世田谷線上町駅近くのボロ市通りで、2022年12月15日、16日、世田谷ボロ市が3年ぶりに開催されました。世田谷のボロ市は、安土桃山時代に関東地方を支配していた小田原城主北条氏政が開いた楽市に端を発する伝統ある行事です。この行事の歴史や由来、2022年開催の様子や代官行列について、また代官餅や沿線グルメ実食レポートをお届けします。
目次
世田谷のボロ市ってどんな行事?どんな歴史があるの?
世田谷のボロ市は、安土桃山時代に関東地方を支配していた小田原城主北条氏政が、世田谷新宿に楽市を開いたことに端を発します。北条氏は豊臣秀吉に滅ぼされ、楽市は徳川時代には近隣の農村の需要を見越して、農具や日用品、雑貨の歳の市に変わりました。
やがて明治20年代には古着やボロ布の扱いが多くなり、明治の終わりごろにはボロ市と呼ばれるようになり、今に至ります。400年以上の長い歴史があるのです。
3年ぶりの開催で多くの人で賑わう!さまざまな種類の露店も健在
2022年は3年ぶりの開催とのこと、三軒茶屋から世田谷線に乗車。世田谷線は臨時ダイヤで本数を増やして運行、と案内があり、並々ならぬ気合を感じます。世田谷線は一般道路を走る軌道線、ミニサイズの車両で住宅街を進むテンポが心地よく感じます。上町で降りるつもりでいたのですが、その隣の世田谷駅で「ボロ市会場」という看板を発見し、降りる人並みにつられて慌てて降りてしまいました。
まず感じたのが人の多さ!
駅を降りると、世田谷ボロ市を目当てに多くの人が同じ方向に歩いていきます。
その列に連なって歩いていくと、露店があらわれはじめました。
近隣の小学校生たちも「ボロ市検定やっています」というプラカードを手に声を上げています。子供たちの生きた教育にもなっている様子。
歩き進めると右も左も様々な露店。
ボロの布を組み合わせたおしゃれなスカートも。ボロ市らしい一品です。
昔のお菓子の菓子型。
たくさんのぺこちゃん。
古い着物や帯。
なぜか銀杏のつかみ取り。
昭和39年の東京オリンピックのジャケット、どこから仕入れたのでしょう?
戦前の教科書。江戸時代もあるぞ!
ビーズ細工のクレヨンしんちゃんと、頭も青々としたまつ毛の長い福助、そのわきにはダリのポストカードというカオスな組み合わせ。
またしてもペコちゃん人気!
アクセサリーもレトロでかわいい。
自作の陶芸や手編みのものも。
なんと神棚まで!
オカリナなど、ここでしか買えないのではと思うマニアックなものも。
路地に入ると植木類も充実しています。
たくさんの人でにぎわっていますが、コロナ対策のためマスク着用のご案内もありました。道行く人々の会話で三年ぶりの開催を待ちわびていた様子も聞こえてきて、感慨深く思います。
そして、外国人もとても多く見かけました。地元の人がこの行事を大切にして、ご縁のある外国人の友人を連れてきている、という広がりも感じます。ショッピングセンターや百貨店の規格品にはない種類の幅の広さやオリジナリティー、ここにしかない一点ものとの出会いのワクワク感に満ちています。
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2022年は5年に一度の代官行列も
2022年の開催では、5年に一度の代官行列が練り歩きます。
寛政7年以前から代官は、火の元の警備と秩序の維持を目的として、世田谷村名主、年寄などを従えて市町の間に市場内を見回っていました。それを再現したものが代官行列で、地元の人が当時を模した装束を身に着けて再現しています。
代官行列は、2022年12月15日と2023年1月15日の午前11時ごろ、代官屋敷前を出発するとのこと!来月行かれる方は、日程を調整して、ぜひ代官行列をご覧になってみてはいかがでしょうか!
名物の代官餅!そのお味は?
ボロ市と言えば代官餅が有名です。配布場所を示す横断幕を見つけました。
一時間以上並ぶことが多いと聞いて、覚悟していたのですが、待ち時間30分ほどとのこと、大変穴場の時間だったようでラッキーです。
例年はあんこ、きなこ、からみの三種だそうですが今年はあんこのみ。北海道十勝のあんこをこのボロ市のために焚いていると案内をしていました。
30分ほど行列に並んで代官餅をゲット!
ボロ市名物代官餅、と書かれたパックを開けるとたっぷりとあんこがかかっています。
あんこの中につきたてのおもちのつやつやした白いたたずまいが見え隠れ。とにかくあんこの量がすごい!
お味はというと、おもちがつるつるもちもちでみずみずしく、北海道のあんこがちょっとゆるめの仕上がりで、おもちに優しくたっぷりと絡んで、素朴な甘みが非常においしい。手作りの温かみのある味わいで、大変幸福感があります。
庶民的ですが、地元の人々の愛情が感じられる丁寧な味で、800円のお値段も納得のおいしさ!もう一つ、もう一つと手が伸びてしまうのでした。
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世田谷線沿線はグルメも豊富!「上町の肉まん」と「松陰神社のパン」
せっかく世田谷線に乗ったので、沿線グルメも楽しみましょう。上町駅から歩いて2分ほど、世田谷通り沿いにある「鹿港」へ。こちらのお店は肉まんの名店です。
行ってみると5、6人並んでいます。中身の入っていない饅頭や黒糖饅頭も人気のようですが、ボロ市期間中は肉まんのみの発売とのこと。熱いものと、加熱して食べる冷たいものが販売されています。
せっかくなので熱々の肉まんをパクリ。思ったよりもはるかに熱々。熱い!と感じるレベルです。皮の優しい甘みとジューシーな肉のうまみが口いっぱいに広がります。薄めの皮に包まれた肉はみっちり入っていますが、黒コショウがきいていて、さっぱりしていて、みずみずしい。大変おいしくいただきました。
ぜひボロ市に来た時には肉まんもご一緒に。
そして今度は、世田谷線に乗って二駅移動して松陰神社前、ブーランジェリースドーというパン屋さんへ。
こちらも5、6人並んでいますが、いつもはもっと並んでいるので比較的ラッキーな感じです。
こちらでは、トマトとチリソースのフォッカチャと、帽子型がかわいいピーナッツクリームパンを購入。家に帰っていただきます。
まずは、フォッカチャをいただきます。ソーセージ自体がとてもクオリティの高い味わい、そこにピリ辛チリソースとトマト、チーズ、シャキシャキした玉ねぎが良く合います。ほんのりとハーブの香りも良いアクセントとなり、大ぶりなのにどんどん食べ進んでしまうおいしさ。
次はピーナッツクリームパン。みっちりとつまったなめらかなピーナッツクリームがカリカリとした少し硬めの、クッキーを思わせる生地によく合うおいしさ。しっかりした塩味の甘くしょっぱいクリームが、ピーナッツ感にあふれていました。
こちらのお店では、びっくりするほど大きなフルーツが乗ったデニッシュもとてもおいしいのですが、デニッシュは午前11時ごろに出たものはすでに売り切れ。スタッフの方に聞いてみると、午後焼く分はまだ焼きあがっていないとのことでした。
気になった方は11時ごろ行かれてみると出会えるかもしれません。
2023年1月の開催は?
世田谷のボロ市は400年以上の歴史があり、東京都の無形民俗文化財にも指定されている伝統行事です。今回の開催に触れ、この行事が大変多くの方に愛されていることを実感しました。また、人々が大切な人と少しでも笑顔で暮らせるようにと、ささやかな祈りを込めて継続する生活の確かさが、400年の時を経てもかわらないことが、この行事を生きたものにしているのだなと思いました。もちろんそこには地元の皆様のご尽力も強くあると思われます。
生活を楽しみ、さらに次の世代につなげていく工夫が感じられるボロ市、丁寧でおいしい食の楽しみにも満ちた世田谷線沿線の魅力を感じながら、新年1月にも開催される世田谷ボロ市を楽しんでみてください。
【開催情報】
開催日時 2022年12月15日(木)・16日(金)、2023年1月15日(日)・16日(月) 4日間とも午前9時~午後6時
開催場所 東京都世田谷区世田谷1丁目「ボロ市通り」とその周辺
アクセス 「世田谷線」世田谷駅・上町駅、徒歩3分
詳しくは世田谷区公式サイトをご確認ください。