徳島県徳島市の「阿波おどり」、秋田県羽後町の「西馬音内盆踊り」と並び、日本三大盆踊りの一つと称される「郡上おどり」。岐阜県郡上八幡の街で例年7月中旬に始まり、9月の上旬にかけ合計で30夜以上も開催される日本一長い盆踊りとしても知られています。
この記事では、郡上おどりを愛する岐阜出身者が2019年に参加したときの様子をレポートしつつ、初めて参加する人にも役立つ楽しみ方のポイントなどをお伝えします。
郡上おどりの魅力とは!?
郡上おどり大大大好き、岐阜県出身28歳大塚です。
郡上おどりは、大人にこそ楽しんでほしい。
今日はそんな思いを胸に、郡上おどり(特にここでは徹夜踊り)に初めて参加する方向けに、その魅力や楽しみ方をご紹介します。
郡上おどりとは?
郡上おどりとは、岐阜県のほぼ真ん中、長良川の上流にある郡上八幡という町で開催される、江戸時代から400年の歴史を持つ盆踊りです。
郡上おどり自体は7月中旬から9月上旬にかけての長期間、郡上の街のあちこちで行われていますが、とくに有名なのが、お盆期間中の8月13,14,15,16日に行われる「徹夜踊り」。この期間は夜の8時から明け方まで、みんなで夜通し10種類の曲目を踊り続けます。
東京の青山でも大きな郡上おどりのイベントが開催されたり、最近では郡上市内で平成から令和へと元号が変わる瞬間に徹夜踊りが開催され大きく取り上げられたりと、全国的な知名度も上がってきているのを感じます。
郡上おどりの参加方法
郡上おどり自体に参加条件はありません。もともと江戸時代に「お盆の4日間は、身分の分け隔てなしにみんなで踊ろう」という、当時の郡上八幡城の城主のお達しから始まっているお祭りなので、誰でも参加することができます。逆に言えば、見物の方はいらっしゃいません。その場にいるみんなで踊ります。
初めてでうまく踊れるか心配な方もいらっしゃると思いますが、一定の動きを繰り返す盆踊りを、夜の8時から明け方まで繰り返し踊り続けるのです。否が応でも形になってくることでしょう。心配ご無用です。
郡上おどりの楽しみ方
◎まずは街並みを楽しんで
今更ですが、みなさんは郡上踊りにどんなイメージをお持ちでしょうか。「徹夜踊り」なんて響きから、いわゆるパリピたちが夜通し大騒ぎしているイメージをお持ちかもしれませんが、それは誤解かも。
まず、会場の郡上八幡という町。これは郡上八幡城というお城の城下町なのですが、街並みがとにかく素晴らしいです。
ちょうどこの写真を撮った時は、前日に雨が降ったこともあり脇道の水が濁っていますが、澄み切った清流が町中に流れる、静かで美しい場所です。この三角の屋根の下は水飲み場になっていて、流れる水をひしゃくですくって飲むこともできます。
↑お昼の様子と夜の様子。夜には、昼の様子からは想像もつかないほど、大勢の人が道で向かい合って踊ります。
美しい街並みと人々が一体となり、和やかな空気が流れているのが郡上踊りの魅力なのです。
◎浴衣・下駄のレンタルはある?
調べたところ、浴衣については石山呉服店というところで浴衣のレンタルサービスを行っているようです。浴衣をお持ちでない方や、普段着で踊るつもりだったけれど、この街並みには浴衣でなくちゃ!と気持ちが変わった方は、レンタルを利用してみるのもいいかもしれません。
下駄についてですが、郡上おどりでは、下駄の音をカラっと鳴らす振付けがあるので、下駄があればより一層楽しめるかと思います。
一人一人、足に合った鼻緒の締め具合が違っていたり、一晩中踊り続けて下駄の底がけずれたりすることもあるので、下駄のレンタルは難しいかと思いますが、町中のいたるところに下駄屋さんがあり、リーズナブルな(2000円くらい)マイ踊り下駄をゲットすることができるのでご心配なく。その場でお店の方が鼻緒の締め加減の調整も行ってくれます。 また、好みの鼻緒の柄を選んだり、自分で選んだ焼き印を押してもらったりして、おしゃれなオリジナルの下駄をつくれるお店もあり、こちらも大変な人気です。
人気のオリジナル下駄屋さん。モダンな和柄や、リバティ柄の鼻緒も!
その他、現地で浴衣に合わせた和風のピアスや、郡上踊りの「猫の子」という曲目をテーマにしたオリジナルのサコッシュを購入するなどして、本番に向けて気分を高めていきます!(余談ですがこのサコッシュはとても役に立ちました。貴重品や飲み物のペットボトルをまとめて入れておくことができるので、両手とも踊りに集中できます。)
いよいよ踊り開始!
徹夜おどりの魅力
◎頑張りすぎなくてOK
踊りの振付については、盆踊りなのでそこまで心配する必要はないかと思います。たとえうまくできなくたって誰も気にしません。
腕前に自信がついてこれば「踊り免状」という、踊りが上手な人にもらえる免状取得をめざして頑張るという楽しみ方もありますが(またこれは別の機会に!)、初めてということであれば、輪に加わって見よう見まねで踊るだけでも十分に楽しめると思います。
慣れてきたら「ハイ!」や「にゃお~!」などといった踊りの合いの手を声に出してみて(こちらもやっているうちにタイミングがわかってきます)踊りの輪をさらに盛り上げてくださいね。
開催時間が長時間にわたるので、踊り疲れてきたと感じたら、脇道に入って流れる川の流れに脚を浸して休憩したり、郡上八幡のグルメを楽しんだりしながらのんびり過ごし、また自分のタイミングで輪に加わって踊り始める。という、ゆるい楽しみ方ができることが魅力の一つではないかと思います。
ちょっと脇道に入って、休憩中の1コマ。冷たくて気持ちがいい!
踊りの輪から抜ければ、人込みから離れてゆったりと過ごすことができます。
鮎の塩焼きと、郡上八幡のクラフトビール「こぼこぼ」。この「こぼこぼ」を飲むことも、私の郡上踊りの楽しみの1つ!
もちろん踊りも。時間が経つにつれて会場の高揚感も増して行きます。
郡上八幡へのアクセス・宿泊
踊りきった後の宿泊についてですが、絶対に布団でぐっすり休みたいという方は、かなり前もって宿泊施設の予約をしておくことをオススメします。
◎宿を取りそびれたら、キャンピングカーもオススメ!ただし当日お昼までには郡上に到着するつもりで。
郡上八幡には電車で行くこともできますが、キャンピングカーで郡上入りすれば、会場近くに車を停めて朝まで踊り、車に戻ってひとまず横になることができて便利です。宿をとりそびれた方や、なるべく予算を押さえたい方はキャンピングカーの利用も検討してみてはいかがでしょうか。ただし、その際は必ず時間に余裕をもって郡上へ向かっていただくことをオススメします。
かつて1度、東京都内からキャンピングカーで郡上おどりに参加した際は、正午ごろから支度や簡単な買い出しを済ませて岐阜県へ向かったのですが、途中の渋滞などがあり郡上周辺についたのが夜の21時過ぎ。
そして、ここからが大変でした。
とにかく駐車場が空かない!おどり会場はすぐそばなのに、車を停める場所に案内されるまでに何時間もかかってしまいました。結局車を停めて、ひとまず食事をしたりビールを飲んだりしているうちに、本格的に踊り始めたのが日付も変わった01:00ごろ。徹夜踊り終了が明け方04:00ごろなので、少し踊り足りない気持ちが残りました。
繰り返しになりますが、当日お昼には郡上に到着しているイメージでちょうどいいかと思います。
さいごに
清流の流れる美しい街並みに、浴衣の人々。生演奏のお囃子や下駄の音。曲目を何度も繰り返しながら会場に増していく一体感。「バカ騒ぎ」とはまた違う、しっとりとした楽しさ、高揚感が郡上踊りの魅力かなと思っています。
やはり郡上おどりは、大人にこそ楽しんでほしい。この盛り上がりを一度体験していただきたいです。
気になった方はぜひ、お盆の郡上八幡へお越しください!徹夜踊りでお会いしましょう◎