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「酒田まつり」が3年ぶり復活開催!今年から始まった「時代まつり」にはあの歴史的有名人も

2022/6/1
2022/6/7
「酒田まつり」が3年ぶり復活開催!今年から始まった「時代まつり」にはあの歴史的有名人も

山形県酒田市の酒田まつりは3年ぶりの開催だ。一部の催しは開催されなかったものの、露店が約300店並ぶなど盛大な賑わいを見せた。

また、2022年は庄内藩初代藩主の酒井忠勝公が庄内に入部してちょうど400年の記念の年ということで、酒田時代まつり(時代行列)が初開催された。2022年5月19日~21日に行われた、この祭りの様子をお伝えしたい。

港町・酒田が最も賑わう「酒田まつり」とは?

400年以上の歴史がある酒田まつり。別名で山王祭(さんのうさい)と呼ばれる。拠点になっている日枝神社は昔、その起源の違いから上社と下社に分れていた。

ただどちらも山王権現を祀っており、1609年に2社の例大祭として山王祭を始めた。この祭りが現在、酒田まつりと呼ばれており、酒田で最も賑やかなお祭りとして親しまれている。

もともと酒田は「西の堺、東の酒田」と言われたように、北前船の人や物資の運搬などにより栄えた港町であり、その経済力や祭り好きの精神が開催を後押ししてきたのだろう。

本祭の5月20日は以下のような内容で行われた。
・10時~ 一般山車行列
・正午~ 式台の儀、亀ケ崎獅子舞の演舞
・13時~ 渡御行列
・15時~ 酒田時代まつり

賑わいは健在!今年の酒田まつりを現地からレポート

10時からは山車行列が開始!

まずは北前船を模した「日吉丸」の登場だ。太鼓を叩く人、笛を吹く人、山車を曳く人…。1つの山車だけでも、本当に様々な人が関わっている。

こちらは猿田彦の山鉾だ。人間の背丈よりもはるかに大きい猿田彦が迫ってくるような感じが恐ろしい。

こちらは獅子丸。赤と青の獅子が睨みつけるように、巡行していく。酒田まつりといえば大獅子が練り歩くイメージが先行していたが、このように獅子丸という山車もあるらしい。

こちらは大獅子!人間よりも大きい獅子頭だ。戦後の酒田大火の影響もあり、一時酒田まつりは大きな打撃を受けたが、その復興の象徴として作られた。
酒田まつりの山車行列では、赤2頭、黒2頭の合計4頭の大獅子が見られ、その迫力には驚いた。

大うちわで仰がれながら口をパクパクさせて酒田の中心市街地を巡行する様子は、どこか親しみやすさも感じられ、子供達も喜んで見物していた。

日枝神社から中町に通じるメインストリートには、屋台がたくさん並び、大勢の人で賑わっていた。
焼き鳥、たこ焼き、焼きそば、カステラ、チョコバナナなどお祭りでは定番の食べ物が並んでおり、地元の飲食店の出店も。神社の近くにはお化け屋敷が設けられており、子供達が行列をなしている姿も見られた。

その後、お昼からはステージで式台の儀が行われた。
お祭り関係者の方々からの挨拶のほか、亀ヶ崎獅子舞の演舞も実施。首をくるっと丸める姿やバチーンと歯打ちをする姿などが印象的だった。

13時ごろ、ステージ付近から神輿の渡御行列がスタート!
ゆっくりとその列を先導するのは、オレンジ色の衣装を着て高下駄を履いた猿田彦。途中、行列の中には獅子頭を持つ人なども見受けられる。神輿は後方にいて、ゆさゆさと揺らされながら少しずつ前進していった。

「時代まつり」には酒田ゆかりの歴史的人物が集結

今回初開催となったのが、酒田時代まつりだ。酒田まつりの一部として、5月20日の15時ごろから開催。酒井忠勝公や河村瑞賢(かわむらずいけん)、松尾芭蕉といった酒田ゆかりの人物の行進、山車や大獅子のパフォーマンスなどが2時間に渡って行われた。

今年初めての開催にこぎつけたのは、2022年が江戸時代に酒井家が庄内に入部して400年という記念すべき年にあたるかたらだ。コロナ禍でもこの記念すべき年をなんとか盛大に祝いたいという強い想いが伝わってくる。

ステージには酒井忠勝公らに扮した方々が登場!酒井公さながらの挨拶に、会場が大いに沸く。演技とはいえ「大義であった!」など時代劇さながらの言葉遣いに、時代がタイムスリップしたような感覚を覚えた。

荘内藩甲冑研究会は、大坂夏の陣における本多忠勝の活躍を劇の形で披露。時代劇を見るような感覚で見物した。
海外の方が横でビデオを撮りながら興味深く見つめている様子が印象的だった。

その後は再び北前船をかたどった山車「日吉丸」の巡行が行われた。今年は河村瑞賢が西廻り航路を開いて350年という記念すべき年でもある。それもあって、河村瑞賢の出身地・三重県南伊勢町の教育長さんが日吉丸に乗って登場!

ステージ上で手を振っているのは…なんと、松尾芭蕉と弟子の曾良に扮したご両人である。

松尾芭蕉と弟子の曾良は、酒田市に所縁のある人物だ。2022年は松尾芭蕉が酒田に入って333年という記念すべき年とのこと。

ステージ上では、「暑き日を 海に入れたり 最上川」と句の披露もされていた。これは「夕日が最上川によって海に流し込まれるように沈もうとしており、川が涼しさを招いてくれる」という意味のようで、松尾芭蕉が酒田で初めて詠んだ句とのこと。

それにしても、松尾芭蕉に道端で出会う感覚がどこか新鮮だ。

ステージでの演目も後半に入り、黒森歌舞伎が披露された。黒森歌舞伎は山形県指定民俗文化財に指定され、出し物の多さが特徴の農民歌舞伎。江戸時代中期から現在まで、280年以上受け継がれているそうだ。

きらびやかな衣装や、髪型などに着目すると個性が見られて面白かった。もさもさの髪の人もいれば、お侍さんのように頭のテッペンの髪の毛を剃った月代(さかやき)スタイルの人もいる。

時代を感じる醍醐味とともに始まるまつりの新たな歴史

このように2022年の酒田まつりには、例年の大獅子巡行や渡御行列などに加え、時代まつりが新しく加わった。
酒井家が庄内に入部して400年、河村瑞賢が西廻り航路を開いて350年、松尾芭蕉が酒田に入って333年という様々な記念の年が重なっていたのだ。
これを機会に地域内外の人々が酒田の町の成り立ちについて知り、大きな関心を持つきっかけにもなったことだろう。

酒田市は人口10万人ほどの町だ。祭りの運営者、屋台のお店の数などからして、人口比で考えたときにこれほど賑わいのある祭りもなかなか無いだろう。港を中心として栄えた歴史的な背景を元に、今でもその賑わいは健在であると感じられたお祭りだった。

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