※2021年は新型コロナウイルス蔓延の影響で中止・または開催しています。(詳しくは各公式HPをご確認ください)2021年には無事に開催されることを願いつつ、コロナウイルスの終息のために感染予防を心がけましょう。(2021年2月9日 編集部)
ひな祭りで女の子の節句を祝うのが、日本伝統の習わしです。皆さんは、ひな壇に飾らない小さな人形「つるし雛(つるしびな)」をご存知ですか?つるし雛とは、吊るすタイプの雛飾りのことをいいます。
本記事では、日本三大つるし飾りの「伊豆のつるし飾り」「柳川のさげもん」「酒田の傘福」を中心に、全国各地でつるし雛が楽しめるお祭り・イベントを一挙ご紹介します!
(この記事は2020年に公開されたものを再編集しています。2021年2月9日 編集部更新)
目次
つるし雛って何?タイプもさまざま
両親や親戚が、生まれてきた子どもの幸せを願い作った人形を吊るす飾りのことを「つるし雛」と呼びます。近年では、全国各地のひな祭りと同じ意味合いを持つ祭事として、つるし雛祭りが行われ、広く認知されるようになりました。
つるし雛の歴史は江戸時代まで遡ります。手持ちの布で一つひとつ丁寧に縫い上げられた動物や食べ物をモチーフにした細工物には、それぞれ意味が込められています。例えば、「鶴亀=長寿」「さる=病・災いが去る」「団子=食べ物に困らないように」などといった縁起にまつわるものがあります。
つるし雛は、天井や小さな専用の台に吊るすタイプが一般的ですが、机やタンスなどに飾るものもあります。立派なひな壇に凛々しいひな人形、豪華な飾りで節句を祝う「ひな飾り」よりもコンパクトなつるし雛ですが、祭事としての位置づけはひな飾りと変わりありません。つるし雛の愛くるしい姿によって、日本の伝統的な文化をより身近に感じることができるでしょう。
つるし飾りの発祥の地。稲取の「雛のつるし飾りまつり」
静岡県賀茂郡東伊豆町稲取は、小さな海辺町です。日本三大つるし飾りの1つに数えられる稲取の「雛のつるし飾り」は、毎年1月~3月末頃に稲取温泉で開催されます。
メイン会場の入口には、屋根の梁から下げられた約6,000個の人形がついたド派手な「ジャンボつるし飾り」がお出迎えします。さらに奥に進むと、稲取のブランド魚「稲取キンメ」のつるし飾りが連なっており、ご当地ならではのユニークなつるし飾りも高い人気を誇っています。
お雛様が水上パレード!?柳川の「さげもんめぐり」
福岡県柳川市は水郷として有名で、ここでのつるし雛は日本三大つるし飾りの1つに数えられます。毎年1月頃を過ぎると、つるし雛に鮮やかな糸で巻き上げた柳川まりを組み合わせた「さげもん」が、市内各所に飾られています。
さげもんめぐりの開催期間中には、「水上パレード」と称し、お内裏(おだいり)様とおひな様に扮した子どもたちが柳川名物のどんこ舟に乗って川下りします。可愛い子どもの艶やかな晴れ姿と、川面に映るさげもん飾りが水郷・柳川を華やかに彩ります。
町全体が雛づくし!酒田の「傘福」
山形県酒田の傘福は、「傘には魂が宿る」という由縁から傘につるし飾りが吊るされます。「傘福」は、稲取・柳川と共に日本三大つるし飾りとして有名です。可憐でクラゲのような見た目の傘福が、酒田町の旧家や国の登録有形文化財に指定されている「旧料亭・山王くらぶ」で展示されています。山王くらぶでは、つるし飾りの製作体験が可能です(要予約)。
歴史新しい地域の雛祭り。平戸の「つるし飾り雛祭り」
今日も暖かいいい日でした。
写真は平戸果樹の里(戸塚区)の”つるし飾り雛祭り”で撮った河津桜とつるし飾り
とても綺麗でした。 pic.twitter.com/fdl8W0HXrd— あき (@yu_mojarra) March 4, 2018
勾配のある果樹園に囲まれた神奈川県横浜市戸塚区平戸の「つるし飾り雛祭り」は、2020年度で開催10回目を迎える比較的新しいひな祭りです。「樹脂粘土 野の花・野草アート展」が同会場内で開催されていて、植物の傍らにちょこんと置かれたつるし飾りの雛たちが、なんともいえない愛くるしい表情を浮かべています。
つるし飾り体験ができる!甲州の「桃源郷雛祭り」
旧暦(4月3日)に桃の節句をお祝いする地域が多く、桃畑が広がる山梨県甲州市塩山桃源郷(えんざんとうげんきょう)では、「桃源郷(とうげんきょう)雛祭り」が毎年開催されます。塩山地域の旧家展示場では、和紙を使用した甲州オリジナルのつるし雛が展示されます。イトザクラが見頃を迎えピンクに染まった桃源郷は圧巻の光景です。
そのほか雛祭りに関連するお祭りいろいろ
【福岡県八女】成長と幸せを祈る「雛の里・八女ぼんぼりまつり」
【伊豆稲取】雛のつるし飾り発祥の地である「雛フェス2020」
まとめ
日本三大つるし飾りを中心に、見て楽しく、体験することによって歴史を感じられるつるし飾りのお祭りをご紹介しました。近年、流行を取り入れたつるし雛が作られるようになりましたが、子どもの成長を願うという本来の意味は失われていません。この機会に、江戸時代より伝わる人形伝統文化、「つるし雛」が飾られている全国各会場にぜひ足を運んでみませんか?