厳しい残暑が続き、中には夏バテ気味の方もいるかもしれません。こんなときはひんやり冷たいスイーツが食べたくなりますよね。
ちょうど今日、8月27日は「ジェラートの日」なのを皆さんはご存じでしょうか?
オードリー・ヘプバーン演じるアン王女が、ジェラートを頬張るシーンが印象的だった映画「ローマの休日」の公開日が、1953年8月27日だったことにちなんで定められたそうです。
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今回はそんなジェラートについて、歴史やアイスクリームとの違い、本場イタリアと日本のジェラート事情を探り、思わず食べたくなる本場顔負けの日本のジェラートも紹介します!
目次
イタリア生まれのスイーツ「ジェラート」とは?
そもそもジェラートとは、イタリア語で「凍った」という意味です。発祥地のイタリアでは、アイスクリームもジェラートですし、乳成分の量によって種類と呼び名を分ける日本とは違い、氷菓子全般を指してジェラートと呼んでいます。
いっぽう、日本の分類上で「アイスクリーム」と呼べるものは、乳固形分が15%以上、そのうち乳脂肪分が8%以上と法律で決まっています。
乳固形分がより少なくて10%以上、そのうち乳脂肪分が3%以上のものは「アイスミルク」と呼ばれます。イタリアでは通常5%前後の乳脂肪分でジェラートを製造するのが一般的ですから、日本で分類するとこのアイスミルクに相当します。
また、ジェラートの素材には旬の果物や野菜、特に果実や果肉がたっぷり使われ、ジェラート職人の多くがその新鮮な素材の風味を最大限に引き出すことにこだわっています。
これらのことからジェラートは、アイスクリームに比べて乳脂肪が少なくヘルシー、フルーツや野菜などの素材そのものの味を楽しめるスイーツといえるでしょう。
いつからあるの?ジェラートの歴史
夏の定番スイーツとして親しまれるジェラートですが、その歴史はなんと2500年前にも遡ると言われています。
最も古い記録は旧約聖書に出てくるもので、当時の長老たちは夏に氷雪で冷やしたミルクシャーベット状のものを飲むことをこよなく愛していたそうです。
暴君として有名なローマの皇帝ネロは、奴隷に命じてアルプスから万年雪を運ばせ、バラやスミレのエキス、果汁、ハチミツ、樹液などを混ぜた「ドルチェ・ビータ」を愛飲していたのだとか。
このドルチェ・ビータはローマ市民にも広がり、裕福な家庭では氷の貯蔵庫に保存しては宴会などで楽しんだと伝えられています。
その後、長い時を経て、日本に初めて本格的なジェラートのお店ができたのは1986年。東京の二子玉川に「バール ジェラテリア アンティカ」が開店し、瞬く間に大きな人気を博しました。
当時丸形コーンしかなかった日本のアイスクリーム市場に、イタリアから三角や四角のコーンを直輸入したことで知名度が伸び、現在も老舗本格ジェラート店「アンティカ ジェラテリア」として多くの方に愛されています。
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人気フレーバーは?マリトッツォとも関係あり?
イタリアには全土に数万のジェラテリア(=ジェラート店)があるといわれ、子どもや若い女性だけでなく、おじいちゃんやおばあちゃん、ビジネスマンもこぞって足を運びます。
人気のフレーバーは、クリーム系ではミルク、ヘーゼルナッツやピスタチオのナッツ類、チョコレート、コーヒーなど。フルーツ系はイチゴやレモン、オレンジ、梨などですが、注文するときの組合せはクリーム系とフルーツ系をまぜないことが鉄則なのだとか。
また、食べ方もユニークで、コーンやカップだけでなくブリオッシュにはさんで食べる「ブリオッシュ・コン・ジェラート」という食べ方もポピュラーです。
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「ブリオッシュにはさむ」と聞いてピンときた方も多いでしょう。日本で最近、大流行になったブリオッシュに生クリームをはさむ「マリトッツォ」とそっくりですよね。
ブリオッシュ・コン・ジェラートはイタリアのシチリア地方が発祥で、特段デザートというわけではなく、朝食や昼食の定番メニューの1つになっています。イタリア人にとってジェラートは、普段の暮らしに溶け込んだ、かけがえのない存在なのです。
世界一のジェラートは日本にあった!
日本では「バール ジェラテリア アンティカ」の開店をきっかけに第一次ジェラートブームが巻き起こり、全国各地にジェラート店が続々オープンしました。
そして現在まで、本場イタリアへ渡って技術を学ぶ、何人もの日本のジェラート職人が育ち、イタリアからは有名ジェラテリアの直営店が日本に続々と上陸を果たすという、ジェラート好きにとってはとてもうれしい状況が続いています。
2017年には、ついに日本のジェラート職人が並みいる本場の職人を抑え、世界最大のジェラート祭コンペティション部門で優勝するに至ります。
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世界一の称号を勝ち取ったのは石川県能登町出身の柴野大造さん。
辛口審査で知られる審査委員にも「日本で開かれる鮨の世界大会で、イタリア人が優勝するようなもの」と大絶賛されたそうで、柴野さんの名前は一気に世界のスイーツ界へと轟くことになりました。
奥能登の地元の素材のポテンシャルを最大限に活かし、ストーリーを込めたジェラート作りにこだわる柴野さんが能登町に開いた「MALGA GELATO(マルガージェラート)」は、スイーツ好きなら一度は訪れてみたい憧れのお店となっています。
能登町の夏の祭りといえば「宇出津のあばれ祭り」
柴野さんの地元であり、「MALGA GELATO」のある石川県能登町では、毎夏7月初旬に行われる「宇出津のあばれ祭り」が有名です。
神様を喜ばせるために神輿を大きく揺らすのですが、その名の通り暴れ方がとにかく凄まじく、神輿が激しい音とともに地面にたたきつけられたり、橋から川に落とされたり、燃え盛る火の中に投げ込まれたりと、その様子はまさ圧巻。一見の価値ありのお祭りです!
また、能登町には「MALGA GELATO」の他にも数々のグルメスポットや日本海を一望できる立ち寄り湯などがあり、小旅行にもおすすめです。
今年は中止になってしまった「あばれ祭り」が来年こそは開催され、同時に、雄大な大地と日本の原風景に包まれて日頃の疲れを癒しにいくためにも、新型コロナウイルスの終息のために感染予防を心がけていきましょう!