2019年からスタートした、観光経済新聞のオマツリジャパンコラム記事連載!2020年も「お祭り」をフックに、旅に出たくなる記事の連載をして参ります!奇祭好き、ケンカ祭り好き、お神輿好き…等、様々なライターさんに記事を執筆いただく予定ですので、ぜひご覧ください♪(オマツリジャパン編集部)
一心不乱に「サッコラーチョイワヤッセ」
「南部盛岡」という言葉があるが、岩手県盛岡市は、戦国・江戸時代を通して南部氏の拠点として発展を遂げてきた街だ。天然の堀の役割や舟運の拠点として機能してきた北上川、遠方に望む名峰・岩手山など、自然との調和が美しいのも特徴である。また、市内中心部にそびえる小高い山の上には、今でも盛岡城の跡地が公園として広がっている。その南部氏が治めた江戸時代から続く、盛岡の夏の風物詩となっているお祭りが「盛岡さんさ踊り」だ。
盛岡さんさ踊りは、毎年8月1日から4日まで日付固定で行われている。4日間、太鼓やお囃子(はやし)の音色と「サッコラーチョイワヤッセ」という独特の掛け声がお祭りの中心地「大通り」に響き渡る。踊り手が身に着ける色とりどりの浴衣もまた、見る者を楽しませる。
ところで、さんさ踊りの由来をご存じだろうか? そのルーツは江戸時代にまでさかのぼる。盛岡城下の時代、度々「羅刹(らせつ)」という鬼が現れ、悪事を働いていたんだとか。その鬼を神様にお願いして追い出させたお祝いで「さんささんさ」と踊ったのが、さんさ踊りの発祥と伝えられているそうだ。
ちなみに、この鬼退治をお願いした神様は三ツ石神社のご祭神。その名の通り三つの石がある神社なのだが、その石にもう悪さをしない証として鬼に手形を押させたことから「岩に手形」、「岩手」という言葉が生まれ、県名の由来になったともいわれている。
最終日の8月4日、盛り上がりは最高潮を迎える。日が落ち暗くなると、さらに踊りが艶やかになっていく。闇夜に照らされ、一心不乱に踊る姿は、男女ともに美しい。多くの団体が踊り、そして過ぎていく。踊りが終わる21時ごろになると、さすがにお腹が空いてくる。三陸海岸で取れた海の幸をつまみながら南部杜氏仕込みの日本酒というのもそそられるが、やっぱり熱くなった後はスパイスを効かせた「じゃじゃ麺」を食し、さんさ踊りを振り返ってはどうだろうか。