2023年9月9日・10日の2日間、愛知県瀬戸市で「せともの祭」が開催されます!
陶磁器の一大産地である瀬戸市で行われる瀬戸物のお祭り。この記事は、2022年の現地レポートとともに、2023年の開催情報をお届けします。
愛知・瀬戸のお祭り
愛知県北部、岐阜県との県境に位置する瀬戸市。陶磁器の一種、瀬戸焼の生産地としてよく知られている街です。その瀬戸焼を江戸時代の衰退時期に再生し、磁祖として親しまれる郷土の偉人、加藤民吉。彼の遺徳をたたえる産業祭として1932年(昭和7年)にはじまったお祭りが、今回ご紹介する「せともの祭」です。毎年9月第二土日に行われているお祭りですが、感染症対策で近年は実施見送りとなっていたため、2022年は9月10、11日の二日間で3年ぶりの開催となりました!
瀬戸焼の歴史は古く、同じ愛知県内の常滑焼と同様に日本六古窯の一つにも数えられている焼物です。13世紀中頃の鎌倉時代には、宋の技術を伝え瀬戸窯を開いたと言われる加藤景正(”陶祖”として地元で親しまれる)が現れ、瀬戸の焼物はさらなる発展を遂げてきました。そんな瀬戸焼も江戸時代に入ると、新興の有田焼などに市場を奪われ衰退傾向に。ここで立ち上がったのが、加藤民吉。有田焼の生産地をはじめ焼物が盛んであった九州西部(熊本県・長崎県)へ修行に送り出されることになり、そこで学んだ技術を瀬戸へ持ち帰ることに成功。瀬戸焼は今に伝わる飛躍的な発展を迎え、”磁祖”として加藤民吉は今なお地元の方々に親しまれています。
今年で第91回を迎えたせともの祭。さらに今年は加藤民吉の生誕250年(1772年生まれ)と言うこともあり、一層盛り上がっています!昨日の初日に会場へと行ってきましたので、ここからはお祭りの様子をお伝えしていきます!
豊栄舞の奉納でスタート
磁祖、加藤民吉が丸窯神として祀られている窯神神社。こちらで10時15分からはじまる豊栄舞、祭典を皮切りに、せともの祭がスタートしていきます!
参道の階段を登った先にある社殿。こちらへ巫女が入場してきました!
豊栄舞(とよさかまい)が奉納されていきます。榊を片手に舞い、美しいですね!
3年ぶりに、愛知県瀬戸市でせともの祭がスタートしました!
そのはじまりを飾る豊栄舞が、瀬戸焼再生の磁祖と言われる加藤民吉が祀られる窯神神社で奉納されています。#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/fKHueOKvcl— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) September 10, 2022
豊栄舞の後は、祭典が続きます。お祓いや祝詞奏上などが厳かに行われていきました。
時を同じくして、窯神神社の麓にある窯神橋のステージでは、オープニングセレモニーが開催。地元の2つのグループによる合同での太鼓の演奏が披露されました!またこちらのステージでは随時様々な催しが行われ、見どころの一つとなっています。
全国最大規模の陶器市
このワードを知らない人はいないのではないかと言うほどポピュラーな存在となっている瀬戸物。現在では、焼物(陶磁器)全般を指す言葉として定着していますね。そんな存在である瀬戸物の街のお祭りは、全国最大規模の陶器市が開かれることでも人気があります。お祭り当日には、中心部の瀬戸川沿いをはじめ、商店街など市内各地に瀬戸物を売るお店が立ち並び多くの人手で賑わうのも魅力です!
瀬戸焼の特徴には、釉薬を使い美しい色合いを出すことがありますが、青く染付られ様々な絵柄が描かれたものもよく知られています!
瀬戸染付焼との称され方もあり、こちらがまとまって販売されているコーナーもありました!
こんなモダンな柄のお皿も。とてもおしゃれですね!
青いカップやお皿も素敵です!
青以外にも、白系や緑系などカラフルな瀬戸物が並びます。
小さなお皿がお買い得に手に入る場所も!
商店街の空きスペースで、テントで販売するお店もありました!
たくさんのお皿が並び、どれを購入しようか迷ってしまいそうですね。
市内各所にあるお店を周り、ぜひお気に入りの瀬戸物を見つけてみてください!
地元の小中学生による、販売スペースも提供されていました。
また瀬戸物は買うだけでなく、体験もできるんです。お皿や招き猫に染付の体験ができる場所もあり、これは腕がなるかもしれません!
そして、像を公開制作する様子が見られるブースも。この裏では、子どもが粘土で像を作る体験ができるコーナーも用意されていて、親子でも楽しめ嬉しいですね!
グルメ、遊べる屋台も並ぶ
たくさんのお皿を見た後は、そのお皿に並べるグルメも欲しくなりますよね。せともの祭では、たくさんのお祭りグルメを売る屋台が至る所に出店しているのも魅力的です!
市内中心部にある深川神社参道には、ずらっと屋台が並んでいました!
お祭りの定番グルメ、たこ焼きも顔を覗かせます。焼きそばやお好み焼きなどのおなじみの粉物も良い香りを発していましたよ!
タレの塗られたいか焼き、そして種類豊富な焼き鳥も並びます。
愛知のお祭りらしく、名物のたませんも登場!
スイーツも豊富で、チョコバナナやかき氷、そしてこちらのいちご飴などが提供されていました。
立ち並ぶ屋台はグルメだけではありません!遊べる屋台もたくさん出ています。
射的やスマートボールなど、懐かしの遊び場も。
スーパーボールすくいでは、お気に入りのボールを狙いたいですよね。
金魚すくいもお祭りの風物詩と言えるのではないでしょうか。
そして珍しいのがこちら。どじょうすくいまでありました!
ゆるキャラにご当地ヒーローも登場
尾張瀬戸駅近くの窯神橋、深川神社前の宮前公園、瀬戸蔵つばきホールではステージイベントも開催。瀬戸市のゆるキャラ、せとちゃんが会場を盛り上げていました!瀬戸焼のお茶碗に入っているのがチャームポイントです。
そしてせとちゃんに続き、加藤民吉が修行に行っていた熊本からも3体のゆるキャラが応援に駆けつけます。長洲市のふれきんちゃん(中央)、御船町のふねまる(左)です。
そして熊本県を代表して、くまモンも登場!会場の子どもたちの歓声が上がっていました。時代、地域を超え、お祭りでのこのような友好連携は素敵ですね!
ゆるキャラに負けじと、ご当地ヒーロー「陶神オリバー」も盛り上げる。陶魂を胸に秘め、瀬戸市の平和を守っています!
瀬戸物の陶器市やグルメ、体験だけに留まらず、ステージイベントまで満載なせともの祭。見どころがたくさんあるので、スケジュールと睨めっこをしながらお祭りを楽しんでください!
瀬戸市情報、アクセス
焼物の街の瀬戸は、煙突のある風景が楽しめます。市内各所で煙突が見られますので、お気に入りのスポットを探す楽しみ方もあります!
こちらは国の有形文化財に指定されている、旧山繁商店。瀬戸屈指の陶磁器卸問屋の建物を見ることができます。
続いては、屋台が並んでいた参道の先にある深川神社。なんと屋根が磁器でできているんです!
表に掲げられた、鬼瓦も立派で見どころですよ!
そのお隣、法雲寺には陶製の梵鐘の展示も。第二次世界大戦中に金属が回収されてしまった際に作られたもので、全国でも珍しいものになり必見です!
瀬戸染付工芸館では、多くの作品と合わせて登り窯の展示を見ることもできます。
瀬戸市は、アーケード商店街が何本ものびているのも見どころの一つ!お祭りに合わせて、飲食の販売やマルシェが開かれている通りもありました。
見どころ満載な瀬戸市。せともの祭の時はもちろん、それ以外の時にもぜひ遊びに来てみてください!
■瀬戸市へのアクセス
・名古屋駅よりJR中央本線で大曽根駅へ。名鉄瀬戸線へ乗り換え尾張瀬戸駅まで合計50分。
・栄町駅より名鉄瀬戸線急行で尾張瀬戸駅まで31分。
2023年の開催情報!
日時:
2023年9月9日(土)午前9時〜午後6時
9月10日(日)午前9時〜午後5時半
場所:
名鉄瀬戸線「尾張瀬戸駅」周辺および瀬戸市内一円
主なイベント:
・せともの大廉売市
・千客万来すえひろ招き猫マルシェ
・せともん”ど”セレクションマーケット
・瀬戸焼そば広場
・尾張東地方卸売市場 青空市
・祭りだ屋台だ!!
<体験コーナー>
・せとエンジョイキッズランド
・招き猫ミュージアムで染付体験
・税金クイズおよびパネル展示
・ラジオサンキューFM84.5 センターステージ
・陶神オリバーヒーローショー
・せともの祭 生中継
<展示>
・磁祖加藤民吉没後200年プレ事業 瀬戸市美術館特別展
(瀬戸市美術館)
・瀬戸信用金庫アートギャラリー企画展 臼井薫写真展―なつかしい瀬戸の風景―
(瀬戸信用金庫アートギャラリー)
・円の会 秋の企画展
(窯垣の小径ギャラリー)
<その他>
・第16回SETO品野クラフトフェア及び窯元廉売市
(品野陶磁器センター)
・聖霊中学校・高等学校和太鼓部演奏
・やってみよう!!電動ロクロ体験
・豊栄舞(とよさかまい)奉納
・窯神神社祭典