あなたは日本の伝統行事「虫送り」を知っていますか?
若い世代ほど虫送りについて聞いたことがない、知らないという方が増えてきています。
そこで今回は全国各地で虫送りを行っている地域をまとめてみました。
(この記事は2019年に公開されたものを再編集しています。2021年5月25日 編集部更新)
虫送りとは?
虫送りとは、その年の農作物の豊作をお祈りする伝統行事のことをいいます。
昔は現代ほど農薬が普及しておらず、農作物に害を及ぼす虫が後を絶ちませんでした。
そのため、害虫を追い払い少しでも多くの農作物が収穫できるようにと農民の祈りが込められています。
さらに農作物への害虫は、「悪霊」のしわざとも考えられていたことから、その退散を祈る呪法といった見方もあるようです。
妖怪道中記:岩手県北上市「鬼の館」を訪問。展示されていた虫送り人形は害虫を人形につけて災害を逃れようとする行為で、岩手県の北部で盛んに行われているそう。男女一対の鬼形で集落をひとめぐりして川に流されるそうです。 pic.twitter.com/Z2HZzxLFIN
— 妖怪サロン (@yokaisalon) 2018年4月19日
虫送りの方法は各地で違いはありますが、害虫の身代わりに例えられた藁人形を燃やしたり、川に流したりして行っているそう。
ただし近年では農薬の発達により、害虫の影響がそこまで深刻化していないこと。
また燃やすための火を使うのは安全面でも懸念されるために、虫送りを行わない地域も増えてきています。
丸山千枚田の虫送り
昭和28年までは子供たちの手で行っていた丸山千枚田の虫送り。
地区の子供たちがお寺から虫送りに使うお札をもらい、松明を持ちながら千枚田の中を練り歩いて害虫を追い払っていたとされています。
本日は丸山千枚田の虫送りへ。
幻想的な風景の中撮影してまいりました!劇中にも…‼︎ pic.twitter.com/q6eaEC46NA— 映画『海にのせたガズの夢』公式 (@gazunoyume) 2017年6月10日
また松明の他にも鐘や太鼓などの音の力で害虫を追い払うこともしていたとか。
「昭和28年まで」となっており、以降の虫送りは行っていませんでしたが、実は平成16年に虫送りを再開しています。
その理由としては三重県にまたがる「熊野古道」が世界遺産に認定されたこと。
これをきっかけに農耕行事として虫送りを復活。現在では夕方になると松明が灯され、幻想的な風景を目の当たりすることができます。
開催期間:2021年6月12日(土)※2021年は開催中止
※公式HPはコチラ
小豆島の虫送り
四国の瀬戸内海に浮かぶ「小豆島」
小豆島の中山地区では今も虫送りが行われています。
7月の第一土曜日になると、松明を手に中山地区の畑のあぜ道を練り歩きます。
小豆島の内陸部にある肥土山、中山地区に夏を告げる「虫送り」。
夕暮れ時、稲に虫がつかないよう祈願しながら、子どもたちが火手(ほて)と呼ばれる松明を持って田んぼの畦道を歩く幻想的な伝統行事です。https://t.co/BHyExPxdZx#せとうちのしおり#瀬戸内国際芸術祭2019 pic.twitter.com/6kHuOgXoVw— 瀬戸内国際芸術祭/ARTSETOUCHI (@setouchi_art_jp) 2018年7月27日
実は小豆島の虫送りはある映画のロケ地として有名になりました。
その映画とは日本アカデミー賞10冠を獲得した「八日目の蝉」です。
「虫送り」というのは農作物の害虫を駆除して豊作を祈る伝統行事です。舞台となったのは小豆島の中央に位置する中山千枚田で、この映画をきっかけに「虫送り」の風習が復活したそうです!!#八日目 #金曜ロード pic.twitter.com/j9ajbZDTCR
— アンク@金曜ロードSHOW!公式 (@kinro_ntv) 2016年2月26日
小豆島の虫送りも一時は途絶えていたのですが、映画をきっかけに復活。
以来県外からの観光客で賑わう年中行事として注目を浴びています。
開催期間:2020年7月1日(土)(毎年半夏生の日)※2021年5月25日時点で2021年の開催は未定です
※公式HPはコチラ
五所川原の虫送り
6/16に行われた「奥津軽虫と火まつり」の虫を焼くシーンと花火です。#青森 #五所川原 #津軽 #虫と火まつり pic.twitter.com/AB2CQpJati
— 青森県五所川原市地域おこし協力隊 (@GoshoLocal) 2018年7月4日
奥津軽の五所川原地区の虫送りは「奥津軽虫と火まつり」という名称で大々的に行われています。
若者が木彫りの龍の頭に、稲わらの胴体で作られた「虫」と呼ばれるものを担ぎます。
祭りばやしとともに村中を参加者が練り歩き、村の外れにある一番高い木の枝に「虫」を掛けて、農作物への祈願をするのが通常の方法。
昔は津軽地方一円となって行われた伝統行事だそうですが、現在では農村地域の一部でしか行われていません。
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伝統行事
奥津軽虫と火祭り
2017年6月17日(土)
五穀豊穣を祈願する祭りで、虫送り運行、火まつり
五所川原市大町通り
青森県五所川原市https://t.co/mNwQlGczJg
~~~ヾ(^∇^)おはよー♪ございます pic.twitter.com/WxdMkJxok0— ✿「風 Ⅱ」✿ (@kimagasenohaha) 2017年6月15日
参加料は掛かるものの、申し込みをすれば行事に参加できるのが奥津軽虫と火まつりの特徴です。
本格的な白装束を身にまとい、街中を練り歩けば身も引き締まる思いで伝統行事に参加できます。
開催期間:2021年6月19日(土)(毎年6月第3土曜日) ※2021年は松明の市中運行は取止め、岩木川河川敷での開催のみとなりました。
開催時間:18:00~20:00
参加料:2000円(保険料・白装束衣装料含む)
※公式HPはコチラ
虫送りのまとめ
昔ほど虫送りを行う地域は少なくなってきたものの、今でも全国各地で虫送りは大切な伝統行事として行われています。
私たちが安心して日々の農作物を口にすることができるのは、このような伝統行事が今でも語り継がれているからなのかもしれません。
今回の記事をきっかけに、あなたの住んでいる地域の虫送りについて調べてみてはいかがでしょうか。
※トップ画像出典:Wikipedia