愛知・蟹江の夏祭り
愛知県の尾張地方に位置し、名古屋市の西隣にある蟹江町。伊勢湾に面するこの町は、戦国時代には蟹江港が整備され海上交易の商業拠点地として発展してきました。この蟹江町で毎年8月第一土曜日と翌日曜日に開催されているお祭りがあります。「須成祭(すなりまつり)」です!
須成祭は冨吉建速(とみよしたけはや)神社・八剱(はっけん)社両社の祭礼で、別名「100日祭り」とも言われています。7月初旬から10月下旬にかけて約100日に渡り行われるためこう称され、その中でも重要な行事が実施されるのが、8月初旬の宵祭と朝祭の二日間です。
また、蟹江川を舞台にお祭りが行われる川祭りでもあり、その歴史は400年に渡ると言われています。そして2016年にはその歴史や伝統から、ユネスコの無形文化遺産にも登録されました。それでは8月5日、6日に開催された今年の須成祭の様子を見ていきましょう!
宵祭を彩る巻藁船
蟹江町内を伊勢湾に向かい南北に流れる蟹江川。8月5日、宵祭がはじめられる19時半を前に飾橋の袂へやって来ると、巻藁船(まきわらぶね)の準備が進められていました。
日も暮れかかったこの時間ですが、船へ提灯の取り付けが行われています。船の真ん中にそびえる真柱には月の数と同じ12個が、その周りには一年の日数と同じ365個、正面には月の日数を表す30個の提灯が付けられます。次々に提灯が取り付けられ、姿が変わっていく巻藁船を見るのもポイントですよ。
19時半になり、宵祭がはじまる時間となりました!祭りの最初を飾るのは、須成公民館内で実施される「宿囃子」です。船に乗り込む稚児が集まり、お囃子を奏でます。
須成祭の宵祭がいよいよはじまると言う雰囲気になる、宿囃子の様子です。稚児により奏でられるお囃子は惹きつけられるものがありますね。この後稚児をはじめとした一行は建物を出て、巻藁船へと乗り込みました!なお部屋の奥に置かれた高砂人形は、明日の朝祭で船に乗ります。#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/MsugYZ0I0o
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) August 5, 2023
宿囃子が終了すると、一行は巻藁船を目指し進みます。古式装束での行列も見どころです。
さあ、行列が出発!提灯の明かりが独特の雰囲気を醸し出しています。
稚児が肩に乗せられてやってきました。
小さい子の頭上には梅と桜の花が付けられています。
この時間になると、巻藁船への提灯の取り付けもだいぶ進んでいます。それでは乗船です。
関係者の乗船が済んだ巻藁船。提灯も見事に付けられました。
時刻は20時15分。船が出ますよ!飾橋を出発した船は蟹江川を北上し、神社前の天王橋へと進んでいきます。
須成祭宵祭での、巻藁船の出船シーンです!提灯が蟹江川を照らし、幻想的な光景が広がります!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/mKF7VGD0ZP
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天王橋へ向かう途中には御葭橋(みよしばし)という一本の障壁が。
どうやって船が通るかというと、なんとこの橋は巻き上げ式なんです!御葭橋が巻き上がるのは須成祭の時だけとのことですので、貴重な光景を見ることができますよ。
橋が上がりきると、周りからは歓声が上がっていました。写真も撮りたくなりますよね。
御葭橋の横では、お祭りの開催を祝して仕掛け花火の披露も。「祝 須成祭 蟹江町」!
御葭橋が巻き上がり、仕掛け花火が点火されました!「祝 須成祭 蟹江町」!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/1xuYEbdfWl
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仕掛け花火は他の2ヶ所でも巻藁船の通過に合わせて行われていました。これは盛り上がりますね。
天王橋の手前でも仕掛け花火。巻藁船の到着を祝います!#須成祭 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/VSA9hgLkGI
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天王橋に近づいてくると、人出も多くなってきます。
巻藁船を正面から見てみましょう。中央部の赤い提灯が月の日数を表すもので、赤い色が特徴的。その見た目から、ほおずき提灯と呼ばれています。
天王橋へと巻藁船が到着しました。蟹江川の両岸や橋の上からは、たくさんの視線が船へと降り注いでいます!
天王橋へ巻藁船が到着したのは21時10分頃。まもなくして宵祭のフィナーレを飾る花火が、天王橋の北側で打ち上がりました!
巻藁船越しに見る、赤と緑を貴重にした花火も良いですね!#須成祭 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/zE6xqRVVGH
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巻藁船と花火のコラボレーションが美しいです。クライマックスは、これでもかとたくさんの花火が見られ大歓声でした!
蟹江町の須成祭、本日は宵祭が開催されています!提灯を揺らす巻藁船が天王橋へ到着し、宵祭のフィナーレを飾る花火が打ち上がりました!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/S7LELbsJzX
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朝祭を飾る車楽船
日が変わり、8月6日は朝祭の日です。再び朝9時半頃に飾橋へやって来ると、稚児の行列が船を目指し進んでいました。
船へと乗船です。
昨日とは打って変わり、明るい中での船の運行となります。朝祭はお互いの顔が良く見えながらお祭りができるのも良いですね。
全ての方の乗船が終わりました。ここで船の全景を見てみると、昨晩の巻藁船から様変わりをしているんです!
朝祭は高砂人形を配した、車楽船(だんじりぶね)が運行していきます。船の上に山車が乗ったかのような姿で目を惹きつけられますね。中段の幕には「冨吉天王」と、冨吉建速神社の別名の一つが書かれているのも特徴です。
出船となりました!蟹江川の両岸には、朝から見物の方々が駆けつけています。
須成祭の朝祭がはじまりました!車楽船へ稚児が乗り込み、お囃子を奏でながらの出船です!爽やかな朝にゆったりとした時が流れます。#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/2t1wqJYCYr
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) August 6, 2023
上部の二体が高砂人形です。男女二体が並んでいるのでご注目。
真っ赤な御葭橋まで本日も進んできましたよ。
朝祭でも巻き上げられる御葭橋。この姿が見られるのは須成祭の時だけなので、一年後までの見納めです!
梅と桜の枝花が屋根から掲げられ、車楽船は横幅があります。ぎりぎりで橋を通り過ぎると、「おおっ!」「良かった!」という声が飛んでいました。
穏やかな朝に、ゆったりと進む朝祭。
この光景はぜひ写真と記憶に納めておきたいものですね。
巻き上げた御葭橋も下ろされ、通行のできる橋へと戻っていきました。
さあ、天王橋目前です。二日に渡る船での行事も、まもなく終了となります。
最後まで船の上では太鼓を叩いて盛り上げますよ!
天王橋へ到着となりました!橋の上や川の両岸からは、拍手が起こっていました。
車楽船から、皆様下船です。
稚児は肩に担がれて、神社を目指し歩みを進めます。
神社の社殿の中では、この後「天王囃子」が行われました。船の上で行っていたのと同じようにお囃子を奏で、朝祭の行事を締めくくっていました。
また天王囃子が終わったタイミングで、天王橋でも一つの行事が。車楽船に飾られていた花を周りの方々に渡す「上げ花の儀」で、この花を持ち帰り家に飾ると、雷除けや夏病除けになるんだそうです。例年は船から花を投げて渡すそうですが、今年は手渡しとなっていました。またその投げる様子から、「投げ花」とも呼ぶこともあるんだとか。
露店もたくさん
冨吉建速神社・八剱社両社とお隣の龍照院の境内には、宵祭に合わせてたくさんの露店が立ち並ぶんですよ!
焼きそばやお好み焼きといったお祭りグルメの定番から、暑い夏なのでかき氷も人気のようでした。
地元の子どもたちが多く参加するお祭りでもあるので、遊べる露店が充実しているのもポイントです。金魚すくいや射的を楽しむ子どもが大勢いました。
アクセス
■蟹江駅へのアクセス
・名古屋駅からJR関西本線で12分
・桑名駅からJR関西本線で18分
■冨吉建速神社・八剱社へのアクセス
・蟹江駅から徒歩で15分
毎年8月第一土曜日と翌日曜日に開催されている須成祭。ぜひ宵祭と朝祭、2つの魅力を体感しに来てみてください!