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2023年「山王祭」は6月7日から!日本三大&江戸三大の天下祭は「かげまつり」も趣あるぞ!

更新日:2024/3/5 はっしー
2023年「山王祭」は6月7日から!日本三大&江戸三大の天下祭は「かげまつり」も趣あるぞ!

2023年の東京・日枝神社の山王祭が、2023年6月7日から17日まで行われます。偶数年に行われる「本祭」と奇数年の「かげまつり」があり、今年2023年はかげまつりの年にあたります。

山王祭は一つのお祭りではなく、6月15日の例祭周辺でおこなわれる20以上の祭礼の総称です。かげまつりの2023年はメインの「神幸祭」や「下町連合渡御」は行われません。

この記事では、2018年に行ったインタビュー記事を元に山王祭の概要と2023年の開催情報をお届けします。

(以下の部分は2018年の記事を再編集しています。インタビューの内容、お話を伺った方の役職・肩書などは当時のものです。2023年6月2日編集部更新)

日枝神社の「山王祭」は、江戸三大祭のひとつとも数えられ、2018年は2年に1回の「本祭」として数多くの催し物が盛大に行われます。今回オマツリジャパンでは祭礼を執り行う日枝神社(東京都 赤坂)の神主、権禰宜の伊久裕之さん、小野太誠さんにお話を伺ってきました。


【日枝神社 権禰宜 伊久裕之さん(右)と小野太誠さん(左)】

山王祭とはどんなお祭りか

山王祭 本祭の一番のみどころと言えば、総勢500人もの王朝装束をまとった行列が皇居、東京駅周辺、日本橋、銀座など23kmもの距離を巡行する「神幸祭」が有名です。

神様をおもてなしし、1年の平和をお祈りする「神事」として鎌倉時代あたりから始まった山王祭ですが、現在のような「神幸祭」が始まったのは江戸時代になってからと言われています。

伊久さん:江戸という都市を作る際に、当時はまだ田舎であった地域をいかに関西に負けない拠点にしていくかということで、疫病退散、都市の活性化をさせるために京都の祇園祭を参考にして山車を出すようになったのではと言われています。元々の神事としての側面に加えて、幕府からすると江戸の威信を示すための行事として、町の人からすると楽しみとしての側面があったと思われます。

画像提供:日枝神社

上覧祭として江戸城の中にまで入ることが許されたお祭りとして、幕府の支援を受けた御用祭として盛大になっていった山王祭。山車は45基にものぼり、各町が趣向を競い合うように行列に付け加え(付け祭)ていき、象の見世物までもが行列に加わったこともあったそうです。

伊久さん:町内の出し物の競い合いになってしまい、山車以外の出し物を控えるように倹約令が出されたほどでした。

画像提供:日枝神社

天下祭として賑わいを見せた山王祭も時代とともに再び変化していくこととなりました。

伊久さん:江戸時代は山車がメインのお祭りでしたが、山車の維持にはお金がかかり財政的に厳しくなっていました。関東大震災や東京大空襲で多くの山車が消失し、徐々に町内神輿に変わっていきました。今も山車が残っているのは関東近県に送られたものが散在するくらいです。

終戦後、一時中断していたお祭りが再開されたときは、お神輿をトラックに乗せて町内を回っていたのだそう。その後、戦後復興とともに、昭和40年ころから現在のような規模の隊列になり今まで続けられているのです。

神幸祭の見どころ

山王祭は神幸祭をはじめ各種祭典の総称ですが、2年に一度行われる神幸祭が最大の祭典。西は四谷、東は日本橋、新橋まで、皇居を中心にした広い範囲、23kmを9時間かけて巡行する神幸祭の見どころはどういうところなのでしょう。

伊久さん:とにかく広いのが特徴ですが、実は行列が巡行しているところは全て外堀通りの内側、つまり江戸城の中なんです。神幸祭を追っていくということは江戸城の中を遊んでいるということになると言えるんです。

画像提供:日枝神社

伊久さん:東京駅と皇居をつなぐ行幸通りを行列が通るところも見どころです。江戸を象徴するクラシックなお城と、明治になってからのモダンな東京駅のあいだの通りを平安朝絵巻のような行列が通る。視覚的な部分で時代を感じられて面白いと思います。また、銀座の目貫通りを行列するのも珍しい光景です。

画像提供:日枝神社

皇居、東京駅、日本橋、銀座、そして王朝装束の行列。これらのコントラスト楽しみながら東京/江戸の歴史を感じられるのが山王祭 神幸祭の魅力。神幸祭を追いかけながら、江戸~東京を巡ってみるのはいかがでしょうか。

下町連合渡御

山王祭は15日の例祭を中心にした様々な祭典の総称。神幸祭に並び山王祭を代表する祭典が、日本橋~京橋地区で行われる「下町連合渡御」です。粋でいなせで義理堅い下町の人たちが心を一つに平安を祈る、威勢のよいお神輿のお祭りです。

伊久さん:日本橋茅場町に、もともと日枝神社からいったお神輿の中継地点、御旅所がありました。御旅所に社殿が設けられ摂社となったのが日本橋日枝神社です。日枝神社の氏子町は区画があまりにも広く、上町と下町に分かれています。上町、下町ともに地域の個性があり、下町連合渡御は「城下町」が元々の意味の「下町」で開催される江戸の町民文化を感じさせるお祭りです。

YouTubeより引用

伊久さん:神幸祭が、その最大の役目として、国家安泰、皇室のご安泰を祈るため、お札を皇居に献上するということがあります。宮内庁へ伺う関係上、神幸祭は平日に行っています。氏子地域を大きく周る神幸祭と、各町内を細かく周る神輿渡御で相互に補完しています。

威勢の良い17基もの神輿が中央通りを練り歩き、日本橋や高島屋で神輿を高く上げる「差し」を行う下町連合渡御。江戸の下町の心意気を感じられる見どころの多いお祭りとなっています。

嘉祥祭

山王祭で催される祭典の中でも特徴的なものが「嘉祥祭」と呼ばれる和菓子のお祭りです。
平安時代に菓子や餅を神前に供え疫病の退散を祈願した故事があり、江戸時代でも「嘉祥の儀」として将軍が旗本や家来に与えるという儀式が行われていたそうです。その儀式がちょうど山王祭の期間にあたることから、山王祭でも「伝統の和菓子」を神前に献じる神事として開催されるようになりました。


画像提供:日枝神社

伊久さん:和菓子職人が作る菓子を目の前でみて、奉納された和菓子を頂くこともできる行事で、誰でも参加することができます。毎年開催されていてリピーターもいる人気のお祭りです。

山王祭は嘉祥祭の他にも、表千家、裏千家による献茶式や狭山新茶奉納奉告祭などお茶に関する祭典も開催されています。祭礼期間中は境内で狭山茶の振る舞いを受けることもでき、日枝神社を訪れる多く人を楽しませています。


画像提供:日枝神社

民踊大会

伊久さん:山王祭には三大参加自由行事があります。これまでお話した「嘉祥祭」「狭山茶」に加えて「民踊大会」、いわゆる盆踊りです。やぐらが大きなテントの下に組まれるので、雨が降っても楽しむことができるようになっています。

2018年は6月13日から15日までの3日間開催される民踊大会。東京音頭や炭坑節、八木節など定番の歌と踊りを楽しむことができます。この時期に開催される盆踊りは都内でも珍しく、盆踊りファンからは“はつもの”として親しまれているのだそうです。

YouTubeより引用

伊久さん:山王祭では民踊大会をはじめ、多くの行事を行っています。これらは神賑(しんしん)行事という言い方をしているのですが、数多くのお祭りをして盛り上げることで御神徳を高めようとしているのです。嘉祥祭も民踊大会も戦後にできたもの。戦後の混乱の時期に、伝統等を考え再び神社に活気を取りもどすために始まったものなんです。

時代の移り変わりとともに、祭もまた形を変えながら我々を楽しませてくれています。
開催期間中に様々な祭典が開かれる山王祭。神幸祭の開かれる2年に一度の本祭の2018年、ぜひ山王祭を楽しんでみてはいかがでしょうか。

2023年開催情報!

山王嘉祥祭
■日時: 2023年6月16日(土)13時~
■場所: 日枝神社 本社

納涼大会(民踊大会)
■日時: 2023年6月中旬
■場所: 日枝神社 境内

稚児行列
■日時: 2023年6月11日12:00、14:30の2回
■場所: 日枝神社 神苑

絵灯籠奉納
■日時: 2023年6月7日〜17日
■場所: 日枝神社境内 藤棚特設スペース

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オマツリジャパン オフィシャルライター
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