目次
パワスポが数珠繋ぎ!「レイライン」とは?
皆さんは、「レイライン」という言葉を聞いたことがありますか?これは、1920年代、アルフレッド・ワトキンスというイギリスのアマチュア考古学者が、ヨーロッパのいくつかの古墳が、しばしば定規で引いたような直線上に並んでいることを発見したことが始まりです。
専門家たちはこれを偶然として扱っていますが、今をもって、太陽の軌跡を大地に写し取ったものだとか、古代人や宇宙人の意図とするさまざまな説が唱えられ、地図上におけるさまざまな「直線的関係」が発見されて好奇心をそそります。
中でも太陽の上る位置と関連付ける説が多く、夏至や冬至など特定の日に、レイラインを想定したかのように作られた建物が世界中で見られます。
【今年の冬至は12月22日(木)!①】
今年の冬至まであと1週間。夫神岳に夕日が沈み、聖地を照らします。
信州上田塩田平で、幻想的な光景をご覧ください。※写真は過去のものです。
1枚目 生島足島神社 大鳥居
2枚目 生島足島神社 西鳥居
3枚目 泥宮
4枚目 別所神社#上田市 pic.twitter.com/NwfUPRE0G3— 日本遺産!信州上田・塩田平レイライン (@jh_ueda_leyline) December 14, 2022
冬至にまつわるレイラインもある?
そして、日本にもたくさんの「レイライン」が発見されています。冬至にかかわるものとして有名なのが、日本遺産として紹介されている、信州・上田のレイラインです。
長野県上田市の独鈷山と夫神岳から扇状に開ける地・塩田平は、古来「聖地」とされ、多くの神社仏閣が建てられています。山のふもとにある信州最古の温泉・別所温泉、「国土・大地」を御神体とする「生島足島神社」、「大日如来・太陽」を安置する「信濃国分寺」が1本の直線状に配置されています。
そしてこの線は、夏至の日の朝日が昇る方向であり、冬至の日の日没の方向です。生島足島神社では、二つの特別な日、それぞれ東西の鳥居の中心に、朝日・夕日が捉えられる天体ショーが見られます。
そのほか、冬至の日にゆかりのあるレイラインとしては、富士山と茨城県の鹿島神社を結ぶレイラインが有名です。この直線上に、江戸城、明治神宮、東京スカイツリーなども存在します。
この投稿をInstagramで見る
これらが偶然の一致なのか、作為的なものなのかは分かりません。でも、太陽や山などの自然を神と崇めてきた私たちの祖先が、その超自然的パワーにあやかろうと、神社や建築物を建てた結果だといっても間違いではないように思えます。
冬至という特別な一日に、こうしたパワースポットをめぐれば、いつもよりご利益があるような気がしてきます。
ヨーロッパの冬至とアジアの冬至
冬至の日は、洋の東西を問わず、一年の終わりと新たな始まりの日として重要視されてきました。白夜や極夜など太陽が暮らしに大きな影響を与えている北欧では、夏至とともに、冬至の日を重要な日としています。
冬至は弱まっていた太陽の力が復活する折り返しの日であり、この時期をYULE(ユール)と言って、盛大に薪を燃やして邪気を追い払う風習があります。これがのちにキリスト教と結びついて、クリスマスに薪を模したケーキ「ブッシュ・ド・ノエル」を食べるようになったそうです。
アジアでは、中国において、冬至の日から一日一日、日が長くなっていくことを吉として、「一陽来復(いちようらいふく)」という言葉があります。転じて、良くないことの後には、いいことがやってくるよ、という意味で使われるそうです。
江戸っ子殺到!冬至由来の「一陽来復御守」がスゴイ!?
そして、江戸の人々に熱狂的に愛された「一陽来復」のお守りがあるのはご存知でしょうか。東京都新宿区西早稲田の穴八幡宮の「一陽来復御守」です。このお守りは、穴八幡宮に納められている「打出小槌」が、冬至の日に龍神から聖武天皇に与えられたものであることに起因します。打ち出の小槌が金銀を融通するものであることから、金運を求めて江戸っ子たちが殺到したそうです。
この投稿をInstagramで見る
「一陽来復御守」は、その年の定められた恵方に向けて、冬至か、大晦日、節分、いずれかの深夜0時に家内にお祀りすると良いそうです。
京都・大山崎の宝積寺では、11月下旬に冬至祭が行われます。穴八幡宮と同じく、寺宝である打出・小槌に供物を捧げ、報恩謝徳のために大般若経が唱えられます。法要後には、大根とカボチャの煮物が提供されます。
奈良県の葛城一言主神社の一陽来復祭(献燈祭)も有名です。毎年冬至の日に行われ、鬼剣舞の奉納や、松明神事の後、夕刻には日の光の再生を願って、境内中にロウソクなどで明かりが灯されます。こちらの一陽来復御守も人気です。
この投稿をInstagramで見る
再生の日「冬至」に関係するお祭りはまだまだあります!
ここまで記事で紹介してきた通り、冬至は世界中で一年の終わり、始まりの日として重視されてきました。人々は、日が短い=太陽の力が弱まると考え、さまざまな方法で太陽のパワーを復活させようとしたのです。
太陽 ≒ 火!
太陽の力が弱ったならば、火を焚いて力を補完すればいいのでは?と考えるのは当然です。
例えば、京都の「お火焚き神事」。神社によって神事の内容や行う日もさまざまですが、冬至を含む旧暦の霜月(新暦の11月下旬から1月上旬)に行われ、やはり冬至との関係が深いものです。
伏見稲荷大社の火焚祭は、現在は11月8日に行われていますが圧巻のスケールです。
この投稿をInstagramで見る
全国から寄せられた約10万本の願い事が書かれた火焚串を3基の火床で焚き、神楽女の神楽舞も行われます。
太陽 ≒ 熱湯!
先に紹介した伏見稲荷神社の火焚祭でも行われますが、この時期にお湯を焚いて神様をもてなしたり、神意を問う「湯立」神事も、冬至に関係するお祭りと言って差し支えないでしょう。ぐつぐつとお湯をたぎらせて太陽の力を回復しようとし、同時に神さまのおもてなしとして神楽が奉納されることもあります。
この投稿をInstagramで見る
9世紀頃に行われていた湯立神事がほぼそのまま伝承されている貴重な例が長野県飯田市「遠山の霜月祭」。神社内に湯釜を設け、一昼夜をかけて神事や舞を奉納します。
まとめ
古来、太陽の力が再生する重要な日とされてきた冬至。日本各地の寺社仏閣でさまざまなお祭りやイベントが行われています。
冷え込むこの時期、健康を崩さないように新年を迎えるためにも、冬至をきっかけに、食べると良いものを口にしたり、パワースポットを訪れたりしてみてはいかがでしょうか。