6月は梅雨もあって「梅」と縁が深い時期。暦の上では立春から数えて135日目が雑節のひとつ「入梅」となり、毎年6月10日や11日がその日にあたります。何より、梅の実が穫れるのがこの時期ですよね。
というわけで今回は、梅の実を使って梅酒や梅ジャムなどを作る「梅仕事」についてご紹介します。
梅仕事とは?
映画「海街diary」のなかで、四姉妹が自宅の縁側で「梅仕事」をする印象的なシーンがありました。ご覧になった方は「あ!あれのことね」とすぐ分かるかもしれませんね。
その年の5月から7月にかけて収穫した梅を使って保存食を作る、そのことが梅仕事と呼ばれています。作るメニューの代表格は梅酒や梅干しですが、他にも梅シロップやドレッシング、梅エキス、ピクルスや漬けもの、甘露煮やジャムなど実に様々な食べ物・飲み物を自宅で作ることができます。
「海街ダイアリー」のみんなで梅仕事するシーンを観ながら梅のヘタを取ったらすごく捗った。 pic.twitter.com/W8xjSSwS5I
— 丁寧なぐりとぐら氏 (@Satryoshka) June 6, 2020
梅の収穫時期と熟度とメニュー
梅の実は地域によって少し差がありますが、おおかた5月の中頃から膨らみ始めて6月上旬に大粒の青梅に、6月中旬以降に黄色く熟して7月に入ると少し赤みを帯びて超完熟梅となります。
収穫時期と熟し具合によって、適しているメニューが変わるのもまた梅仕事の面白いところ。作りたいメニューを決めてタイミングを逃さずに作るもよし、その時期に穫れた梅に合った保存食を作るもよし。この時期ならではの自然の恵みをいただいて楽しみましょう。
梅仕事する時期と作るもの、この図が分かりやすい。今年は梅酒つくろかな。#梅仕事 #梅酒 pic.twitter.com/6frtXU7fYu
— S_S_ (@suzuki_lingmu) June 4, 2022
◎5月中旬~下旬
この時期の梅は「小梅」といい、まだ梅が小粒で緑色をしており硬いのが特徴です。カリカリとした食感が癖になる、小梅漬けにするのがおすすめです。
◎6月上旬~中旬
この時期の梅がいわゆる「青梅」。緑の大粒で硬い実で、梅酒や梅肉エキスを作るのに最適です。梅シロップも一緒に作れば、家族みんなで楽しめます。その他、しょうゆ漬けなどにするのもよいですね。
◎6月中旬~下旬
この時期の梅は「完熟梅」といい、黄色く熟し始めるもののまだ硬さのある状態です。お弁当のお供にかかせない梅干し作りには、この時期の梅を使います。
◎7月上旬~中旬
7月は「超完熟梅」の時期です。果肉が柔らかいこの時期の梅では、爽やかな酸味と甘みが美味しい梅ジャムが作れます。料理に添えたり紅茶に入れたり、色々な楽しみ方ができます。
梅仕事で作ろう!保存食のレシピ
夏を迎えるとどうしても夏バテして疲れが抜けなかったり、食欲が落ちたりしがちです。梅の酸っぱさのもととなるクエン酸は、疲労回復や食欲増進に効果的なので、この季節に作るのにぴったりの保存食といえます。ここではおすすめのレシピを3つご紹介します。
◎梅シロップ
大人から子供まで楽しめる梅シロップに必要な材料は、青梅1kgと氷砂糖1kgだけ。氷砂糖がなければグラニュー糖や上白糖でも作れます。
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【作り方】
●梅の表面の汚れを水で洗い落とし、竹串で1つずつヘタを取ります。
●水に約5時間漬けてアクを取り、しっかりと水気を拭き取ります。
●消毒用エタノールなどで容器を入念に消毒し、砂糖と梅を交互に詰め込んでいきましょう。一層につき砂糖は梅が隠れるくらいが目安です。
●蓋をして冷暗所に置きます。一日に1~2回は容器を振り中身を混ぜ、梅エキスを出させて早く砂糖が溶けるようにします。
●10日~2週間後、砂糖が完全に溶け梅の表面にシワができたら出来上がり。シロップを弱火にかけて白いアクを取り、一晩冷まして消毒した保存瓶に濾しながら入れます。
できあがった梅シロップは梅ジュースや梅サイダーのほか、牛乳で割るととろみが出て飲むヨーグルト風に楽しめます。豚肉を梅シロップで煮込めばおかずになり、ゼラチンで固めて梅ゼリーにしたり、そのままかき氷のシロップにしても美味しいですよ。
◎梅酒
梅シロップと同様に容器に梅と砂糖を詰め、最後にホワイトリカー1.8リットルを注ぎ入れます。アルコール度数35度以上であればブランデーやウイスキーで作ってもOK。
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【作り方】
●上記の梅シロップと同様に、容器に砂糖と梅を交互に詰め込むところまで進めます。
●最後にホワイトリカーを注いで蓋をし、冷暗所に置きます。
●時々、容器を揺すって3か月後には飲めるようになります。1年ほど寝かせるとよりコクが出て味わい深くなります。梅の実は最長1年で取り出し液体が濁らないようにするとよいでしょう。
できあがった梅酒はストレートで食前酒にしたり、水割りやソーダ割り、お湯割りと一年中楽しめます。また、しょうゆやみそと合わせて料理に使うと風味が豊かになります。梅酒ゼリーやパンケーキのシロップなど、大人向きのデザートにもよく合います。
◎梅ジャム
梅シロップや梅酒に使った梅からもジャムが作れますが、ここでは完熟梅を使ったレシピを紹介します。材料は梅1㎏と砂糖だけ。砂糖の量は梅の40%~80%を目安にお好みで調整してください。
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【作り方】
●完熟梅をさっと水洗いし、竹串で1つずつヘタを取ります。
●梅から酸が出るのでホーロー製やフッ素加工された耐酸性の鍋を用意し、梅とたっぷりの水を入れて弱火にかけます。
●沸騰直前に火を止めてそのまま冷まし、ザルにあげて実をつぶし、種をとります。
●実と少量の水を鍋に戻してひと煮立ちさせ、砂糖の半量を入れて混ぜながら5分ほど煮ます。
●残りの砂糖を味を見ながら加え、よく混ぜてトロトロの状態で火を止めてできあがり。
●保存する場合は、よく消毒した容器に熱いうちに詰めます。
梅ジャムはパンやクラッカーにはもちろん、ヨーグルトやチーズケーキのソースとしてもよくマッチします。紅茶に入れてロシアンティー風にいただいたり、冷水で割ると即席の梅ジュースにもなるのでおススメです。
まとめ
日本では梅の収穫時期には、「梅仕事」をする習慣が引き継がれてきました。疲労回復や食欲増進など、夏を乗り切るための保存食として梅は重宝されています。特に今回ご紹介したレシピは、材料が極めてシンプル。今年はぜひ梅仕事に挑戦してみてはいかがでしょうか。