「高知の本気、魅せちゃらあ。」
そんなメッセージとともに今年、高知の夏によさこいが帰ってきました!「4年ぶり」の通常開催かつ「70回目」の記念大会、溜まりに溜まったエネルギーがメッセージにも込められています。
夏の猛暑を塗り替えるくらいに高知の熱気が最高潮に達したよさこい祭り本番の2日間。
そこには祭りに携わる方々のたくさんの喜びと笑顔が溢れていました。
今回復活したよさこい祭りを、昨年まで高知県外のよさこいチーム「かんしゃら」の代表として毎年お祭りに参加していた筆者がレポートします。チーム運営経験で培った独自の目線で綴ったレポート記事ですので、通の方にもお楽しみいただけるかと思います。また、来年こそは行ってみたいと思っている方にとっても参考となる情ああもお伝えしたいと思います。
目次
1.南国土佐で生まれた自由な祭り、いざよさこい祭りへ!
よさこい祭りの一番の特色は「自由」ということ。
「鳴子を持って前に進む踊りであること」「よさこい節が楽曲中で使用されていること」の2つの基本ルールを満たしていればOKというなんとも南国土佐らしいおおらかさを感じます。
参加チームは2023年は160チーム、和風の渋い踊りや粋な踊りから、ラテン系のノリのいいチームまで多種多様の踊りを楽しむことができます。
第70回よさこい祭り大賞は「とらっくよさこい(ちふれ)」
記念すべき70回大会、そのよさこい祭り大賞に輝いたのは「とらっくよさこい(ちふれ)」。過去に何度も大賞受賞している強豪チームが今年も素晴らしい踊りを披露してくれました。抜群の揃い具合と目を引く特徴的な衣装で魅せる演舞は見ている人を釘付けにします。
「よいさ!ほいさ!」の掛け声でお客さんも一体となって盛り上がる様は圧巻のパフォーマンス。
全国にファンがいるよさこいを代表するチームの一つです。
まさによさこいの歴史、第一回から参加する老舗チームは今も最前線!
次にご紹介するチームは「帯屋町筋」。
高知のメインストリートである帯屋町筋商店街を拠点としており、なんと1954年の第一回よさこい祭りから参加している老舗チームです。
合言葉は「伝統と挑戦」、70年続く歴史もありながら、常に新しいことに挑戦し、前に前に進んでいく姿はまさによさこいのシンボル。
ぜひご覧になっていただきたいチームです。
人が祭りを作る!老若男女が踊るよさこい祭り
よさこいを楽しんでいるのは年長者ばかりではありません。
高知県内の幼稚園や高校、そして大学とそれぞれでチームを結成し参加するなど、高知県全体でよさこいを盛り上げようという気概を感じることができます。
高知の本気と真っ向勝負!県外チームも魅力たっぷり
県外勢も負けてはいません。むしろ、台風を乗り越え、遠方から高知に踊りにくる本気ぶりには畏敬の念すら感じます。
よさこいの基本ルールを守っていれば他は自由ということで、県外チームはその地域の特色を織り込むなど、オリジナリティが溢れる作品作りをしているチームが多いのが特徴です。
日本全国、いや世界各国から踊り子が参加、そんなみんなの共通点はよさこいが大好きということ。
県外チームの人たちにとっても高知はよさこいの聖地です。喜び溢れる踊りを見ているときっと心が動くはず。ぜひ皆さんの地元のチームを見つけて応援してあげてくださいね!
2.まるでテーマパーク、全17会場で160チームが踊り咲き!
いまやよさこいは全国に広がりを見せていて、各地で地域の名前を冠したよさこい祭りが開催されています。
しかし、本場高知ならではの特色といえば、決まったタイムテーブルがないということ。
追手筋本部競演場など一部の会場を除いて各チームは高知市内に点在する様々な会場に各自の好きなタイミングで向かい、先着順でエントリーします。
そうして自分たちの順番が来たら会場を踊り抜け、また次の会場に向かうということを繰り返して1日が過ぎていきます。
まるでテーマパークのようです。
そんなときにチーム側にもお客さん側にも役にたつのが「どこいこサービス Neo」というwebアプリ。
よさこい祭り本番の期間中に、各チームの巡回情報と、各会場の演舞状況や待ち時間の予測などをリアルタイムで提供しています。
チーム一覧からは各チームの現在の状況を確認することができます。
今どの会場で踊っているのか、もしくは順番待ちをしているのか。次はどこの会場に行こうとしているのかが一目でわかります。
お目当てのチームがあればブックマークしてチームの移動を追いかける、なんていうのも一緒にお祭りに参加している気分になれて面白いかもしれません。
また会場一覧では、会場ごとに「踊りゆ」「待ちゆう」「来ゆう」の3つの項目があり、今ある会場では何チームが踊っていて、何チームが順番待ちしていて、そして何チームが会場に向かっているのかを確認することができます。チームの運行責任者はこのサイトの情報と経験・勘を頼りに色んな会場を巡っています。
全会場コンプリートできたときはちょっとした達成感がありますね。
3.観客も一緒に盛り上がれる、踊りへのお返しは団扇の風
そんなよさこい祭り、楽しめるのは踊りだけではありません。
踊りや衣装と同じくらい重要な要素として踊り子を扇動する音響車「地方車(じかたしゃ)」があります。
トラックをイラストや造形でデコレーションし、スピーカーアンプと照明を搭載した地方車はチームの顔。代表者や歌い手などが乗り込み、踊り子とお客さんを煽り会場を盛り上げます。
地方車が横を過ぎるときの迫力はきっとびっくりするはず。
会場に入るとお客さんがみんな団扇を手に持っている光景が目に入ります。
8月の暑い時期に開催されているため、自分たちを仰ぐのももちろんですが、チームの演舞が始まると仰ぐ先が踊り子側に変わります。
お客さんからの団扇風は暑い中踊っている踊り子にとって、大きな追い風。「もういっちょ!」と気合が入ります。そんなときは踊り子もお客さんも自然といい笑顔。祭りならではの一期一会の縁を感じる瞬間でもあります。
団扇は会場や市内様々なところで配布されていますので、ぜひ手に取っていただければと思います。
中にはチームのパフォーマンスに合わせてお客さんも団扇を振り上げることもあります。
そうなればあなたもお祭りの一員、一緒に盛り上げましょう!
4.よさこいは前に進み続ける、「また来年!」高知で会いましょう!
今年のよさこい祭り、実は開催が一時危ぶまれていました。というのも台風7号が日本列島に接近していて、高知県に直撃するなんていう予報もありました。
幸い直撃は免れ、無事に開催が決まったものの、本番1日目は終日悪天候が予報で伝えられていました。
例年以上に盛り上がるのか?と懸念していましたが、奇跡的に雨雲は高知市内を避け、雨に降られ続けることはありませんでした。むしろ気温も下がり、踊りやすい気候で本番2日間を過ごすことができたことは奇跡かもしれません。
ある踊り子さんが「4年間我慢したご褒美やき」と言っていたことが印象的でした。
通常開催ということで本番の前日には前夜祭が、12日には後夜祭と全国大会も開催され、4日間通してたくさんの方がよさこいを満喫することができました。
そして同時に本当によさこいが帰ってきたんだなと実感しました。
また、無事に終了してホッとしたと同時に開催に向けて準備くださった関係者の方々に感謝の気持ちでいっぱいです。
しかし、よさこいは前に進む踊り、毎年少しずつアップデートされています。
来年のよさこい祭りはきっと70周年以上の盛り上がりとなるはず。
ぜひ、南国土佐でお待ちしています!
写真協力:たかし@高速の豚 (@takashi024852)、ハゼハセル(@haze_4351)