品川神社の祭り
江戸時代に日本橋から整備された五街道の一つ、東海道最初の宿場町である「品川宿」。現在でも往時の姿が垣間見られるこの町には、品川の名を冠した「品川神社」があります。その起源は平安時代末期の1187年(文治3年)。源頼朝が安房国の洲崎明神を勧請し祈願したのが品川神社のはじまりと言われています。また室町時代の1478年(文明10年)には、太田道灌により天王様である素盞嗚尊(すさのおのみこと)が祀られました。
この品川神社で毎年6月7日近くの金土日曜日の3日間で開催されているお祭りがあります。「品川神社例大祭」です!
新型コロナウイルスの影響により、4年ぶりの開催となった品川神社例大祭。今年2023年は、6月2日から4日にかけての3日間で実施されました。
それではここからは、神幸祭(しんこうさい)神輿渡御が行われた、最終日のお祭りの様子をご紹介します!
53の石段を上り下り
朝7時から社殿の中において、神幸祭祭典が執り行われた品川神社。その社殿前には、出発を待つ宮神輿と鳳輦(ほうれん)の姿がありました!どちらの屋根にも赤いお面「天下一嘗の面(てんかひとなめのめん)」が付けられているのが特徴的です。
このお面の出自は、徳川家康が関ヶ原の戦いの戦勝の御礼に品川神社へ奉納したものと伝わっているんだとか。そして江戸時代中期に疫病が流行った際に、このお面をお神輿に付けて渡御すると救われるとの神様のお告げがあったことから、今でも無病息災の祈りを込め付けられているそうです。
8時を目前に社殿前に運ばれた鳳輦と宮神輿。神幸祭の行列が組まれていきます。
さあ、出発!参道の53の石段が有名な品川神社ですが、石段上部へとはじめに登場したのは木遣りを歌い上げる皆様です。
木遣りが響き渡り、一気に一面がお祭りの雰囲気に包まれていきます。石段を下りながら歌う様子はかっこいいですね!
品川神社例大祭神幸祭の宮神輿出発を飾る木遣りの歌い上げです。53段の石段を下りながら木遣りが歌われていく様はかっこいいですね!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/SdODDeHAox
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) June 3, 2023
木遣り歌が終わると、神職の方、赤面の猿田彦が続きます。
その後ろからは鳳輦がやってきました!
そして宮神輿も石段へ!ものすごい活気で下ってきますよ。
53の石段を上り下り。石段いっぱいに担ぎ手が広がり迫力があります!
下ろうとすると、「まだまだ!」と声が上がって堪えていく宮神輿。「オイサ!オイサ!」と何度も石段を上下する姿は見応えがありますね!
品川神社例大祭、御神幸祭で惣町神輿が53段の石段を駆け下りて宮出です!お神輿の屋根には、徳川家康が奉納したと伝わる「天下一嘗の面」が掲げられ特徴的。品川拍子の軽やかな音も良いですね!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/GBTRN8MiKb
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) June 3, 2023
石段を下り切り鳥居をくぐると、第一京浜に突入!ここからは氏子の各地域へと、宮神輿とその前を行く神幸祭の行列が進んでいきます。
お神輿の後ろを走る、京急の列車との2ショットが見られる場面もありました。
ここで注目したいのが、お神輿の左前に設置されている太鼓。この太鼓は「大拍子」と呼ばれ、太鼓と篠笛で奏でられる「品川拍子」がお神輿の行く先々を盛り上げます!
品川神社を後にして、品川拍子を響かせながら鳳輦と宮神輿が進むのはこちらのルートです。西側では大崎や五反田の手前まで行き、御殿山を通ってお昼過ぎに鳥居前まで帰ってきます。そして午後は東側の旧東海道の町々を進み、18時半頃から宮入行事が行われるという巡行路となっていました。
第一京浜から目黒川手前で西へと曲がり、大崎・五反田方面へと進んでいく鳳輦と宮神輿。大通りを威勢よく歩んでいけるのは、お祭りならではの特権ですよね!
こちらでお神輿の担ぎ方にもご注目。お神輿にお尻を向けずに担ぎ棒を背負うように肩へ乗せ、お神輿中央に向かって皆が担ぐ「城南担ぎ」が特徴的なんです!
そして縦棒は二本のみで化粧綱が前面で立派に巻かれているというのも、下町の江戸前神輿とは違う品川ならではのお神輿の姿で見どころとなっています。
品川の古刹、東海寺の前にやってきました!東海寺は1638年(寛永15年)に江戸幕府三代将軍の徳川家光が、沢庵和尚のために建てたお寺になります。沢庵和尚は漬物の「たくあん」を考案した人物とも伝わり、そのため品川はたくあん発祥の地とも言われています。
東海寺の前に広がるのは、新緑の桜並木が美しい目黒川。橋を宮神輿が渡るシーンもありました。
旧東海道を進む中神輿
午後からは、鳥居横に置かれていた中神輿の渡御も行われます。徳川家との縁を感じさせる三つ葉葵の御紋と葵があしらわれた装飾の屋根が美しいですね。
品川神社に繋がる北馬場参道通り商店街の入口へと中神輿が運ばれ、いよいよ出発です!中神輿の後方に見える岩山は、品川神社境内にある品川富士。中神輿の発御の瞬間を見ようと、多くの方が登山していました。
さあ、出発の瞬間です。勢いよく担ぎ上げられました!品川拍子も元気よく奏でられ、沿道からは歓声が上がります。
品川神社の中神輿が発御しました!すごい迫力です!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/RUvdg1gJxw
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) June 4, 2023
商店街を盛り上げながら、旧東海道方面へと向かっていきますよ。
左右上下、波のように揺れながら進む中神輿。
もうすごい盛り上がりで、この熱量がたまりません!
勢いよく、どんどん進んでいきます!
中神輿が渡御しているのを聞きつけ、沿道には次々に人が集まってきていますよ。
商店街を抜け、まもなく旧東海道の通りへと入っていきます!
旧東海道の通りへと到着!まず進むのは南の方面。
目黒川にかかる品川橋へ到着したらUターンです。このすぐそばには同日に天王祭を開催している荏原神社があり、旧目黒川を境に氏子範囲が区切られています。
荏原神社天王祭は「南の天王祭」と呼ばれ、対して品川神社例大祭は「北の天王祭」と呼ばれているのも特徴的。2つのお祭りが同時に品川一体を盛り上げる週末となっています!
旧東海道に広がる、北品川商店街を中神輿が進みます!
威風堂々と旧東海道を北へと向かう中神輿。
旧東海道の通りへ中神輿が突っ込んできました!すごい賑わいです!#品川神社 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/3jWXsqhW5U
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) June 4, 2023
沿道のお店の方からも「来た来た!」と喜びの声で迎え入れられていました。
中神輿の前を行く神幸祭の行列では、時折鳳輦が置かれお祓いなどが行われる場面も。
その後氏子範囲各所を回った神幸祭行列は、18時頃に品川神社境内へと帰ってきていました。
鳳輦も無事のお帰りです。
露店やお神楽も楽しめる
宮神輿が宮出で上り下りしていた石段も、お神輿が通った後には訪れることができます。実際に行ってみると石段の急さが体感でき、こちらをお神輿が渡御していた凄さが感じられると思います。
また石段を上り切った先には、下から見えていた品川富士もあります。ぜひ富士登山もしてみてください!
境内の神楽殿では、里神楽の奉納も。朝10時から夜20時まで、随時披露されていました。
品川神社の神楽殿では、20時頃まで里神楽の奉納がされています!
お神輿の還御を待つ間、伝統芸能を楽しめるのは嬉しいですね。#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/H2uOQNktsG— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) June 4, 2023
お祭りへやってきたら、楽しみたいものの一つがお祭りグルメ。品川神社境内や周りには、たくさんの露店が出ているのも必見ですよ!
焼きそばやお好み焼き、たこ焼きと言った定番グルメから、あんず飴やけずりいちごといったスイーツまで提供されています。
食べるだけでなく、缶落としや金魚すくいといった遊べる露店も並びます。親子連れでも楽しめますね!
旧東海道の通りでも、露店の立ち並ぶ場所がありました。こちらもぜひチェックしてみてください!
品川神社へのアクセス
・京浜急行新馬場駅北口より徒歩1分
・JR品川駅高輪口より徒歩18分
・JR大崎駅新東口より徒歩18分
毎年6月7日近くの金土日曜日に3日間開催されている、品川神社例大祭。53の石段や旧東海道を進むお神輿を見に、ぜひ来てみてください!