Now Loading...
インタビュー

雅楽【五節舞】天皇即位限定!十二単の五人の舞

雅楽【五節舞】天皇即位限定!十二単の五人の舞

美の神ファイブ光臨!五節舞
オマツリの中でも美の神光臨!!な五節舞。
神社で行われる奉納舞では、時代を超えて大切に受け繋がれてきた伝統芸能に触れることができます。

今回は五節舞について、元宮内庁楽師から基本指導を受けており、世界に通用する舞楽を習える「原笙会(はらしょうかい)」代表・生川 純子先生に、わかりやすく紹介していただきます!

◆天女光臨!十二単の舞『五節舞(ごせちのまい)』

雅楽といえば「越殿楽」。
「越殿楽」はお正月に神社で流れていて、誰でも「ああ、あの曲ね!」とわかるとても有名な曲です。

雅楽には日本古来の舞「国風歌舞(くにぶりのうたまい)」、大陸系の楽舞、歌物の三種類があります。
この「国風歌舞(くにぶりのうたまい)の中のひとつ「五節舞(ごせちのまい)」は、4人の未婚女性による舞です。

「天武天皇が吉野で和琴を弾いていると、天女が舞い降りてきて五度、袖を振って舞った」という伝説をもつ、女性のみが舞うという珍しい舞です。

令和元年は希少な五節舞を見るチャンス!

通常は四人で舞いますが、天皇の即位の際に行う大嘗会(だいじょうえ/大嘗祭だいじょうさい)のときだけは五人で舞うと定められています。

室町時代には衰退した五節舞ですが、大正時代に復活ということもあり、
令和元年はなかなか見ることのできない五人での五節舞が見られる非常に希少な年なのです!

◆世界に通用する舞楽を習える!女人舞楽「原笙会(はらしょうかい)」

― 生川先生、原笙会について教えてください

通常、雅楽は楽器が一通りできてから舞を習います。
長い歴史を見ると『五節舞』は源氏物語にも出てくるのですが、雅楽は基本的に男性が行うことが多いといわれています。

美しく若いうちに舞ができるように

― 通常、雅楽で女性が舞うのは難しいのでしょうか

女性は結婚や出産で練習を続けていくことが難しいときもあります。

そのため1957年に京都で「美しく若いうちに舞ができるように」と、
女性のみの舞だけに特化した「女人舞楽 京都舞楽会(のちに原笙会)」が設立されました。

時代を超えて蘇る女人舞

― どんな特色がありますか

原笙会では女舞を大切にしており、千年振りに復活させた女人舞「柳花苑(りゅうかえん)」をはじめ、「桃李花」「五常楽」など途絶えてしまった舞を復活追求しています。

写真:芦屋 田中金盛堂 甘くておいしい原笙会の紋が入った芦屋せんべい詰め合わせ

「不良少女と呼ばれて」印税の行方はなんと…!

― 創設者の原笙子(はら・しょうこ)さんについて教えてください

原笙子は「不良少女と呼ばれて」の著者です。
不良少女だとレッテルをはられた少女時代の話しを書いたのですが、
昭和59年に題名だけを使ったテレビドラマが大ヒットしました。

原笙子という名前はペンネーム。中国大連で占領軍のロシア人に舞楽を舞った時に「ハラショウ!(ロシア語/すばらしいの意味)」と大喝采を受けたことに由来しています。

不良少女だったころの思い出が本やドラマになり、その印税は全て舞楽の装束代になりました。

装束は自分たちで手作り

― 印税が全て舞楽の装束代…!?

装束代とはいっても一着を仕立ててもらうと何百万円もかかるため、自前で作っています。

京都の井筒装束店の八代目・與兵衛(よへい)のもとで仕立てを習い、そのときの装束を弟子がいまも大事に補修して使っています。

例えば会員の中に日本画家がいます。とても手先が器用でお化粧や結髪、彩色などをしてくれます。
実はわたしも舞台の前日まで髪飾りを作っていました。
装束は洗濯ができないため、雨が降ってきたときは残念ですが使い切りになるときもあります。
そのため装束をたたむ時も丁寧に扱い、大切に使っています。

◆十二単は〇〇Kgもある!重い着物でお姫様は舞えるの?!

― 十二単は重そうですが、どのくらいの重さがありますか

平安時代には五節舞の舞姫から后妃に選ばれたというほどの舞で、
天皇に見初められるかもしれないという、お姫様にとっては一大イベントでした。

普段は御簾の奥に座り、身の回りのお世話をしてもらっているお姫様は、移動の際に抱きかかえてもらうこともあるそうです。

というのも十二単は着物を重ねて着るため総重量はなんと20Kg。
通常、自分では動く力もないお姫様が舞うため、緊張から倒れる人も多いのもうなづけます。

会話の代わりに和歌を唄う雅な習慣

― 五節舞の装束の特徴を教えてください

装束に関しては五節舞では手に桧扇(ひおうぎ)を持ち、胸には和歌を歌う際に使う懐紙をしたためています。

時代に沿って変わる五節舞

― 昔から五節舞は変わらないのでしょうか

現代では舞が省略されており、神様の方を向いて奉納舞を行います。
国風歌舞「五節舞」は、詠の長さ(歌詞)が決まっており、帝(御代)が替わる度に当時の楽長が舞の手を新しく作っていました。
丑の日からはじまり、辰の日が本番。四日間も毎日違う装束を着て舞っていたのだそうです。

◆五節舞の歌詞に登場する謎の天女とは

龍神や弁財天ともいわれている「瀬織津姫命(せおりつひめ)」は五節舞を最初に舞ったという伝承があります。

天女の美しさに目を奪われた天皇

― 五節舞の歌詞の意味を教えてください

奈良・吉野で天武天皇が歌った五節舞の歌詞は「乙女ども 乙女さびすも 唐玉を 袂に巻きて 乙女さびすも」というもので、その意味は「乙女たち、乙女らしく舶来の玉を袂に巻いて、あぁ美しい乙女よ…!」と、天から舞い降りてきた天女を見てただただ感激している様子を表しています。(「さびすも」は感嘆詞)

祝詞の中で罪穢れを流す瀬織津姫

― 瀬織津姫命はどんな神様ですか

佐久奈度神社などご祭神として今でも祀られているところはありますが
パワーが強すぎて祝詞・大祓詞(おおはらえことば)くらいにしか登場しない謎の多い神様です。
古事記や日本書紀では瀬織津姫命はかき消されてしまいました。

舞台を終えたあとの生川さんにインタビューをさせていただいたところ、
雅楽から来た言葉や「踊りは騎馬民族特有の馬に乗って跳ねている動作を現している跳躍運動、
舞は農耕民族の旋回運動で鍬を耕している感じの動作であったり、足さばきに特徴があります。そのため、舞楽は踊りとはいわず舞といいます。」など、おもしろい話をたくさん教えていただきました!
どのお話も素敵な笑顔が印象的で、あっというまの時間でした。
本当にありがとうございました!


写真:天平装束を着て五節舞を舞う原笙会の生川先生 近江神宮にて撮影

◆レア中のレア!天平装束による五節舞!

奉納舞では子供のデビューでよく舞われる「胡蝶」やイケメンのため仮面で顔を隠した「蘭陵王」など色々な演目があります。

その中で五節舞を見られるだけでもレアですが、
「近江神宮では五節舞を作られた天武天皇の兄・天智天皇を祀られているため、十二単ではなく、天平装束で舞います。」という原笙会Facebookの告知を発見!!

「なんとレアな!舞好きには見逃せない…!!これは絶対に見なければ…!!!」と珍しい舞をカメラにおさめに動画撮影用の振動を劇的に抑えるジンバルも買って、近江神宮へ行ってきました!

目指すは「ちはやふる」舞台となった、かるたの聖地・近江神宮!

大きくて静かな森の中の参道を進んでいくと…広すぎて迷子になるというトラブル発生(涙)。

普段行く京都は小さな境内の神社が多いので広大な敷地にあわてる。
しかも回りに誰もいないため道を聞くこともできない…(号泣)

きっとこっちに舞台があるに違いない…。と、さまよいながら歩くと
境内には6月末に行われる茅の輪がまだ残っていました。

穢れを祓う茅の輪をくぐると、拝殿に無事到着!
ほっとひといきをつき、センターでカメラをセッティング!
(※近江神宮は三脚での撮影も可能でしたが、人が多いときは注意が必要です。)

神事が始まり、(超訳)「水の神・瀬織津姫は大海原に罪、穢れを流してくれるでしょう…。」と祝詞があげられたあと、いよいよ待望の奉納舞!

……!わぁ~!きれい!!天平装束の姿はまさに天女!!!
天皇も「乙女ども 乙女さびすも…(以下略)」と唄ってしまいますね!

↓ レアな瞬間をおすそわけ!天平装束・五節舞のバーチャル参拝をどうぞ! ↓

天女が舞い降りた時間は10分ほど。

どこの神社も奉納舞は基本的にご奉仕。
練習を重ね、装束を作り、移動、着付け…と伝統を繋ぐ大変さも感じる時間でした。

五節舞を見るには

生川先生に今後の五節舞について伺ったところ
「11月3日の城南宮で行われる「曲水の宴」では通常、白拍子を舞いますが今年は令和元年のお祝いで五節舞を舞います。
新元号を奉祝して天平時代装束から、平安時代初期の物具装束(もののぐ)、江戸時代の十二単まで、五節舞が舞われていた時代の装束を全て再現して舞う・・・ということをしようかと考えています。」
と、またもや激レアな期待度MAX・五節舞情報をゲット!!!!!

城南宮の曲水の宴は平安時代の雅な歌会が再現されているとても人気の高い行事。
11月3日が楽しみでなりません!


写真:城南宮 曲水の宴での白拍子

みなさまも美しい五節舞を見に是非一度、地域のお祭りにも足を運んでみてくださいね!

原笙会
〒659-0015
兵庫県芦屋市楠町14-20-115
TEL/FAX 0797-23-1886
http://www7a.biglobe.ne.jp/~gagaku/

フォトライター 佐々木美佳
散歩ような旅する毎日「京都散歩の旅」満喫中。

written by
お祭りの最新情報をチェック!

あわせて読みたい