静岡に春を告げる祭り
静岡県の県庁所在地、静岡市。今年の大河ドラマ「どうする家康」では、主人公の徳川家康が今川家での人質時代を過ごした地として描かれています。その後の家康は江戸幕府を開き将軍職を息子の秀忠へ譲った後は、再び大御所として駿府と当時呼ばれていた静岡で生活していました。
この静岡市で毎年4月5日を中心に開催されているお祭りがあります。「廿日会祭(はつかえさい)」です!
桜の咲く時期に開催されることから、静岡に春を告げるお祭りとも言われる廿日会祭。ここからは催し物がたくさん実施された、4月5日のお祭りの様子をご紹介していきます!
古式稚児行列が進む
廿日会祭は今川氏が静岡を治めていたよりも前から450年以上もの歴史があると言われるお祭りで、駿河国総社の静岡浅間神社の祭礼として開催されています。毎年4月1日から6日まで行われ、特に5日は最も重要な神事の”例大祭”や国の重要無形民俗文化財である”稚児舞楽(ちごぶがく)”が実施される等、一番の盛り上がりをみせる日です。
5日のお祭りのはじまりは古式稚児行列の練り歩きから。今年の出発地となっている小梳神社(おぐしじんじゃ)へとやってきました!
11時の行列の出発を前に、社殿内では神事が執り行われています。左に並ぶ赤い衣装を着た4人の子どもが、午後に稚児舞楽を奉納する皆様です!
今年は小梳神社から出発する古式稚児行列ですが、近くにある別雷神社と毎年交互に出発地が変わりますのでご注意を。また小梳神社は家康所縁の神社でもあり、駿府城の守り神として徳川家の崇敬の篤い神社としても知られています。
11時が近づき、各町から行列に参加する皆様が続々と小梳神社目掛け進んできました!
お囃子を奏でながら向かってくる山車も。
静岡駅前方面からも山車が登場します!
2つの山車が連なってやってくる場面も!後方に見える緑の生い茂る場所は、最後の将軍となった徳川慶喜が大政奉還後に晩年を過ごした屋敷跡になります。また廿日会祭では、5つの山車が出るんですよ。
小梳神社の鳥居前には、赤く塗られた輿が設置されました。そして神事を終えた稚児4人が乗り込んでいきます。
11時になりました。行列の出発です!
山車の前方では纏を回して盛り上げる人達も!
路地を横切る山車の姿はかっこいいですよね。
商店街もお囃子を響かせながら抜けていきます。
行列の前方では、4人の稚児を乗せた輿が一足先に静岡浅間神社へと進行中です!
本通りの呉服町一丁目交差点へと山車が差し掛かりました。後方に見えるのは、1931年に建てられた静岡銀行本店の石造風の建物。重厚な建物を背景に山車が巡行していきます。
たくさんの方が協力して山車を引っ張ります!
静岡銀行本店の前を山車が通過中!静岡の町へ響く木遣りが良いですね!#廿日会祭 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/6mijXcUI8f
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) April 5, 2023
この山車行列はお踟(おねり)とも呼ばれ、各町が工夫を凝らしこちらのような仮装をして参加するのも風物詩になっているとのことです。
山車の上からは、おかめもお祭りを盛り上げます!
続いては、静岡浅間神社へと通じる浅間通り商店街にも山車が進んできました。
纏も一層回り、沿道の見物客を湧かせます!
進んできた行列一行は、静岡浅間神社の石鳥居前へと到着。輿、山車がこちらで整列し、これにて行列は終了となります。
山車曳き揃えで魅せる
勢揃いした5つの山車。ずらっと並び、後方の静岡浅間神社の木々とも相まって美しいですね!ここからは各町が木遣、お囃子、地踊りといった余興を披露していきます。
木遣が歌い上げられ、纏回しが登場。見事な技を披露します。
山車の上では、パフォーマンスをさらに盛り上げる姿も。
花咲かじいさんまで登場しました!
続いては地踊りの披露。統一された衣装で美しく踊っています。伊勢音頭や帆柱起し音頭等が披露されていきました。
再び纏回しが登場です。今度は4人で一斉に回していきます!
山車の最上部には、神武天皇や木花咲耶姫などの人形も出ており注目ポイントです。
5つの山車屋台が静岡浅間神社の前へ勢揃い。纏のパフォーマンスが披露されています!#廿日会祭 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/63Pw5DAGp9
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) April 5, 2023
ひょっとこも踊りで花を添えます!
稚児舞楽の奉納
14時からはお祭りの舞台が静岡浅間神社の境内へと移ります。廿日会祭の中でも最重要な行事、例大祭が社殿で執り行われていきます。
お祓いや祝詞奏上等の神事が厳かな雰囲気の中、進められていきました。
例大祭が終了し、15時からは国の重要無形民俗文化財の稚児舞楽の奉納です。舞殿では演奏の皆様がスタンバイ。舞殿の周りには見物客もたくさん押し寄せていました。
舞殿の4本の柱には、こちらのように四神が描かれた旗が掲げられているのもチェックポイント。
さあ、稚児が登場しました!稚児舞楽では、5つの演目が行われますが、まず最初は「振鉾」です。古代中国の王朝、周の武王のエピソードが舞われていきます。
頭の上の冠は、桜や山吹の花で彩られており美しいですね。
2人が並ぶシーンも。
稚児舞楽が静岡浅間神社の舞殿ではじまりました!はじめは周の国の武王のエピソードを舞う振鉾です!#廿日会祭 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/w5AoWTMLo6
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) April 5, 2023
ちなみに稚児舞楽を舞う子どもたちですが、江戸時代以降には幕臣の子息から選ばれるのが常だったそうです。現在では氏子の中から選出されるようになり、今年は9~12歳の子どもが務めています。
お次は「納曽利」という演目。今度は1人で舞います。
カラフルに彩られた衣装にも目を惹かれますね!
見物客の視線が集まる舞殿。見事な舞を見せていきます。
続いては納曽利。一人で美しく舞っていきます!#廿日会祭 #稚児舞楽 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/3hgvk55VOF
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) April 5, 2023
3つ目の演目は「安摩・二の舞」。こちらは2人の稚児と黒面のジジババが舞手になります。名前の通り”二の舞を踏む”と言う言葉の語源になった舞なのですが、まずは稚児の2人が笏を持って現れました!
野球の一本足打法のようなポーズも。
そしてジジババも登場!
舞殿の上をくるくると回りながらパフォーマンスしていきます。
3つ目の舞は、安摩・二の舞。二の舞を踏むの語源になった舞で、二人の稚児と黒面のジジババが一緒に舞っていきます。#廿日会祭 #稚児舞楽 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/21OJbI6EIN
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4つ目の演目は「還城楽」。こちらは1人での舞になり、輪で作られた蛇が登場するのも注目ポイント。
飛び跳ねる場面もあるんです!
そしてこちらが蛇です!手で持っている輪がそれで、見事捕まえたシーンがこちら。
最後は「太平楽」です。太平楽は天皇陛下の御即位の際に舞われる舞でもあり、慶事の際にふさわしいおめでたい舞として知られています。衣装も朱色でおめでたい装いですね!
腰から刀を抜き、さらに舞っていきます。
舞の終盤では刀を納めるところも。絵になりますね。
静岡浅間神社へのアクセス
・静岡駅北口より徒歩30分
・新静岡駅御幸町・追手町口より徒歩20分
・駿府城公園(天守台跡)より徒歩13分
・青葉おでん街より徒歩22分
毎年4月5日に開催される廿日会祭の稚児舞楽。ぜひ見に来てみてください!