来たる9月6日は「飴の日」であることをご存じでしょうか。
日本書紀の神武天皇記に飴を作ったという記述があり、その日が9月6日と推察されることからきているのだそうです。
神武天皇が創製したといわれ、砂糖が無い時代には米と麦芽から作られていた日本の伝統的な飴は、現在でも全国各地で親しまれています。
この記事では飴の日にちなみ、そんな歴史あるスイーツ、お祭りとも縁の深い飴を北海道と東北からピックアップ。代表的なものとともに、秋田の飴のお祭りをご紹介します。
目次
身も心もリフレッシュ!北見名物「ハッカ飴」
英語ではMint(ミント)と呼ばれ、紀元前から世界中で栽培されている多品種のハーブが「薄荷(ハッカ)」です。オホーツク海に面した緑豊かな北海道・北見地方は、かつて天然ハッカの世界シェアの7割以上を生産していました。
草や抽出されたエキスは飴はもちろん、ガム・チョコ・アイスといった食品類、虫除け、化粧品、お酒など生活のあらゆるシーンで活用されています。
北見ハッカ通商の「ハッカ飴」は、昔ながらの砂糖・水飴・ハッカ結晶だけが主原料。清涼感ある香りと味で口の中がサッパリするだけでなく、暑苦しさやイライラした気分もスーッと鎮めてくれます。
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ねぶた缶が目印!お土産にもぴったりの「津軽飴」
津軽藩主が領民の副業として作らせた時から160年あまり。今も変わらぬ製法で作られる上ボシ武内製飴所の「津軽飴」は、とろりとして艶やかな黄金色の水飴です。添加物を一切使わない、でんぷんと麦芽からくる深く素直な甘さは、心までも和ませてくれます。
そのまま水飴としていただいたり、飴湯にしたり、コーヒー・紅茶・煮物などのお砂糖がわりにしたり。地元では南部せんべいにはさんで「飴せんべい」として食べるのが定番です。
ねぶたがデザインされたレトロなブリキ缶も特徴的で、かつて青函連絡船の乗客の手土産として人気を集めた歴史をそのまま受け継ぎ、今に伝えています。
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岩手の祭りではおなじみの駄菓子「たぐりあめ」
岩手県のお祭りや縁日にはよく「たぐりあめ」という駄菓子の屋台が登場します。
水飴を割りばしに巻き付けて両側から薄いミルクせんべいで挟んだもので、他の地域ではあまり見かけなくても岩手県民にはおなじみの昔懐かしい駄菓子です。
例えば、太鼓パレードが賑やかな8月初めの「盛岡さんさ踊り」でも、屋台でたぐりあめが食べられます。祭りの期間中は他にも絶品ご当地グルメの屋台が所せましとひしめき合い、“美味しいお祭り”としても有名です。
メシテロ注意!「盛岡さんさ踊り」で食べられる絶品グルメはこちら
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まさに飴の芸術品!冬限定の仙台銘菓「霜ばしら」
九重本舗玉澤の「霜ばしら」は、10月から4月までの冬季限定で楽しめるお菓子。ピーク時には予約が殺到し、3か月待ちになることもあるほど人気です。
名前の通り繊細なお菓子で、衝撃と湿気から守るため、粉雪に見立てたサラサラならくがん粉の下に埋もれるように入っています。最大の魅力はこだわりのくちどけ。舌の上にのせた瞬間に、はかなくも溶けてなくなってしまいます。
夏は暑さや湿気で溶けてしまうため冬しか製造できず、また、全工程が熟練職人の手作りで製造数に限りがあります。貴重すぎる仙台スイーツ、ぜひ一度食してみたいですね。
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一子相伝の技で手作りする桔梗屋の「翁飴」
「翁飴(おきなあめ)」は麦芽水飴などを寒天で固めたやわらかな飴で、健康的で高齢者にも食べやすく、長寿を願う意味からも翁飴と命名されたといわれています。
新潟県上越市が発祥とされますが、秋田県能代市の「桔梗屋」では文化9年(1812年)に14代目吉太郎が創製して以来、職人を使わず一子相伝で、店主が一人で全行程を手作りし続けてきました。
桔梗屋の翁飴の原料はもち米と大麦で、砂糖や添加物は使っていません。見た目は透明感のある黄金色で、香り高くほどよい甘みがあります。現在でも伝統の製法を守り、一週間をかけて丁寧に作り上げられる、歴史あるお菓子です。
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山形市「初市」で年始にいただく縁起物「初あめ」
山形市の「初市」は江戸時代初めから続く伝統行事で、毎年1月10日に市神様を祀るお祭りの露店が十日町から七日町にかけて立ち並ぶようになったのが始まりといわれます。
初市で売られる縁起物の「初あめ」は、年初めに紅白の飴をいただくことで、無病息災・家内安全・商売繁盛を祈るものとして知られています。
今では県内唯一の専門業者となった大山製菓の初あめは、抹茶・ごま・あんこ・きなこなど色々な味が楽しめます。
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源義経も食べた!琥珀色が美しい「五郎兵衛飴」
会津若松市の「五郎兵衛飴総本舗」は、創業800年の歴史を誇る老舗です。こちらのお店には、平泉へと下る源義経が立ち寄って飴を所望し、その代金の借証文として弁慶が書き残した自筆の書状が残っているのだとか。
もち米・麦芽・寒天のみを材料に伝統製法で作られた飴は、柔らかい食感で、口の中に自然な甘さが広がります。また、琥珀のように輝く美しい飴色も印象的。
外箱にプリントされた弁慶の絵を見ながら、「この飴を食べて、義経や弁慶は何を思ったのかな?」と想像にふけるのも楽しい飴です。
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神様も飴を買いに来た!?豊作と無病息災を祈る「大館アメッコ市」
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秋田犬と比内地鶏のふるさと、秋田県大館。
東北を代表する飴のお祭り「大館アメッコ市」は、400年以上前の安土桃山時代に大館城下に開かれた市が始まりとされ、近くの山に祀られる白髭大神が飴を買いに訪れたという伝説があります。
農家が新春に豊作を祈願するため、ミズキの枝に飴を付け、稲穂代わりに神前に供えるようになったことが起源で、この日に飴を食べると風邪をひかないとされてきました。
毎年2月になると鳥居と拝殿が設けられ、多くの飴屋などの露店がずらりと並びます。
ミズキの枝にカラフルな飴や短冊が飾られ、青空や白い雪に映えた美しさも魅力です。
まとめ
今回は、9月6日の「飴の日」にちなんで、北海道と東北の飴菓子と大館アメッコ市をご紹介しました。
地域ごとの特色を活かした伝統的な飴が非常に豊富で、お菓子好きはもちろん、日本の歴史が好きな方にも楽しんでいただけたのではないでしょうか。
日本各地で年中行事やお祭りとも深く結びついているという飴の文化的な一面を、より深く知るきっかけにしていただければ嬉しいです。