9月6日は「飴の日」
「飴の日」は、長野県の老舗の飴屋さんたちによる「松本飴プロジェクト」の発案で、一般社団法人 日本記念日協会に認定され記念日となりました。
この「飴の日」は日本の飴産業の発展につなげていくことが目的で、日にちの由来は日本書紀の神武天皇記に飴を作ったという記述があり、その日が9月6日と推察されることからきているのだそうです。
カメラマン佐々木が住む京都での飴といえば…。「幽霊子育飴」!
この記事では飴の日にちなみ、妖怪漫画家で有名な水木しげる先生の「ゲゲゲの鬼太郎」のモデルにもなったという「幽霊子育飴」をご紹介いたします!!
幽霊が買いに来た!?幽霊子育飴とは
450年以上続く日本でも有数の歴史ある飴屋「みなとや子育飴本舗」さんは、夜になると女の幽霊が飴を買いにきたという伝説と、その飴を現在も売っていることで有名な京都のお店です。
伝説の内容は…
昔、女が夜ごとに飴を買いにくるようになった。
女が飴を買った翌朝に、代金を納めている銭箱をあらためると、木の葉が一枚入っていることが続いた。
不思議に思った当時の店主は、ある夜、女の後を追った。
すると、女は墓地のある鳥辺山で姿を消し、土中から赤ん坊の泣き声が聞こえた。
そこは身ごもったまま亡くなった女性を埋めた墓だった。
寺に事情を話して掘り返してみると、墓の中には飴をしゃぶった赤ん坊がいた。
死後に生まれた赤ん坊のために、幽霊となった女が飴を買いにきていたのであり、飴の代金として渡されていた木の葉は、女の墓に備えられていたシキミの葉だったのだ。当時は、箸に巻いた水飴として売られていたが、今では麦芽糖からつくられた素朴な飴となっている。
死してなお我が子を思う母の愛情の表れとして四百年以上も語りつがれている。
その飴は「幽霊子育飴」として今も広く人々に愛され続けている。
幽霊の話とはいっても、実は「母の愛情が生んだ感動の物語」なのです。
清水寺周辺は鳥辺野(とりべの)という鳥葬をしていた葬送地で、「みなとや子育飴本舗」さんは鳥辺野からの徒歩圏にあります。また「六道の辻」というあの世との境にある轆轤(ろくろ)町にお店があります。
写真:お店の近くにある六道珍皇寺 地獄の冥官といわれた小野篁が夜毎、冥界に通ったとされる井戸
お墓で生まれた子供は、8歳までみなとや子育飴本舗さんで育てられたのだそうです。
写真:立本寺の桜 極楽浄土のように境内には桜が咲き誇る
その後、立本寺(りゅうほんじ/安産子育ての鬼子母神が本尊のお寺)で日審上人(壺日審さま)と呼ばれる高僧になりました。今も日審上人は安産守護の上人様として信仰されています。
この立本寺の寺務所でも子育飴は購入可能です。
全国にもこのように幽霊が子供を育て、のちに高僧になったという伝説が残っています。
毎夜、女が持ってきた一文銭は三途の川を渡るときのお金「六文銭」とも言われているようです。
一説には7日目にはお金がなく羽織を飴屋に渡し、その羽織を干すとお大尽が「亡くなった自分の娘のもの」と墓に行き、子供が見つかったというお話もあるようです。
みなとや子育飴本舗さんには幽霊がお金を入れたという当時の銭箱が今も残っています。
同じ伝説が落語、民話、ゲゲゲの鬼太郎に!
この母の愛情は落語「子育飴」になり、落語のオチは「高台寺(こおだいじ/子を大事)」となっています。
参考:米朝ばなし『上方落語地図』講談社文庫
また落語の作者、文の助が余生を過ごした文の助茶屋は高台寺の前にあったのだそうです。
落語の他には日本民話「幽霊飴」「子育て幽霊」「高僧と幽霊」や、近代では小泉八雲「飴を買う女」というお話もあるようです。
「ゲゲゲの鬼太郎」の主人公・鬼太郎がお墓で生まれた設定になっているのも、この伝説がモデルなのだとか。
そもそも鬼太郎シリーズの原点である「墓場の鬼太郎」は、「子育て幽霊」を脚色した紙芝居を題材に作られた物語なのだそうです。
写真:高台寺 夜間特別拝観「百鬼夜行」
実食!「子育飴」を食べてみた
材料は麦芽糖とザラメ糖。一つ一つ形が違うのはトンカチで割っているためです。
幽霊の赤ちゃんが飴を食べたという当時は、水飴を箸に巻いていたそうです。赤ちゃんが飴を食べたというのもそれなら納得。
命を繋いだその味は…。
とてもやさしい素朴な味がしました。
お店の方にお伺いしたところ、夏はすっきりとした「冷やし飴」にして食べるのがおすすめだそうです。
お客様からは「かき氷のシロップにしてみたらどうか」というお話もあったそうです。甘さ控えめの味なので冷やし飴を凍らせて削っても美味しそうです。
ここまで読んでくれたみなさま、京都に来られた際には母の愛情たっぷりの子育飴をぜひ試してみてください!
この子育飴は基本的には店頭販売ですが、インスタグラムやFacebookのDMでも郵送対応を行っています。
みなとや幽霊子育飴本舗
住所 : 京都市東山区松原通大和大路東入2丁目轆轤町80番地の1
電話/FAX番号: 075-561-0321
営業時間:10:00 AM – 4:00 PM
定休日:なし
幽霊子育飴イメージ写真
モデル:中川イリヤ
18歳。関西コレクション出演経験あり。普段はサロンモデルやモデルとして活動。
特技は乗馬とドラム。趣味は映画鑑賞。
ヘアメイク着付:MIAKA 魅朱
salon Gatta Neraの店長。
尼崎理容美容専門学校外部講師。専門学校では着付とアップスタイルの学科を担当。
フォトライター:佐々木美佳
毎日「京都散歩の旅」。奈良・吉野アンバサダー。着物を着付けで改革「和装改革」カメラマン担当。
なんば桜川店ファーストスタジオにて撮影。