富山・射水の祭り
富山市の西に位置し、北側で富山湾に面する射水市。こちらの加茂地区にある下村加茂神社で、毎年5月4日に開催されているお祭りがあります。「やんさんま祭り」です!
やんさんまとはなんぞやと思った方もいると思いますが、実は”流鏑馬(やぶさめ)”がなまって付いたとされるお祭り名のこと。名前の通り馬が大活躍し、牛まで登場するというお祭りなんです!
またその牛が活躍する「牛乗式」は、全国でもやんさんま祭りでしか見られない奇祭と言われ必見。ここからは、諸行事が4年ぶり開催となった2023年のお祭りの様子をご紹介していきます!
下村加茂神社の例大祭
お祭りの舞台となるのは下村加茂神社。1066年に京都の下鴨神社(賀茂御祖神社)のご神領(荘園)、倉垣荘の総社として開かれたと伝わる神社です。こちらの春季例大祭「加茂祭」として、やんさんま祭りは開催されています!
流鏑馬が行われるやんさんま祭りですが、社殿へと続く参道はまるで馬場のような趣を見せます。
社殿まで行って振り返ると、こちらの的が準備されていました。三番まで用意されており、的が射られるのが楽しみですね。
やんさんま祭りの一日の流れはこんな感じ。村落を三頭の馬が練り歩く”走馬(そうめ)”に始まり、夕方の流鏑馬式までたくさんの行事が執り行われていきます。お祭りの始まる14時に向けて、境内にはたくさんの方が集まってきていました。
神幸式が行われる15時を前に、境内へは天狗面の猿田彦に先導されて花笠を被った子どもたちが入場してきました。
子どもたちは肩車され進んできます。カラフルな装いでかわいらしいですね。
続いて来ました!馬もご入場。
社殿の前まで来て、騎手は草履を履かされています。
神事がはじまり、社殿から出てきたのがこちら。神様の依代(よりしろ)です。160枚の御幣で作られ、とても大きいのが特徴。
神様の依代は三体あり境内に設置された御旅所へと行列を組んで進みます。
行列が動き出しました!ここでは子どもたちも歩いて進みます。
神様の依代の前には獅子頭も登場。
行列がある程度練り歩き終わると、なんと依代をちぎって観客へと配ってくれました。ご利益をいただけそうですね!
奇祭「牛乗式」
神様の依代が御旅所へ到着すると、続いて行われるのが「牛乗式」。こちらは五穀豊穣を祈り実施され、やんさんま祭りの中でも最も重要な神事とされています。
神様の依代である牡丹の花を頭に乗せた若武者が、田の神”王鼻”として牛に乗りました!社殿に向け、柏手を打っていきます。
お次はマジナイ。
続いては三度弦を弾く鳴らす、鳴弦。悪魔を驚かし、邪気を祓うとされます。
さあ、牛が走り出しました!御旅所の周りをぐるぐる回っていきます。黒毛の雄牛が田の神を乗せバタバタと走っていく様子は、なかなかの迫力です。
大きな弓を田の神が持ったまま、牛が引かれていきます。
途中このように牛を押さえつける場面も。田の神が乗った牛を座らせ、この場に留めることによって、五穀豊穣がもたらされると考えられています。
五穀豊穣が祈られ、最重要神事の役割を終えた牛が帰っていきました。
牛乗式の後は、御旅所前で神楽の儀。獅子舞の奉納です。
ここで御旅所にいた神様の依代は社殿へとお還りになります。
天下泰平・五穀豊穣を祈る「九遍式」
ここからは、いよいよ馬の出番です!境内には三頭の馬が入場してきて、九遍式(きゅうへんしき)が執り行われていきます。
九遍式とは、天下泰平と五穀豊穣を祈念し、境内に設置された的を射っていくというもの。馬乗役が騎乗し、笠と矢を身に付けます。笠の中央にある紅白のものは神様の依代です。
弓も持ち、いざ出発!
社殿と御旅所の間に設置された的を狙います。まずは柏手とマジナイ。
鳴弦も行います。
そして弓を引き、矢が放たれました!
やんさんまの九遍式。柏手が柏手が打たれ、マジナイをし、邪気を祓う鳴弦を行い、矢が放たれました!なかなかの暴れ馬で見応えがあります。#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/OHqMono2YT
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) May 4, 2023
見事的中の瞬間です!
富山の下村加茂神社で毎年5月4日に開催されている、やんさんま。天下泰平、五穀豊穣を祈る九遍式が行われて、見事的が射られました!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/c3RDPRIcBs
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) May 4, 2023
疾走し、矢を放つ「流鏑馬式」
日も傾いてきた16時50分。ここからはやんさんま祭り最後の神事、そしてお祭り名の由来ともなっている流鏑馬式が行われます。三人の馬乗が三セットずつ矢を放つ、この瞬間を見ようと境内はこの日一番の盛り上がりをみせていました!
さあ、出走です!
ものすごいスピードで登場し、矢が放たれました!これはかっこ良すぎます。
三人の一セットが終わると、鳥居の向こうから全員が帰ってきます。この時も全力疾走で迫力満点です!
この疾走感、たまりません。
途中、勢い余って空馬が駆けていく珍しい場面も見られました。
気を取り直して、再び出走!
見事すぎる手綱捌き、そして弓矢の扱いですね。
凄い勢いで飛び出し、流鏑馬が行われていきます!#やんさんま #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/dQfWGhDNOZ
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) May 4, 2023
何度見ても三者三様にかっこいい姿。まさに人馬一体の活躍です!
流鏑馬を終えての帰りもものすごい勢い!#やんさんま #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/1bZLUyXYEM
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) May 4, 2023
最後の馬の帰還も終わり、無事今年のやんさんま祭りは終了となりました!毎年5月4日に開催されている「やんさんま祭り」。ぜひ馬や牛の活躍を見に来てみてください!
やんさんま祭りの時期の富山県は、麦秋を迎え、田植えへと移行していくタイミング。下村加茂神社の周辺でも、麦畑越しにまだ雪が残る立山連峰の景色を楽しめます。