことで、いわゆる「太夫」とか「花魁」のことを指します。つまり、先帝祭での「上臈参拝」とは、「身分の高い遊女が安徳天皇の御廟所に参拝すること」を意味します。
では、安徳天皇と遊女の接点は、どこにあるのでしょうか。安徳天皇の入水後、同じく海に身を投じた女官の中には、不本意ながら生きながらえた者たちもいました。その人たちは、少し前までは、宮廷で天皇にお仕えしていた女官。宮廷以外の世界で生き延びる術を持ち合わせていない人たちも、中にはいたようです。そのような元官女の中には、下関で遊女として生き延びた者も。
その元女官の遊女が、安徳天皇の命日に御廟所に参拝し、ご冥福を祈ったのが起源とされています。そして、現在の上臈参拝の形態になったのは、江戸時代のことと推測されています。
上臈参拝の見どころは?
上臈の参拝であるため、稚児・警固・官女・禿(遊女見習の幼女)、そして上臈と長い豪華絢爛な列が続きます。上臈が参拝の際渡る朱色の天橋が、上臈の衣装をさらに映えさせます。また天橋を渡る際、遊女独特の歩き方である「外八文字」を披露。上臈と神社という非常に珍しく美しい組み合わせは必見です。ぜひ爽やかな5月の空気に触れながら、安徳天皇や平家の人たちに思いを馳せてみませんか。
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先帝祭の基本情報
※2020年開催中止
・開催日時:2020年5月2(土)~4(月)日 ※先帝祭(3日)は9:30~15:00、源平船合戦(3日)は12:30~13:25。先帝祭の一番の見どころは、一般的に、5月3日の「上臈参拝(13:00~15:00)」と理解されているようです。
・開催場所:赤間神宮
・アクセス:JR山陽本線下関駅からバスで10分
・駐車場:なし(近くに駐車場有り)